前節、今季最多の4得点で開幕戦以来の勝利を掴み取ったレノファ山口FC。

第7節はアウェーでギラヴァンツ北九州と対戦しました。北九州は昨年のJ3で優勝し今シーズンからJ2に復帰。4年ぶりの関門海峡ダービーとなりました(今節がダービー3試合目であり、通算成績は山口の2勝)。

   フォーメーション図 フォーメーション図

フォーメーションは両チームともに4-4-2。北九州は5試合連続で同じスターティングイレブンとなりました。一方の山口は勝利した前節から1人を変更しました。


速いパス回しと背後への意識

序盤、山口は北九州の組織的な攻撃に翻弄されていました。

北九州は攻撃時の選手間の距離が近く、選手が流動的に動きながらリズムよくパスを回していました。パスは正確で、パススピードも速いため、山口はボールを奪えず押し込まれる時間が続きます。また、北九州はショートパスだけでなく、サイドチェンジの長いパスも使っており、人数をかけて山口の守備陣形を崩そうとしていました。

また、北九州はディフェンスラインの背後への意識が非常に強いように感じました。実際にパスが供給される場面は少なかったですが、中盤や最終ラインの選手がフリーでボールを持つと中央寄りにポジションをとったサイドハーフやトップの池元友樹らがディフェンスラインの背後へ走り出していました。2人の選手が同時に動き出す場面も何度かあり、チームの決まり事として最終ラインの裏への動き出しが徹底されているようでした。

さらに、サイドでボールを持った選手に対して山口のサイドバックがプレスにいくと、近くの選手がその裏のスペースへ走り山口のボランチやセンターバックをサイドに釣り出していました。

11分のシーンでは、右サイドバックの川井歩(上図の26番)がプレスをかけに前へ出た瞬間に、中央寄りにポジションをとっていた椿直起がサイドの裏のスペースへ走り出していました。ボランチの高宇洋がついて行ったためパスは出ませんでしたが、今度は中央にスペースが生まれそこを利用してパスをつないでいました。選手が流動的に動いてスペースを作り正確かつ速いパスを使って山口の守備を崩そうとしていました。


プレスが遅れて失点

北九州に主導権を握られながらもなんとか凌いでいた山口ですが、28分に先制点を与えてしまいました。

ハーフウェーライン付近でボールを持った川井が、前線へ飛び出した高を見て最終ラインの背後へパスを送ります。しかし、ボールが少し長くなりゴールライン付近で北九州に回収されてしまいました。この時、山口は全体を押し上げ池上丈二や川井らが高い位置までプレスにいきました。しかし、ボールホルダーへのプレスがワンテンポずつ遅れてしまい、パスを繋がれてカウンターを受けてしまいます。4対4と数的同数の状況となり、最後は髙橋大悟にシュートを決められ1-0となりました。


北九州にボールを奪われた時、攻撃のために飛び出していたボランチの高が最前線にいました。この時、サイドハーフやトップの選手がボランチの位置に下がって攻撃を遅らせるのではなく、前線からプレスをかけて敵陣でボールを奪い返しにいくという選択をしました。ただ、プレスが遅れたことにより、ボールを奪い返すどころかバックパスをさせることすらできませんでした。パスを繋がれて縦に速い攻撃を許してしまったため、ボランチの高やサイドバックの川井が戻る時間を作れず、失点を招いてしまいました。


右サイドからの攻撃

5試合連続で前半に先制点を与えてしまった山口。失点の場面では右サイドバックの川井が敵陣までプレッシャーをかけにいっていましたが、攻撃でも川井は高いポジションをとっていました。山口がディフェンス陣でパスをつないでる時でも、川井は高い位置を取り、時には北九州の最終ラインと同じ高さにいました。センターバックの菊地光将から川井へロングフィードが送られる場面もあり、川井のポジションがサイドバックとは思えないほど高かったです。左サイドバックの安在和樹と川井のヒートマップを比較しても、川井の方が相手のゴールにより近い位置でボールに触っていることが分かります。

