第1節・第2節はともに3-0で勝利したサンフレッチェ広島でしたが、第3節は敗戦、第4節はスコアレスドローでの引き分けと、ここ2試合は勝利できていません。勝ち点7で迎えた第5節はホームでセレッソ大阪と対戦しました。
広島は前節までの3-4-2-1ではなく3-5-2のフォーメーション、一方のセレッソは4-4-2の布陣でした。広島は永井龍が今季の公式戦初スタメンとなり、永井とレアンドロペレイラの2トップで試合に臨みました。
坂元の深い切り返し
前半、広島は坂元達裕のドリブルに苦しめられました。
5分、広島の最終ラインと中盤の間でパスを繋いだセレッソは左サイドの丸橋祐介へ展開します。丸橋はクロスを上げましたが中には合わず、逆サイドの坂元がボールを拾います。坂元は左足でクロスを上げるふりをして深い切り返し。対応していた森島司はついていけず、ペナルティエリアに進入されてしまいます。坂元のクロスは青山敏弘がブロックしたため事なきを得ましたが、セレッソのドリブラーに気持ちよくプレーさせてしまいました。
同じようなシーンが20分にも起こります。松田陸のパスをタッチライン際で受けた坂元はペナルティエリアに向かってドリブルを開始。マッチアップした清水航平は縦を警戒しながら対応していました。坂元は縦へ行くと見せかけて内側へボールを置き、左足でクロスを上げる素振りを見せます。清水は一瞬反応が遅れ、慌てて足を出しましたが、坂元はクロスを上げずに切り返して縦へ突破しました。坂元が右足で上げたクロスは佐々木翔のオウンゴールを誘発し、セレッソに先制点が生まれました。
広島は坂元の深い切り返しに対応できず、前半20分までに2度もペナルティエリア内からクロスを上げられてしまいました。2本目のクロスはオウンゴールにつながってしまい、広島は今シーズン初めて先制点を奪われました。
3-5-2の影響
0-1とリードされた広島はその後もセレッソの攻撃陣に自由を与えてしまいます。
この試合、広島は慣れ親しんだ3-4-2-1ではなく、ペレイラと永井を2トップとする3-5-2の布陣で戦っていました。2トップを中心に高い位置からプレスをかけ、セレッソのパスコースを限定する狙いでしたが、前半はあまり機能していないように感じました。前線の枚数を増やした事で中盤の人数が少なくなり、アンカーの脇にスペースが生まれていました。
象徴的なシーンが28分にありました。
キーパーのキムジンヒョン(上図の背番号21)までボールを下げたセレッソに対し、広島は前線が高い位置を取ります。2トップがセレッソのセンターバックを、トップ下の2人、この場面では森島(上図の背番号10)と青山(上図の背番号6)がダブルボランチをそれぞれケアしながら、相手のパスコースを限定していました。しかし、センターサークルの横には大きなスペースが生まれ、フリーになっていた坂元(上図の背番号17)へパスを通されてしまいました。
広島は高い位置からプレッシャーをかけていましたが、中盤のスペースをセレッソに上手く利用されマイボールにすることができませんでした。また、長いボールを蹴らせることに成功しても都倉賢の体を張ったポストプレーに苦しみ、前半は守備に追われる時間が多かったです。
後半開始早々の失点
0-1とリードされて後半を迎えた広島は、高さのあるドウグラスヴィエイラとドリブルで仕掛けられる藤井智也を投入し、得点を取りにいきます。しかし、50分に自分たちのミスから追加点をセレッソに与えてしまいました。
ペナルティエリア内で林卓人からのパスを受けた荒木隼人がセレッソの選手2人に囲まれます。荒木はなんとかボールをキープし森島へパス。森島はワンタッチで浮き球のパスを川辺駿へ送りますが、藤田直之のプレスに焦った川辺がトラップを失敗し、セレッソにボールを奪われてしまいます。ショートカウンターから最後は藤田にシュートを決められ、2点差にリードを広げられてしまいました。
失点直後のPK
追加点を奪われた広島でしたが、直後のプレーでPKを獲得します。
リスタート直後、セレッソは2点目のシーン同様、高い位置からプレスをかけにきました。広島はショートパスを繋ぎ、下がって受けにきた森島へ荒木がパスを送ります。森島は下がって受けると見せかけて180度反転し、プレスにきていたレアンドロデサバトをかわします。そのまま敵陣へドリブルで持ち運ぶと、前方のヴィエイラへスルーパス。抜け出したヴィエイラはペナルティエリア内でマテイヨニッチに倒され、PKを獲得しました。このPKをヴィエイラが自ら決め、すぐさま1点差に戻しました。
2失点目の場面ではセレッソのハイプレスによってボールを奪われ、ショートカウンターを受けてしまいました。しかし、直後には森島の鋭い反転でセレッソのプレスをかわしPKを獲得しました。相手のハイプレスをかわせずにボールを奪われ失点した場面と、ハイプレスをかわしてPKを獲得し得点した場面。正反対の局面が連続して起こり、サッカーは面白いなと改めて感じました。
広島ペース
1-2となってからは広島が攻撃する時間が多くなりました。広島はエースストライカーのペレイラを中心にセレッソゴールへ迫っていきます。
73分、ペレイラがペナルティエリア内から左足でシュートを放ちますが、キムジンヒョンが体に当ててブロックしました。4分後にはハイネルがミドルシュートでゴールを狙いましたが、キムジンヒョンがセーブ。その後もヴィエイラや青山らがシュートを放ちますがセレッソのゴールを割ることはできませんでした。
83分にはヨニッチからボールを奪ったペレイラが決定機を迎えましたが、キムジンヒョンが左手でセーブ。直後には青山をベンチに下げ、ハイネルがアンカーを務めるなど攻撃的な布陣で臨みましたが最後まで2点目を奪うことはできず。キムジンヒョンの6本のシュートセーブもあり、1-2でセレッソに敗れてしまいました。
総括
前半はセレッソペース、後半は広島が主導権を握る展開でした。広島は3-5-2のシステムで挑みましたが、前半は前線からのプレスが機能せず中盤のスペースをセレッソに利用されてしまいました。後半は攻撃する時間が多くなり、枠内シュートの数も多かったですが、キムジンヒョンを中心としたセレッソの堅い守備を破ることができずPKの1点のみとなってしまいました。
これで広島は3試合勝ちなし。いずれの試合も1点以下であり、複数得点が勝敗の鍵を握るのではないかなと思います。
第6節は7/22(水)、ガンバ大阪とのアウェーゲームです。
複数得点での快勝を期待したいと思います。
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