前節から中2、3日での5連戦がスタートしたJ2リーグ。

黒星スタートとなったレノファ山口FCはアウェーでアルビレックス新潟と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

新潟はゴールキーパーの小島亨介が開幕戦以来の出場。一方の山口もサンドロが開幕戦以来のスタメン復帰となりました。


スペースを開けてしまい失点

前半は新潟が主導権を握っていました。縦パスやディフェンスラインの背後へのボールなど、新潟は積極的に前方へのパスを使っていました。山口は縦パスのコースを切れず、最終ラインの裏を簡単に取られるなど新潟の攻撃に対応できていませんでした。ボールを奪っても新潟の素早い切り替えによるプレスに捕まり、守備の時間が長くなっていました。

新潟ペースで試合が進む中、17分に先制点が生まれます。

コーナーキックのクリアボールを拾った新潟は左サイドで本間至恩がドリブル。ペナルティエリア内まで前進したところでマイナス方向にグラウンダーのボールを送ります。フリーになっていたマウロがクロスをダイレクトでシュート。これがゴール右に決まり新潟が先制しました。

コーナーキックの流れからの守備ということもあり、山口は陣形を整えることができていませんでした。本間(上図の10番)が深い位置でボールを持っていたことで、最終ラインもゴール近くまで下がらなければならず、マウロ(上図の3番)の前に大きなスペースを開けてしまいました。マウロのシュートを止めることはできず、10試合連続の失点となりました。


背後への抜け出しから追加点

失点後も新潟のペースは続き、29分には2点目を奪われてしまいました。

新潟は自陣からハーフウェーライン付近の渡邉新太にパスを送ります。トラップが浮いたところをサンドロと高が挟みましたがボールを奪い切れず、こぼれ球を拾った渡邉に前を向かれてしまいます。渡邉は最終ラインの裏へ抜け出したシルビーニョへスルーパス。シルビーニョがペナルティエリア内からシュートを放つと、キーパーの山田元気の体に当たりながらもボールはゴール方向へ転がります。山田が追いかけるも、走り込んできたロメロフランクに先に触られゴールへ押し込まれてしまいました。

山口としては、渡邉のトラップが浮いたところでボールを奪い切れなかったことが痛かったです。浮いたボールをクリアしようとサンドロがジャンプしましたが、その瞬間に足を痛めてしまいボールに触ることができませんでした。結果的にボールは渡邉の元へ転がり、前を向かれてしまいました。

また、シルビーニョがシュートを打つ瞬間、対応した眞鍋旭輝は全速力で戻ってブロックにいきましたが、サイドバックの安在和樹と武岡優斗は戻るスピードを緩めてしまいました。その結果、シュートのこぼれ球に素早く反応することができず相手に押し込まれてしまいました。J2再開後、10試合で20失点と守備に課題がある山口。「全力で戻る・スペースを埋める・シュートに体を寄せる」など基本的なことを徹底しなければ、失点は減らないと思います。


前半の内に1点差に

ほとんどチャンスを作れていなかった山口でしたが、リードが2点に広がった30分以降、連続して決定機を作りました。

34分、安在が高とのワンツーから敵陣深くまで進入しクロスを上げます。ゴール前でフリーになっていた高井和馬がヘディングで合わせましたが、ミートすることはできず。シュートはゴール上へ外れ得点とはなりませんでした。

36分には佐藤健太郎のインターセプトからチャンスを作ります。佐藤からパスを受けた高が前線のイウリへパス。イウリは1人をかわし相手を引きつけて、ペナルティエリア右の浮田健誠へパスを出します。ボールを持った浮田はファーサイドへシュートを打つと見せかけてニアサイドを狙います。左足から放たれた強いシュートがゴール右に決まり、山口が1点を返しました。

    攻撃スタッツ - 浮田 健誠 ヒートマップ - 浮田 健誠

30分以降、山口は複数回チャンスを作り、浮田のゴールで1点差に詰め寄りました。終盤は新潟に決定機を作られましたが、なんとかしのぎ2-1と1点ビハインドで前半を折り返しました。


新潟は10人に

後半、1点を追いかける山口は思わぬ形で数的優位な状況となります。

50分、ヘディングでパスを繋いだ眞鍋に対し、本間がアフタータックル。空中で接触したことで、本間にはこの試合2枚目のイエローカードが提示されます。本間は退場となり、新潟は40分近くを10人で戦うこととなりました。

新潟は1人少なくなったことでシステムを4-4-1に変更。自陣でブロックを形成して守る新潟に対し、山口は敵陣でボールを持てる時間が多くなりました。61分にはフリーでボールを持った佐藤がペナルティエリア内のイウリへ縦パスを通します。相手を背負ったイウリが反転を試みましたが倒れてしまいシュートに繋げることはできませんでした。


数的優位を生かせず

61分にイウリへ縦パスが入りましたが、その後はほとんど縦パスがありませんでした。4-4のブロックで中央を固める新潟を前に、ブロックの外を回す横パスが多くなりチャンスを作ることができませんでした。1点ビハインドの上に相手は10人ということを考えれば、通る確率が多少低くても相手の脅威になるような縦パスを積極的に使っていくことが必要だったと思います。

終盤は途中出場で1トップに入っていた矢村健や左サイドにポジションを変えた中島元彦のキープ等により、新潟に上手く時間を使われてしまいました。アディショナルタイムにセットプレーからチャンスを作りましたが同点に追いつくことはできず。試合は2-1で新潟の勝利となりました。

    攻撃スタッツ - 矢村 健 ヒートマップ - 矢村 健

    攻撃スタッツ - 中島 元彦 ヒートマップ - 中島 元彦


総括

基本スタッツ

山口は前半30分までに2失点と苦しい試合展開になってしまいました。前半のうちに1点を返したものの同点に追いつくことはできませんでした。特に後半は10人の新潟に対し数的優位を生かせず、シュート数も試合を通じて11本のみ。枠内シュートに至っては新潟よりも少ない7本となってしまいました。


第12節は8/16(日)、ホームで大宮アルディージャと対戦します。

強敵との試合となりますが、なんとか連敗を止めてほしいです。