1、今回の可視化のテーマ


 両チームの監督のマジックを解明するぞっと言って、簡単に分かればいいんですが、私の知識や経験値では、それは難しいと思っています。しかしながら、理解したい知りたいという気持ちがあれば、少しだけでも発見や気付きがあるかもしれない。


 そうなるとサッカーが楽しくなるかもしれないですよね。他のレビューで触れた部分もあるのですが、そこを裏付けることができるデータがあるのか、探していきたいと思います。


 マジックの考察のベースは、以下の体感をメインとしたレビューです。今回は、そのマジックをデータで、比較する感じの構成となっています。




 それでは、よろしくお願いします。


基本情報図(図=figure:杉野 雅昭=Masaaki Sugino)


2、グレイソン 選手対策は効いていたのか?


 試合を観た印象ですが、CB2枚で9グレイソン 選手を抑えて、シャドーの2枚の動きのパスコースを切るように、マンマーク気味に山口の選手はスペースを埋めていました。


 それが、どういった効果があったのかは以下の通りです。


パスソナー・パスネットワーク

パスソナー・パスネットワーク(図=figure:SPORTERIA提供)

↑左から第3節山口戦、第2節いわき戦、第1節栃木戦


 図が小さく見難いと思いますが、数値が重要なのでご容赦下さい。


栃木戦

9グレイソン 選手(30回)

19岩渕 弘人 選手(24回)

27木村 太哉 選手(18回)


いわき戦

9グレイソン 選手(23回)

19岩渕 弘人 選手(21回)

27木村 太哉 選手(20回)


山口戦

9グレイソン 選手(17回)

19岩渕 弘人 選手(22回)

27木村 太哉 選手(22回)


 観ての通り3-0で勝利することができた開幕戦の栃木との試合が、最も9グレイソン 選手のパス数が多くなっています。岡山としては、やはりここで如何にポストプレーができるかは、得点力に直結する重要なポイントであると言えそうですね。


 だからこそ、苦しんだ山口戦は、ここを抑えられていたことがはっきりと伝わってきます。もう1つのレビューの方で言及できなかったのですが、後半にシャドーの2人の選手が、触れた部分があったといえ、シャドーをマンマーク気味というよりは、もしかすると9グレイソン 選手を4人で囲い込むようなイメージで、シャドーの前進の選択肢を制限していくイメージの方が近いかもしれませんね。


3、岡山の3トップへの対策の副作用は?


 2項で言及した通り3トップへの対策を山口は徹底しました。しかしそこには、当然ながらメリットもあればデメリットもあります。4人態勢で、岡山の3トップをしっかり見る態勢で戦っていますから…


デメリット

①山口のSBの所で、岡山のWBを1対1で止めないといけないシーンが出てくる。

②岡山のDH&CBの5選手に対して、1人少ない4人で対応する形となる。

③山口の2トップの役割が広くなりすぎる。


①に関する検証

「山口のSBの所で、岡山のWBを1対1で止めないといけないシーンが出てくる。」


攻撃スタッツ - 末吉 塁攻撃スタッツ - 柳 貴博

3節 山口戦:17末吉 塁 選手 & 88柳 育崇 選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 やはり数値を観ても1対1で仕掛けたり、上手くマークをかわして、クロスまで行けていた事が分かるデータかと思います。


1節 栃木戦:17末吉 塁 選手 & 88柳 育崇 選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 17末吉 塁 選手は、誤差の範囲とはいえ、実は山口戦の方が数値的には良いんですね。1対1で仕掛けるという部分では切り返してアジリティで突破する形があるので、持ち味がでた感じかもしれません。


 一方で、88柳 貴博 選手は、スピードを活かして裏に抜けてたのですが、9グレイソン 選手に2人付いてる感じだったシーンもありましたし、守備をする山口の選手が中に多くいたので、シュートに繋がるクロスを通すというシーンをなかなか作れなかった事で、ラストパスの回数が栃木戦ほど伸びなったと言えるかもしれません。


 この辺り対峙する山口の選手のデータにも出てますね。


守備スタッツ - 前 貴之守備スタッツ - 平瀬 大

15前 貴之 選手 & 40平瀬 大 選手:守備スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 スピードのある17末吉 塁 選手に対応するために、縦を切った距離感で対峙していたが、それでも突破を許していた。17末吉 塁 選手のスピードと運動量は、個人的な認識ですが、J2屈指の選手であるので、なかなか対応が難しいの部分あるかと思いますので、15前 貴之 選手の対応が悪かったわけではないかと思います。その分、40平瀬 大 選手も対応せざる得ないシーンもあったが、対人守備の巧さが光るタックルの成功回数。