    攻撃スタッツ - 川井 歩 ヒートマップ - 川井 歩

    攻撃スタッツ - 安在 和樹 ヒートマップ - 安在 和樹


山口は川井と池上の右サイドから攻める場面が多かったです。2人とも積極的にドリブルで仕掛けるタイプではなく、中へのクロスが主な攻撃でした。精度はそれほど高くありませんでしたが、単純なクロスだけではなく、アーリー気味のクロスやライン間にポジションを取っていたイウリへのグラウンダーのパスなど決して単調な攻撃ではなかったです。特にイウリへのパスは効果的で、得点には結びつきませんでしたが良い形だったと思います。


主導権を握った後半

前半途中から山口は北九州のテンポの良いパス回しに徐々に慣れ、次第に山口が主導権を握っていきました。後半は山口が攻める時間が多くなり、北九州ゴールに迫っていました。

57分には池上と小松蓮の連携から右サイドを崩し、池上がファーサイドへクロス。高井和馬が折り返し、最後は走り込んできた高がシュートを放ちましたが、キーパーにブロックされ惜しくも得点とはなりませんでした。

66分には左サイドでの高のボール奪取から素早くパスをつなぎ、右サイドの池上へ展開します。背後から追い越していった川井を囮に、池上はクロスを入れますがわずかにイウリに合わず。前半でもチャンスになっていたカウンターからゴールに迫りましたが、得点を決めることはできませんでした。

76分には最終ラインの背後へ抜け出した小松に、途中出場の吉濱遼平から浮き球のパスが送られますが、パスがわずかに長くなり小松は届かず。様々なパターンを駆使して攻めるものの同点に追いつくことはできませんでした。


攻勢を強めて得点を奪おうとしていた山口ですが、北九州ゴールを割ることはできず。82分には、途中出場のディサロ燦シルヴァーノに追加点を決められてしまい、リードを2点に広げられてしまいました。その後も攻めた山口ですが、最後まで得点を奪うことはできず2-0の敗戦となってしまいました。


無得点での敗戦

山口は前節4得点で快勝したものの、今節は無得点での敗戦となってしまいました。ただ、決定的なチャンスも何度かあり、攻撃の形は作れていたと思います。特に右サイドの川井や池上を中心とした攻撃は、クロスの精度やアイディア次第で得点に結びついていくのではないかなと思います。

一方で、今節は左サイドからの攻撃が少し物足りないように感じました。高井のヒートマップを池上のものと比較すると、高井はゴールに近い位置でのボールタッチが少なく、タッチライン際でのプレーが多くなっていることが分かります。

    攻撃スタッツ - 高井 和馬 ヒートマップ - 高井 和馬

    攻撃スタッツ - 池上 丈二ヒートマップ - 池上 丈二

高井はドリブルで仕掛けられる選手であり、池上は味方をうまく使うパサーなので、それぞれのプレースタイルがヒートマップの違いにつながっている可能性は大いにあります。ただ、高井はシュート技術も優れているため、ゴール前でパスを受ける場面が増えれば得点を奪うチャンスも多くなると思います。あくまで個人的な意見ですが、得点を取るために高井にはゴールに近い位置でのプレーを増やして欲しいです。


総括基本スタッツ

前半は北九州の完成されたパス回しに翻弄され、苦しい時間が続きました。5試合続けて前半に失点する展開となってしまい、後半は攻め込む時間が増えたものの追いつくことはできず。終盤に追加点を奪われて2-0で敗戦となりました。無得点かつ複数失点と攻守両面で課題が残る結果となってしまいました。


第8節は7/29(水)、ホームで現在J2首位のV・ファーレン長崎と対戦します。

今シーズンいまだ負けなしの強敵ですが、下克上を起こして欲しいと思います。