スタメンとフォーメーション

昨年のチャンピオンチーム・川崎フロンターレと2位の横浜Fマリノス。

ポゼッション主体のチームカラーで、近年のJの進化を代表するチーム同士のダービーマッチである。


ホームチーム・Fマリノスは前節からCB畠中に替えて新加入のエドゥアルドが、また前節途中出場から後半停滞気味だった右サイドを活性化させたエウベルが水沼に替わりスタメンに入った。フォーメーションは前節同様[4-2-1-3]で挑んだ。(→前節のレビューはこちら)https://sporteria.jp/blog/BOSS_night46/6901679566784303105フォーメーション図



アウェイチーム・フロンターレは前節からの変更点は、CBの車屋が開幕戦で肩を負傷。よって山村がスタメンに入った。

もう一枚の変更は左WGマルシーニョ→宮城、マルシーニョもベンチ外となっているので、もしかしたらコロナ陽性等かもしれない。フォーメーションはいつも通りお馴染みの[4-1-2-3]。フォーメーション図



2つのピンチを経て

試合序盤はお互いに攻め合い。ボールを持った時はそれぞれのストロングを活かそうとしていたが、どちらかというと川崎はFマリノスのプレスに中々時間が与えられず、徐々にFマリノスペースになっていくんだろうな、という序盤であった。


その中で川崎はFマリノスのポゼッションに対し、ダミアンはアンカーの喜田or渡辺を見る、家長・宮城のWGは2CBを、IHチャナティップ・脇坂はSBをという立ち位置で相手ビルドアップへの対抗策を打った。

枚数的には同数となる形だが、この形の最も難題となるのは、"SBの位置までIHが出て潰せるか"ということである。

特にこの試合では5分の松原のパスからエウベル→レオセアラでPKかというシーン以降、SBからの球出しというのは川崎が警戒するポイントになっていた。


Fマリノスは11分、高丘のビルドアップ参加にダミアンがプレスを掛け、空いた喜田からマルコス→エウベルとパス3本でゴール前まで迫る。

ダミアンがプレスを掛けに行ったあと、遅れて宮城が喜田へのパスコースへ行ったが間に合うことはなく、チャナティップもSBへの意識から松原に引っ張られマルコスへのコースががら空きと、川崎にしてはあまりにもイージーにゴール前への侵入を許した。

(11分のFマリノス。高丘の+1にダミアンが引っ張られ、喜田が空き、松原もチャナティップを引っ張りマルコスへのパスコースを作った。)



流石にまずいと見た川崎はこのピンチ以降、前3枚の重心を少し下げることにした。

Fマリノスとしては20分までに家長・宮城の守備の曖昧さ・緩さもあった為、2人の背中で位置取り混乱させる狙いでSBのインナーラップを遂行したと思われるが、逆に相手のIH2枚は抱えていた難題を解決することに繋がっていった。また11分のようにダミアンが高丘までプレスへ行っても、アンカーへのコースを宮城が消す等、立ち位置の修正も行った。(19分)

よって前半中盤以降、CB以降の前進が手を変え品を変え状態になり、チャンスの数も減っていった。


(↑20分の川崎の守備。11分に簡単にピンチを招いて以降、前の3人はよりコンパクトに・明確に相手のスペースを消しに行き、結果エドゥアルドのパス出しからWGの仲川に渡るところで山根が潰しカウンターへ移行できた。)


そんな中川崎は31分、ボール回しからポケットに飛び出した橘田がクロス。最後は中で家長が合わせ先制した。攻撃面で自分たちの試合とは言えない中、先制する川崎は流石王者という展開であった。



MoMエウベル

Fマリノスは後半開始すぐ、渡辺に替えて畠中を投入する。畠中がアップ開始した時点では、前半負傷したエドゥアルドとの交代かと思いきやまさかの渡辺だった。

前半、小池が受けた際付いてくる脇坂への抜け道でサイドに流れることが多かった渡辺、そこまで悪いパフォーマンスでなかったが交代となり、アンカーには岩田がズレて入る形になった。これにより、岩田が1枚残り、喜田が上がる形が増えていった。

Fマリノスはこの交代辺りから松原を外張りにし、右サイドを攻撃のスタートにする機会が増えていった。

時間帯別パスネットワーク図


56分マリノスが同点に追いつく。

左でのパス回しからマルコスが高いクロスを上げる。これに中で合わせたのは右WGからエウベル。

登里がボールしか見れていなかったこともあるが、驚異的な高さで競り勝ち、ボールはゴールへと吸い込まれて行った。


57分すぐに逆転。川崎のキックオフからすぐにボールを奪い、マルコスのスルーパスから先にボールを触ったエウベルから最後は仲川。2点とも谷口・山村にはボールを触らせず、登里・山根を突いたFマリノスが2分足らずで逆転に持ち込んだ。


63分もFマリノス。ハーフスペースで受けた所から中に残ったエウベル。インナーラップした松原とワンツーで抜け出したのは大外レーンを埋めたレオセアラ。これまた登里の裏を突き、クロスを上げ、マルコスを経由し、最後は中央からエウベルのミドル。

WGが中央レーンに入ってもCFが大外レーンを埋めるバランス、SBのインナーラップも関わりと、Fマリノスとしては取り入れているスタイルが詰め込まれた見事なゴールであった。


川崎も71分、大外で受けた家長からポケットを突いた山根の柔らかいクロスから飛び込んだ知念が合わせ3-2。

しかし77分、仲川のワールドクラスのミドルが決まり勝負あり。Fマリノスが4-2で神奈川ダービーを制した。攻撃スタッツ - エウベル



感想 

前半中盤以降、悪くないけどなんだかなぁという感じだったFマリノス。

後半は前節同様モヤモヤを解決するためのアンサーを投げかけてくれるのは非常に好印象である。

エウベルが上がってもレオセアラが外側レーンをしっかり埋めてくれる、また松原のインナーラップのタイミングなんかも絶妙。この辺のバランス感覚はJトップかもしれない。


まだ替わっていない選手たちが替わった時どうなるか、これも前節同様の問題として非保持のフェーズはまだまだ課題。クリーンシートで圧倒できるようになれば、間違いなく19年以来の優勝筆頭候補だろう。



一方敗れたフロンターレは今年は富士フィルムからやはり守備が悩みどころ。

序盤は鬼木監督も悩み気味の中で20分以降の修正は見事であった。

失点シーンも守備の構造に問題あり、というわけではなかったが、昨年までの前線からの連動したプレッシングで奪い返しゲームを支配するという展開は今季のここまでの3試合では見られない。

選手の入れ替えもあった中でチームの守備スタイルに変更が求められているのかもしれない。現状の守備でも4-3-3継続やこれまでのプレススタイルを継続するか。

次戦は鹿島と強敵が続くが、鬼木監督としてはいち早くアンサーを見つけたいだろう。


基本スタッツゴール期待値