守備スタッツ - キム ボムヨン守備スタッツ - 新保 海鈴

6キム・ボムヨン 選手 & 48新保 海鈴 選手:守備スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 左CBであったが、24藤田 息吹 選手のスルーパスで裏に抜け出した88柳 貴博 選手のクロスを6キム・ボムヨン 選手が、カットしてクリアやブロックしていたシーンが記憶に残っています。逆に、右SBの新保 海鈴 選手は、しっかりポジションを取って簡単に突破させない守備ができていましたが、スピード勝負のパスが出された時にはノーチャンスというシーンも多かった。88柳 貴博 選手自体も無理攻めをしないタイプなので、判断の面でクレバーだと感じますね。


 9グレイソン 選手を抑えられた一方で、サイドではしっかり形を作る事ができていた事を証明できるデータと言えそうです。



②に関する検証

「岡山のDH&CBの5選手に対して、1人少ない4人で対応する形となる。」


 この試合の岡山のDHとCBの選手は、比較的プレーを判断する余裕はある場面が多かったと思います。


パスソナー・パスネットワーク

岡山:パスソナー・パスネットワーク(図=figure:SPORTERIA提供)


 ポイントとして、DFラインでしっかりパスを回せてますし、右に位置する24藤田 息吹 選手とDF間のパス交換も頻繁に行われますね。そして、岡山サポーターの皆さんならご存知かと思いますが、左はパスを繋がりながら前進していく崩しもできるので、結構高い位置まで上がるんですよ。


 ただ、このデータは、流れをイメージして貰うというデータで、やっぱりデータ的には、DHとCBのパス数は、大体多くなりがちなんですよ。だから、次の個人スタッツを観て欲しいです。


攻撃スタッツ - 田部井 涼攻撃スタッツ - 藤田 息吹

3節 山口戦:14田部井 涼 選手 & 24藤田 息吹 選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 まず、着目して欲しいのは、シュート数ですね。9グレイソン 選手に対して、4人で対応するようなイメージであれば、やっぱりどうしても中央の低い位置に人数が揃うシーンがどうしても多くなると思うのです。なんというか完全にフリーで、寄せが間に合うことなく、シュート行けているので、やっぱり岡山の後方に位置する選手までの山口サイドの守備の人数が「人数的に足りてない場面が多い」じゃないかと感じますね。


 後は、やっぱりラストパスを出すまでにしてもプレスが来るまで余裕があるシーンも多いですよね。いわき戦なんかは、ミラーゲームという事もありますけど、結構ギリギリの判断を攻守で迫られていました。


第2節 いわき戦:14田部井 涼 選手 & 24藤田 息吹 選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 嚙み合わせこそありますが、どうしてもシュートを打つことができていても、ラストパスを出せるというシーンは限定的になっています。


 開幕戦の栃木戦をみてみましょうか。


第1節 栃木戦:14田部井 涼 選手&24藤田 息吹 選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 完勝した栃木戦でもこの数値で、山口戦ほどの攻撃スタッツに到達していません。ここから見えてくるポイントとして、やはり9グレイソン 選手のポストプレーを軸とした攻撃は封じられたもののその分、先ほど説明したWBで攻める所であったり、DHでしっかり形を作る事ができた試合となった。


 得点にこそ繋がりませんでしたが、違う形で攻撃ができるという事を内外に示すことができたんじゃないかなと思います。


 そして、4阿部 海大 選手の攻撃参加であったり、この試合出場停止であった18田上 大地 選手のフィードのような「足を使った攻撃」で5柳 育崇 選手では出せなかったかもしれませんが、この試合でもより輝いたDFの選手がいます。


攻撃スタッツ - 鈴木 喜丈

43鈴木 喜丈 選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 もっとできる選手ではあるんですが、パスでゴール前に迫っていくには、中央が分厚かったので、なかなか難しかったですが、その前の組み立てやゴール前に入っていくシーンとかで存在感を示す事ができた選手の1人ですね。今後の活躍により期待したいですね。


