こんにちは、ユースケ@サガン鳥栖です。

スコア上は4-0と大敗といえる結果だとは思いますが、実際は2-0で11人対10人になったところで勝負ありでしたね。樋口が退場したから負けたわけではなく、あの状況を作り出したマリノスがシンプルに強かった。それだけだと思います。

ただ前半の出来からすれば正直2-0になったとしても、11人であればそこから挽回することも不可能では無かったと思うので、いちサッカーファンとして言うならば、ヒリつく試合ではなくなってしまって残念ではありましたけどね。

ということで今回は失点シーンを振り返らない訳には行かないですね。なぜそういう状況になったのかを整理することで、この経験を次につなげて行かなければなりませんからね。

3失点目4失点目に関しては、あれはもう必然なので触れません。1失点目と2失点目にフォーカスしてレビューしたいと思います。

それでは行ってみましょう!まずはスタメンです。

フォーメーション図フォーメーション図

ホーム鳥栖は前節より2人変更。山下⇒酒井、右のWHに飯野を入れて前節このポジションだった小泉を右のCBで起用してきました。小泉は合流後3試合すべてに出場しましたが全て違うポジションでの起用です。対するアウェイマリノスは両SBを変更。左にティーラトン、右に松原を起用してきました。

■前回対戦時とは違い立ち上がりから勝負に出た

前回アウェイで対戦した時にはマリノス攻撃陣のクオリティを警戒して、前から行くのを自重しある程度ブロックを作ってスペースを消す守備を選択したサガン鳥栖。

ただリスペクトし過ぎて受け身になった結果が2-0の敗戦でしたので、この試合はガンガン前から奪いにいく自分たちのストロングを出すことを選択しました。

ブロックを組まずにマンツーマンで人を見ながら前からハメにいくサガン鳥栖でしたが、そこを逆にマリノスに利用されてしまいました。

画像は1失点目のシーンです。

マリノスはいつもSBが内側のレーンに侵入してきます。この試合でも右SBの27番松原が再三このインサイドレーンを利用して効果的な攻撃を仕掛けてきます。

で、問題の画像のシーンですが、前からプレスに行くサガン鳥栖の立ち位置を見ながら松原が「仙頭の裏」かつ「樋口の脇」のスペースに立ちます。そこに6番扇原からのバックパスを受けたGK高丘がダイレクトで松原へロングパス。フリーで受けた松原からレオセアラ⇒前田と渡りゴールとなりました。

この画像のシーンの直前にも松原はインサイドレーンに侵入して攻撃に出ていました。そのシーンは大畑が絞って対応して事なきを得ましたが、引き続き松原は前残りする形で仙頭の裏にポジショニングします。

この立ち位置が絶妙で、大畑は幅を取っている7番エウベルを見なければいけませんし、隣にいる樋口はマルコスジュニオールをマンマークしているので松原へはチャレンジにいけません。

そこでフリーになった松原を見逃さずしかもダイレクトでボールを入れる高丘。このたった1本のパスで全てをひっくり返されることになりました。

この失点シーン以外は大畑が絞って対応したり松原には中野嘉がしっかりついて対応していましたが、そのマークがずれた隙をついてフリーでポジショニングした松原、そこを見逃さずダイレクトでボールを入れてきた高丘、絶妙なタイミングで裏に飛び出したレオセアラ、ワンチャンスで決めてくる前田。これらすべてが噛み合って決めてくる力がマリノスの強さを象徴していますね。

ただ前から行く選択をした以上、0に抑えきれるとは最初から思ってなかったはずなので、想定内とえいば想定内。しかしながらチャンスを作っても決めきれなかった鳥栖とチャンスをしっかりものにしたマリノス。ここにチームの強さの差がハッキリと表れていた前半だったと思います。

■なぜ樋口があの位置でファウルせざるを得ない状況になったのか

これ、前田が本当に速かったです、わかってたけど改めてビックリです(笑)。扇原からボールが出た瞬間は樋口と小泉よりも後ろにいるのに、あっという間に前に出ちゃいますからね。樋口からすれば突然前田が現れて前に出られてしまい思わず手が出てしまったというところでしょうか。

一言でいうと「前田のスピードが凄すぎた」になっちゃうのですが、それだと何の反省にもならないのでしっかり掘り下げてみようと思います。明らかなミスとまでは言えませんが、この状況になってしまった原因が2点あります。

まず一つはスローインを受けた扇原に対する寄せが遅れていること。仙頭がマークについてましたが扇原の動き出しに対し反応が少し遅れてしっかりと体を寄せきれていません。

時間にすると1秒もないズレですが、そのわずかな時間でもあれば扇原という選手は質の良いボールを出してきます。ダイレクトで正確なボールをスペースに送られてしまいました。

そして二つ目が小泉の立つ位置。

人をマークするときのセオリーとして「ゴールと相手選手を線で繋いだその上に立つ」というのがあります。ゴールへ最短距離で向かわせないようにするための壁になるイメージですね。

画像でいうところの前田が走る黄色の点線の上に立って進路を邪魔することが重要になってきます。小泉のこの立ち位置であれば縦にスローインが入れば進路を邪魔をできますが、ゴール方向に走られると対応が遅れてしまいます。

ですので、スローイン時は縦を塞ぐこの立ち位置でも良いですが、扇原にボールが入ったのならば、その瞬間に前田の走りを邪魔する立ち位置に変えないといけません。

前田のように圧倒的なスピードを持つ選手が相手だと、一瞬で加速されて振り切られてしまうのでゴールへの最短距離を塞がないといけないという事ですね。ちょっとでも進路を邪魔することができればあそこまで加速されることはかったかもしれません。

まあ実際のところで言うと、小泉もちゃんと動き出しはしていますし前田の姿を視界から失うような目切りの立ち位置は取れないのですが、扇原がダイレクトでボールを出したことに加え、前田のスピードが規格外というのも相まって、通常のアラートさだけでは足りなかったという事ですね。

完全に進路を塞ぐことは無理でも少しでも体を密着させるなりぶつけるなりが出来れば結果は違ったものになったのかもしれません。1失点目もそうでしたがほんのちょっとの隙を見せただけで致命傷になるダメージを与えてくるチーム、それがマリノスです。

【まとめ】どんなにアンラッキーに見える場面でも原因は必ずある

個人的な考えですが、サッカーに本当の意味での「不運」というのはあんまり無いと思っています。どんなにアンラッキーに見える場面でも突き詰めれば原因は必ずあります。

一つ一つは本当に細かい事かもしれませんが、そういうディテールの積み重ねの差が勝敗を分けることになります。実力が拮抗したチーム同士の試合こそ特にそれが顕著に表れます。

樋口にしても本当に手を掛けるしか方法が無かったのか。GKが止めてくれる事を信じて、手を使わず体を当てるだけでは防げなかったのか。もちろん今こんなことを言っても結果論ですが、この経験を次に活かすためにそういうことを掘り下げて考えていかないといけません。

サガン鳥栖がこの先本当に強いチームになるためには、こういうディテールを極限まで突き詰めていかないといけないという事なんだと思います。

自分たちが「上位に行く」「上位に勝つ」ためには、上位チームのサッカーの真髄を知るというのも大事で、時にはこういう打ちのめされる敗戦も必要なんでしょうね。サガン鳥栖はまだまだこれからのチーム。残りの試合も期待しましょう!

それではまた。