策士、策に溺れる
こう書くと監督だけが悪いように見えてしまうがそれは違う。
監督も悪いが選手も悪い。
大枠を考えるのは監督だが、現場で行動するのは選手なのである。
今回、どうしてもやり玉に挙がってしまうのが
なのだが、彼だけの問題ではない。
特に前半。とりあえずビルドアップの際、必ず左サイドを見ているのだ。
特に弦太。
今回、相手が健太なのでビルドアップに時間をかけることができる。
だが、そんなに露骨に左サイドを見て、
「今からサイドチェンジしますよ」
と、言わんばかりのサイドチェンジに何の意味があるのだろうか?
黒川にしても、
「これから、一対一で仕掛けますよ」
とまるで宣言してから仕掛けている様なもので
他の選手も誰も彼の近くに寄っていかない。
これで「パス交換でPA内に侵入する」という選択肢が消えるわけで
一対一は相手に2択、3択と複数の可能性を増やすことで勝率が上がる。
その選択肢を奪っていては勝てるものも勝てないのは当然。
チームが彼を見殺しにしたのである。
そもそも、彼はSBであり、「一対一で相手を抜く」というタスクは
最優先のものではない。
監督に言われた事だけやっていれば試合に勝てるわけでは無い。
黒川はこの試合も、誰より懸命に走っている。
だが、この試合、得点の可能性を感じたのは大半がアドリブを効かせた
右サイドからの攻撃だった。
監督に言われたことをどれだけ実行するのか?
監督はどこまで選手に戦術を伝えればいいのか?
この境界が曖昧でグチャグチャになっている。
例えば、黒川が仕掛ける…と見せかけてアラーノを3バックの間に走りこませるとか。
弦太の所からサイドチェンジ・・・と見せかけて一定時間右サイドからひたすら攻めるとか。
ジェバリが入ったのであればひたすらジェバリにハイボール勝負させるとか。
やれる事はいくつもあった。
選手も悪いが監督も悪い。
契約更新は間違えでは無かったと、監督は証明して欲しいし
選手はもっと現場でのアドリブ力を身に着けて欲しい。
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