7レーンは意図的か偶発的か
まだ開幕2~3試合そこらで新シーズンのスタイルを確定付けることはできないが、鳥栖が7レーンに挑戦しているのではと思っている。開幕戦からGK朴も攻撃的なポジショニングを取り、相手の第一プレッシャーラインにおいて数的優位を築きながらビルドアップを行う超攻撃スタイルだったが、アタッキングサードでの攻略は意図して7レーンを作っているのか、またはたまたま流れの中でなったのかはまだ分からないが、是非川井監督に聞いてみたい。
そもそも5レーン/7レーンとは
まず5レーンとはピッチをタテに5分割したときにそれぞれのレーンに1人にずつ入って攻めることを指す。極端な話、相手が4バックで守ったときに⇩のように1枚必ず最終ラインだけでは守れないところが生まれる。
ハーフレーンでボールを持つとCBがいくのかSBがいくのか混乱させることが可能になり、⇩の場面でSBが出ると大外とCBとの間のポケットを大きく空けてしまうことになるし、CBが出ると背後のスペースが空きラインもぐちゃぐちゃになってしまう。(画像左)また、中盤の選手がいくとなればバイタルを空けることになるのでそれもまた致命的。(画像右)
このように数的優位/位置的優位を考慮するものだが、7レーンは簡単に言うと5レーンの増加版だ。ピッチをタテに7分割してこちらも1つのレーンに1人ずつ入って攻める形を構築する。
この7レーンの何が効果的なのか
実際、何をVisionとしてこの形になったのかあるいはそもそも偶発的だったのかは本当に川井監督に聞いてみなければ分からないが、私が立てた攻略の意図(仮説)は⇩だ。
ピッチをより細かく分割するようになるため各トライアングルの選手間が5レーンのときよりもコンパクトになり、よりボールが繋がりやすくなるだろう。5バックで引いて守る相手に対してもこちらの7レーンを構築することができれば有効な攻めとなる。逆に前に重心が置かれることで後ろのカウンター時のリスク管理が重要になってくるが、ここまで人数をかけるとなれば相手の前線の選手も守備に追いやりカウンターの準備を阻止する効果も生まれる。これらから分かるように7レーンは非常に攻撃に特化した戦術であると言えるだろう。
7レーンが垣間見えた第2節湘南戦15:26のシーン
左のWBに入っている岩崎がラインぎりぎりのワイドでボールを受ける。そのとき後方からスピードを上げて堀米がポケットに向かって走っている。
それだけではない。パスは出さずドリブルの切り替えしを行った岩崎に対して相手CBの背後かつCB間の間に向かって走り込む小泉の姿がある。このときのサガン鳥栖の配置は⇩だ。
最初にポケットの侵入を謀った堀米をワイドにボールホルダーの岩崎、タテへの侵入を謀っている小泉、中のフィニッシュを試みる位置に藤原と菊池、右サイドのハーフレーンに福田、右サイドワイドには飯野の7人がいる。この状況が7レーンになっているのではないかと考えている。案の定、湘南の最終ラインはバラバラになっている。
サガン鳥栖の7レーンの課題は?
効果的に7レーンを使いながら攻撃を繰り広げている場面もあれば、やはりまだ課題は見える。
例えば選手間の距離だ。サガン鳥栖の特徴上CBのジエゴや島川も攻撃時はオーバーラップで攻撃参加を試みる。その時に、WBの選手とポジショニングが被ったり、ピン留めしたWBの選手とサイドに流れてきたシャドーやFWの選手とポジショニングが被る場面がよくみられる。同じレーンに複数人入ってしまうとトライアングルが作れずパスコースを失ったり前線の枚数の多さを活かしきれなくなってしまう。後ろに重たくなるという表現はよくされるが、今の鳥栖は逆に前に重たいという表現が当てはまるかもしれない。まずは選手間距離感の修正をしたい。
コメント(2)
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SPORTERIAスタッフ
2022/3/5 18:05
メチャクチャ勉強になります!🖋️
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SPORTERIAスタッフ
2022/3/5 18:06
こういった局面を何度も狙って作れるか分からないので意図的かどうかは分かりませんが、非常にダイナミックな崩しであったことは間違いないと思います👏
たしかにこのシーンを見返してみると、岩崎選手がボールを受けて前を向いたときに、(逆サイドも大きく開いているので)湘南の4バックの間隔がもの凄く開いていて、その全ての"間"に鳥栖の選手が走りこんでいくのが見えました👀
さらに、堀米選手がポケットに走りこんだ対応で右CBが引き出され、中央にポッカリと大きなスペースができていましたね。惜しむらくは、中央にカットインするタイミングで相手守備も中央に収縮してしまうので、右サイドに展開する前に中央を一刺しできていればといったところでしょうか?