③に関する検証

「山口の2トップの役割が広くなりすぎる。」


攻撃スタッツ - 若月 大和攻撃スタッツ - 梅木 翼

9若月 大和 選手 & 24梅木 翼 選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 こちらには、違うレビューでは言及はしていなかったですが、5柳 育崇 選手が空中の競り合いに勝っていた事で、FWを起点にするという攻撃はなかなかできなかった事と、この2トップに良いパスをなかなか配給できなかったことが分かるデータです。


 一方で、毀れ球に対して、セカンドボールを回収してから2次攻撃を巡る攻防は、多くみられた試合であったと思いますので、ターゲットなっていた24梅木 翼 選手の攻撃機会と守備機会は伸びていました。一方で、競り勝てて落とせればという部分でのプレー機会は、やっぱり少なかったようです。


守備スタッツ - 若月 大和守備スタッツ - 梅木 翼

栃木戦:9若月 大和 選手 & 24梅木 翼 選手:守備スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 なかなか9若月 大和 選手が、攻撃だけではなく、守備でも絡める回数が少なかった事が分かる。一方で、24梅木 翼 選手は、攻撃ではターゲットとして、守備ではファーストディフェンスやネガティブトランジション(攻撃→守備への切り替え)の所と、セカンドボールを握る攻防。そして、この試合多かったセットプレーの守備でも存在感を示していたという数値だと思います。


 ここを観て、大活躍していて、機能していると解釈するか、上手く攻撃ができていなかった事で、守備機会が多くなったかで、解釈が分かれても不思議ではない。


 ただ、次の岡山のDFラインの守備スタッツを観ると後者かなと感じますね。


守備スタッツ - 鈴木 喜丈守備スタッツ - 柳 育崇守備スタッツ - 阿部 海大

第3節 山口戦:43鈴木 喜丈 選手 & 5柳 育崇 選手 & 4阿部 海大 選手:守備スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 岡山のDFラインの3選手で、山口のロングパスを跳ね返す事ができていた事が分かるデータ。それにしてもシュートに対する寄せてからのブロック数が多くなっている点は、今季の成長で、開幕戦から良い意味で目立っていますね。


4、山口の攻撃は、本当にネガトラを強く意識していたのか?


 岡山の攻撃が、山口の壁の打破を狙ったいたのに対して、山口は、岡山の寄せを呼び込んで、食いついたスペースを突くというパスワークで、岡山のゴール前の守備を揺さぶっていた印象に強かった。


 私は、これを、ネガティブトランジション(攻撃→守備の切り替え)を強く意識していたため、得点を積極的に獲りに行くパス回しではなく、守備を意識して慎重にパスを回していたと捉えていましたが、果たして本当なのか?データで検証していきたいなと思います。


時間帯別パスネットワーク図

山口:時間帯別パスネットワーク図(図=figure:SPORTERIA提供)


 ちょっと、この図から何が読み取れるか問われると難しいですが、9グレイソン 選手を抑えるという狙いを持った守備ができていた前半のポイントとして、CBの2人の立ち位置が、ほぼ変わっていないんですよね。これは、恐らく9グレイソン 選手を常に観ていたため、攻撃でも守備でも傍でプレーすることを意識してたことが読み取れると思うんですよね。


 普通は、押し込まれて攻める事ができることができれば、ラインが高くなったり、低くなったりするんですが、前半0~45分間の平均ポジションが変わっていない事から、ブレずにタスクをやり遂げたいたことが分かる。つまり、攻撃の時も守備の時も9グレイソン 選手を意識していたと、少し強引ですが、解釈しても良いのではないかなと感じます。


ヒートマップ - グレイソン

9グレイソン 選手:ヒートマップ(図=figure:SPORTERIA提供)


 このヒートマップの濃いエリアが、山口のCB2人の平均ポジションの位置に近いので、ほぼ間違いないないんじゃないかと思いますね。


 後はまぁ、山口の15前 貴之 選手は、相当岡山の17末吉 塁 選手の対応に苦しんでいたんだろうという事が平均ポジションの低さから感じますね。また、9若月 大和 選手に、なかなかパスを通すことができなかった(ゴール前に入ってフィニッシュの形をなかなか作れなかった)苦しさを示すデータとして、セットプレーの守備のデータが平均ポジションの位置として残って、前半15~30分では、DFより低い位置になってますね。


ヒートマップ - 若月 大和

9若月 大和 選手:ヒートマップ(図=figure:SPORTERIA提供)


