第2節から第11節まで10試合連続で失点しているレノファ山口FC。

今節は、10試合でわずか6失点の大宮アルディージャとホームで対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

中3日での試合となった両チームはともに前節から5人を変更。山口は田中陸が今シーズン初スタメンとなりました。


コーナーキックの対応

序盤は大宮がより多くのチャンスを作っていました。5分、ディフェンスラインの背後へ抜け出した近藤貴司に浮き球のパスが通り、決定機を迎えます。ただ、山口の最終ラインは全力で戻り近藤に余裕を与えませんでした。その甲斐もあってか、近藤のタッチは大きくなり山田元気が間合いを詰めて防ぎました。

また、18分には山口の弱点であるコーナーキックからネルミンハスキッチが決定的なシュートを放ちました。ファーサイドからニアサイドに走り込んできたハスキッチが石川俊輝のボールに合わせてヘディング。シュートは枠を捉えゴール右上に飛びましたが山田がセーブし得点とはなりませんでした。失点パターン

山口は失点こそしなかったものの何度もピンチを迎えてしまいました。特に今シーズンの総失点のうち35%を占めるセットプレーへの対応は決して良くありませんでした。ただ、キーパーの山田を中心に粘り強く対応し、ゴールは割らせませんでした。


縦パスの意識

前半途中から山口も徐々にチャンスを作ります。この試合ではサイドからのクロス一辺倒になるのではなく、縦パスを使いながら相手の守備を中央から崩そうとする攻撃が多く見られました。トップ下の池上丈二と左サイドの高井和馬が頻繁に相手のライン間にポジションを取り、ボランチの高宇洋やヘナンからの縦パスを引き出していました。

    攻撃スタッツ - 池上 丈二 ヒートマップ - 池上 丈二

    攻撃スタッツ - 高井 和馬 ヒートマップ - 高井 和馬

ヒートマップからわかるように、池上は両サイドに顔を出してボールに関わっていました。パスだけでなくスペースにドリブルしたりクロスに合わせて前線に飛び出したりと、積極的に動き回り、山口の攻撃のほとんどに絡んでいる印象でした。

高井はこれまでの試合と比べ、中でプレーする場面が多かったです。システムやポジションの違いもありますが、サイドに張らず中央寄りにポジションを取ったことでチャンスに関わる回数も増えていたと思います。


ピンチの後の得点

前半は一進一退の攻防が続きましたが、両チーム得点を奪えず。0-0のままハーフタイムを迎えました。後半に入ってもお互いにシュートチャンスを作り、55分前後に大宮・山口ともに決定機を作ります。

54分、大宮は左サイドでパスを受けた近藤がドリブルでゴールエリア近くまで進入します。近藤のクロスは山口の守備陣に当たりますが、こぼれ球がゴール前でフリーになっていたハスキッチの足元へ転がります。ハスキッチはワンタッチでシュートを放ちましたが、山口の田中陸が体を張ってシュートブロック。大宮に得点を与えませんでした。

決定機をしのいだ山口は56分、オーバラップしてきた安在和樹が左サイドからクロスを上げます。ニアサイドの小松蓮の頭を越えたボールに対し、逆サイドから中に入ってきた浮田健誠が合わせシュート。これがゴールに入り浮田の2試合連続ゴールで山口が先制点を奪いました。

山口はハスキッチの決定的なシュートを田中陸が防いだ直後に得点を取りました。得点の場面でも田中陸から高へのパスが起点となっており、今季初スタメンとなった田中陸の活躍が目立ちました。田中陸は攻撃時に高い位置を取ることは少なかったですが、ビルドアップ時に上手く相手のプレッシャーをかわし時間を作っていました。今節はサイドバックでの出場でしたが、田中陸はボランチやトップ下でプレーすることも可能であり、過密日程においてチームを助ける選手になると思います。

   攻撃スタッツ - 田中 陸 守備スタッツ - 田中 陸


最後まで集中した守り

この試合、山口は粘り強い守備を続けていました。最終ラインの背後を狙われることも多く、前半から何度もピンチを迎えていましたが、シュートには体を投げ出すなどゴールは割らせていませんでした。前線の選手も高い位置からプレスをかけ続けたことで相手に余裕を与えず、奪ってショートカウンターに繋げる場面も多かったです。

終盤になっても山口は自陣に引いて守るのではなく、敵陣で相手にプレッシャーを与え続けました。90分には、相手のペナルティエリア内でキーパーにプレスをかけた池上が約20秒後に自陣ペナルティエリアでクリアするなど、11人全員が集中した守備を見せていました。

山口は最後まで隙を与えず、ラストの15分は大宮に1本のシュートも許しませんでした(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=08&date=16)。試合は1-0で山口の勝利!山口は開幕戦以来の無失点となりました。


総括

基本スタッツ

山口・大宮ともに何度もチャンスを作っていましたが、得点は山口の1点のみ。山口は最後まで集中した守りを見せゴールを許しませんでした。試合終了後にはキャプテンの池上が涙を流していましたが、苦しい状況だった山口にとってチーム一丸で掴み取った勝ち点3となりました。


第13節は中2日での試合となり、アウェーでザスパクサツ群馬と対戦します。

今節の流れを継続して、今シーズン初の連勝を達成してほしいです!