右サイド職人とFWからのコンバート


徳島の右サイドの争いが面白い。


アンダーカテゴリーの代表経験やJ1経験も豊富。

その間、一貫して右サイドを指定席として活躍し、

ベテランの域に達した藤田征也。


FWとしてセレッソユースから昇格を果たすものの、

トップチームの壁は厚く、J2クラブへレンタル移籍の後、

昨季途中に徳島ヴォルティスへ完全移籍を果たす。

そして、ポジションは徐々にポジションを下げていき、

右ウイングバックにのみならず、右サイドバックとしても

起用されている岸本武流。


この二人のポジション争いが熾烈を極めている。

特に今期は交代枠が5人になっている影響もあり、

試合中での交代も多く行われている。


その試合の一つである第32節対東京ヴェルディ戦。


フォーメーション図

前節にオウンゴールを献上するなど、

あまりパフォーマンスの良くなかった岸本ではなく、今節はスタートに藤田を起用。

後半開始から藤田に代えて岸本を投入している。


藤田はこれぞ右サイド職人というクロスからのアシストで、

清武の先制点をアシストしている。


藤田の長所は

クロスの精度、セットプレーのキッカー、右サイドバックとしてのポジショニング

あたりがあげられる。


一方で岸本の長所は

1対1での仕掛け、攻撃性、ヘディングでの競り合い

あたりだろうか。


両社ともお互いが持っていない能力を持っており、

監督はチーム戦術によって使い分けている。


反対に考えれば、

藤田の1対1の仕掛けは迫力に欠けるし、

岸本の右サイドバックでのポジショニングは不安定だ。


だからこそ監督は試合展開によって、またはチーム戦術によって

右サイドを使い分けている。

その結果、年齢構成的にも持った能力を考えても

お互いが良いライバル関係で切磋琢磨しているように見える。


これは監督を中心としたチームのみならず、

編成を担当している強化部の成果といえるだろう。


話を戻し、両者の攻撃の個人スタッツ。


攻撃スタッツ - 藤田 征也攻撃スタッツ - 岸本 武流

藤田のクロス精度は流石だが、今シーズンは岸本もクロス精度があがり

得点シーンに絡むクロスを何度も上げている。


続いて守備の個人スタッツ。


守備スタッツ - 藤田 征也守備スタッツ - 岸本 武流


やはり特筆すべきは岸本の空中戦の数とその勝利数。

明確にチーム戦術に組み込んでいるリカルド・ロドリゲス監督にあっぱれ。


そして、ヒートマップ


ヒートマップ - 藤田 征也ヒートマップ - 岸本 武流

藤田起用時は守備の際も明確な右サイドバック、

岸本起用時は守備の際は右ウイングバックになるケースが多い。


今節もそのようなヒートマップになっており、

ここらへんを注目するのも面白い。


最終節までお互い怪我なく、

引き続き熾烈なポジション争いを繰り広げられれば、

おのずと昇格はついてきてくれるだろう。


楽しみだ。