 なかなか9若月 大和 選手が触れなかった事が分かるタッチした位置と回数を基にしたヒートマップ図。


 そして、前半30~45分の高い位置でプレーできた時間は、高い位置でも距離感良くプレーできている事が分かりますね。普通は、ロングパス主体の攻撃になると、極端に分断された図になることが多いですが、前半0~45分を観ても距離感の良い平均ポジションになっています。


 これは、やはり24梅木 翼 選手が、競り勝てればベストですけど、そこで競り勝てなくてもセカンドボールを巡る攻防を強く意識していたサッカー。つまり、ロングパスを蹴った時は、山口の攻撃という訳ですから、そこで競って終わりではなく、確率低いことを想定して、しっかり難易度の高いネガティブトランジションを意識した戦い方ができていたんだと思います。


 また、その後のネガティブトランジションでマイボールにできなかった時でも、カウンターを受けそうならファールで止めるケースと、陣形を整えつつ、岡山の攻撃を受け止める。こういった所まで、約束事が徹底されているからこそ、距離感の良いデータとして、残っているだと思います。


ヒートマップ - 田邉 光平

37田邉 公平 選手:ヒートマップ(図=figure:SPORTERIA提供)


 状況に応じて、明確にポジションを変えていたことが分かる37田邉 公平 選手のヒートマップ図。


 断言は難しくてもネガティブトランジションを意識している。つまり、攻撃をしつつも守備の意識というか準備できていると、苦しいですし、やはり強引な結論かもしれませんが、言ってしまっても良いんじゃないでしょうか。


5、パスの一歩先の攻防


 この試合の山口のパスワークは、距離感良く、岡山の寄せを見切りつつ中への打開を探っていた。ロングパスで前に運びつつもセカンドボールを回収後に全体をコンパクトに押し上げる事で、人数を掛けて、岡山の陣地で回すということ自体はできていた。


 ただ、仕掛ける。崩す。といった所まで到達できなかったことで、山口の得点シーンは生まれる事はなかった。そういった仕掛ける回数の少なさは、こういった平均タッチポジションとして出ていたデータがあった。


ヒートマップ - 末吉 塁ヒートマップ - 柳 貴博

17末吉 塁 選手 & 88柳 貴博 選手:ヒートマップ(図=figure:SPORTERIA提供)


 観ての通り、守備に戻ることもありましたが、山口の選手がドリブルで仕掛けてサイドを抉るという攻撃パターンが少なかった事で、17末吉 塁 選手と88柳 貴博 選手が守備で触るというシーンは限定的であったと言えるでしょう。


 それだけ山口のパスが良く回ったと言えるかもしれませんが、結果的にサイドから仕掛けたと岡山とサイドから仕掛ける攻撃の少なかった山口との差は次のデータとして出た。


基本スタッツ

基本スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 基本スタッツ?と思われるかもしれませんが、ここのCK数の所が、結果的に決勝点になってますから、結果的に勝負を分けたポイントなったと言えると思います。


 ゲームプランとして、3トップを良く抑えて、攻撃時もネガトラを意識しつつ、岡山の守備の綻びを探しつつ、餌を巻きつつ、揺さぶっていた山口でありましたが、やはり、木山 隆之 監督が、試合前に「いつも通り」を強調してましたが、そういった部分でも自分達のスタイルをぶれない強固な基本戦術を構築していたなと感じるゲームであったと思います。


 昨年までであれば、そういった誘いに乗って、ファールに繋がる軽率なプレーや判断の誤りや遅れが多く、勝負弱かった試合が多かったです。いわき戦でこそ、スーパープレーが生まれた事と風下の影響、そして、J2屈指のフィジカルをベースとしたサッカーで、判断こそ誤った部分こそありますが、基本的にぶれない「軸」を今季は、構築できているように感じます。


 そして、やはりですが、試合を渡さなかった90分間の流れの部分で、ここまで紹介した岡山の左右のWBの二人も良かったですが、スタメンのDHの2人、14田部井 涼 選手と24藤田 息吹 選手も良かったですよね。


 攻撃のデータは、紹介してきたのですが、守備も良かったんです。


守備スタッツ - 田部井 涼守備スタッツ - 藤田 息吹

14田部井 涼 選手 & 24藤田 息吹 選手:守備スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 CKのチャンスメークが光った14田部井 涼 選手の守備貢献度も高いですが、24藤田 息吹 選手のこぼれ球奪取の7回は、素晴らしいですね。ここで拾われていたら、それだけ守勢に回って、攻める時間が減る訳ですからより難しいゲームになっていたと思います。


 岡山としては、この2人が攻守での貢献度が高いので、ハードワークできるという事で、プレー関与率が高いことは、やっぱり武器なんだと思います。


 対策をすれば、どこかに隙ができる。「じゃんけん」のような部分もあって「対策→対応→変更→対応→変更(元に戻る)」みたいなこともあるわけで、そこに対して、どういった手段があるかという事が問われる訳ですが、岡山は、この試合では、そこの対応力というベースの部分を発揮できたかなと感じます。


「走攻守」「強さ高さ速さ」「組織個人監督」といった総合力の強さは、やはり今季の岡山の強さだと再認識できた一方で、まだまだ課題も出た試合ではあると思うので、1週間またしっかり政田で、準備して、今季初の連勝で、1位をキープして欲しいなと思います。


攻撃スタッツ - グレイソン

栃木戦→いわき戦→栃木戦:9グレイソン選手:攻撃スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 試合や状況に応じて、プレースタイルが変わる万能ストライカー。


守備スタッツ - グレイソン

9グレイソン選手:守備スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 守備での貢献度も高い。岡山を象徴する選手になりつつある。


ヒートマップ - 梅木 翼

24梅木 翼 選手:ヒートマップ(図=figure:SPORTERIA提供)


 岡山を苦しめた24梅木 翼 選手のヒートマップ。試合終盤に退場こそしてしまったが、守備重視の戦い方の中で、5柳 育崇 選手との空中戦にこそ苦しんだが、運動量もあって攻守でのプレーへの意識の高さから、山口のベクトルを前に牽引。


 だからこそ、退場は山口としてはかなり痛かった。次節出場停止であるのでは、山口としては、かなり痛手だが、9グレイソン 選手対策された岡山が違う形を模索した通り、山口の志垣 良 監督であれば、何かしらの手段を用いて、戦術の幅を広げて行くことは間違いない。


 J2屈指の戦術家と言える志垣レノファの今後が気になる試合となった。


6、余力と課題~総括~


 2試合連続で、得点はセットプレーのみ。そこで獲れるのも武器であるものの流れの中で、ピッチコンディションや岡山対策があったとはいえ、決定機だけではなく、その前に良い形も作れた中では、少し物足りない部分はやはりある。


 シンプルに得点力不足とまでは思わないが、少しずれている部分もあるので、そこへの修正は必要と言える。決定力不足目立っていたので、そこの感覚も試合を重ねる中で良くなってくるでしょうし、回数が増えてくれば、もっと得点できる気はしますね。


 まだまだ怪我で絡めてない選手もいますし、そこを含めて、これからもっと良くなっていくと思いますし、出場機会を巡るチーム内の競争もありますし、これからの試合が楽しみです。


ゴール期待値

ゴール期待値(図=figure:SPORTERIA提供)


 後半に流れを掴むことができた試合ではあったんですが、前半は、均衡のとれた試合であったことが分かりますね。後半に、交代選手を含めて、個の部分と粘り強い戦い方で、セットプレーで、先制できたことは大きかったですね。


 最後の余力という部分では、別のデータサイトのデータリンクを貼った上で、一部データを引用して紹介して、今回のデータでフォーカスを終えたいと思います。


Football LAB -2024 J2 チャンスビルディングポイント セーブ-

URL:https://www.football-lab.jp/summary/cbp_ranking/j2?year=2024&data=save

より一部引用。


セーブ
1位:熊本:3.48
ーーー省略ーーー
11位:愛媛:1.36
ーーー省略ーーー
19位:秋田:0.60
20位:岡山:0.32


 まだ、昇格候補と言えるチームとは当たっていないので、一概に安定しているとまでは言えませんが、そういった相手に対しても今日のような戦いができるようであれば、悲願達成が現実を帯びてきますね。


 ただそれでも、今日の山口戦を考えても岡山の目指す頂というのは、とてつもなく高い所にある。まだ3節だけですが、少しずつ登頂できたら良いなと思います。その過程で、この試合のようにハイレベルな試合について、その両チームの凄さであったり、強さであったり、攻防の記録という部分を少しでも皆さんに伝えつつ、一緒にサッカーを楽しめたらと思っています。


 今回も最後まで読んで下さり有難うございました。


文章・図(基本情報)=杉野 雅昭

text・figure=Masaaki Sugino

図=figure:SPORTERIA提供


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