前節の敗戦によりJ2最下位に転落したレノファ山口FC。

浮上のきっかけを掴みたい第15節はホームでツエーゲン金沢と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

山口は1週間前の前節から3人を変更。8月に入って3ゴールと好調な大卒ルーキー、浮田健誠はベンチスタートとなりました。一方、前節6失点を喫した金沢は1人を入れ替え、ここまで5得点を挙げている大卒ルーキーの加藤陸次樹が2トップの一角に入りました。


不安定な立ち上がり

序盤、山口は金沢のプレスをかわすことができず、自陣でのボールロストが多くなっていました。

2分、田中陸のパスをインターセプトされると、4分には下がってパスをもらいにきたイウリがボールを取られてしまいました。奪われた直後、金沢のパスが繋がらなかったためピンチにはなりませんでしたが、ボールの失い方が悪かったです。また、直後には池上丈二が2人に囲まれてボールを奪われ、際どいシュートを打たれるなど、失点してもおかしくない立ち上がりでした。

毎試合、山口は攻撃時に最終ラインから繋いでチャンスを作ろうとしています。ただ、高い位置からプレスをかけてくる相手に対して、複数のパスコースを作ったりワンタッチで正確にパスを繋いだりすることができていない場面が何度も見られます。その結果、ボールを失い、相手のゴール近くまで攻め込めないケースが多くなっています。センターバックやボランチでパスを回し続けるのではなく、早めに縦にパスを入れて敵陣でプレーする時間を少しでも増やしてほしいです。


加藤の抜け出し

両チーム無得点のまま試合が進んでいきましたが、30分以降、山口は最終ラインの裏を狙われてピンチを迎えます。

30分、金沢は下川陽太のスルーパスに加藤が抜け出しシュート。山口はキーパーの山田元気が右手でセーブし失点は免れたものの、決定機を作られてしまいました。

また、36分にも下川から加藤にパスが通り、金沢はチャンスを作ります。センターサークル付近でボールを持った下川は山口の最終ラインとキーパーの間に浮き球のパスを供給。このパスに反応した加藤が山口のディフェンスラインの背後をとり、ワンタッチでシュートを放ちます。これがゴールに決まり、金沢が先制に成功しました。

    攻撃スタッツ - 下川 陽太 ヒートマップ - 下川 陽太

    攻撃スタッツ - 加藤 陸次樹 ヒートマップ - 加藤 陸次樹

さらに前半終了間際には、杉浦恭平のスルーパスに抜け出した加藤が再びワンタッチシュート。強烈なシュートがゴールに入り、金沢がリードを2点に広げました。

山口は最終ラインの背後を簡単に取られ、前半のうちに2点を失ってしまいました。中盤でボールを持った金沢の選手に対しては前方へのパスコースを切ることができず、あっさりとパスを通されてしまいました。また、何度もディフェンスラインの裏を狙っていた加藤を山口のセンターバックは捕まえきれず、2点を奪われてしまいました。


3点ビハインドに

0-2と2点のリードを許して後半を迎えた山口でしたが、55分に3点目を取られてしまいました。

コーナーキックのセカンドボールを拾った金沢は右サイドから窪田稜が低いクロスを送ります。このボールに杉浦恭平が合わせ、ゴールネットを揺らしました。

コーナーキックの流れからということもあり、山口はキーパーを含めて8人の選手がペナルティエリア内にいました。ただ、多くの選手がボールウォッチャーになっており、杉浦恭平をマークしている選手はいませんでした。その結果、杉浦恭平にゴールを決められ、3点を追いかける展開となってしまいました。


8月4得点目

リードを3点に広げられた山口は59分、浮田や田中パウロ淳一ら3人を投入します。すると、交代からわずか5分後、浮田が得点という結果を残しました。

左サイドでボールを持った池上が中に向かってボールを運び、ペナルティエリア右角付近の浮田へパスを送ります。浮田は1対1の状況で仕掛け、中へ切り込んでシュート。左足でカーブをかけたボールがゴールに決まり、山口が1点を返しました。

    攻撃スタッツ - 浮田 健誠 ヒートマップ - 浮田 健誠

この得点により浮田は8月だけで4ゴールを挙げたことになりました。チームとしては8月の7試合でわずか5得点しか取れておらず、その内4点が浮田の得点となっています。「前節から中6日、5連戦の初戦、チームは最下位」ということを考慮すると、結果を残している浮田をスタメンで使うべきだったと思います。


3連敗

1点を返した山口はペースを掴んで攻勢を強めます。68分には田中パウロのパスから浮田がシュート。71分には左サイドから田中パウロが低いクロスを送り、相手に弾かれたボールを拾って、田中陸・高宇洋が立て続けにミドルシュートを放ちました。しかし、2点目を奪うことはできず。試合は1-3で金沢の勝利となりました。山口はこれで3連敗となり、最下位を抜け出すことはできませんでした。

敗戦した山口ですが、途中からピッチに入った浮田や田中パウロは良い動きを見せていました。特に田中パウロはサイドから何度もドリブルで仕掛けチャンスを作っていました。ラストパス数は3本を記録し、フル出場した池上の4本に次ぐチーム2番目の多さでした。今シーズンはスタメン起用が一度もありませんが、チームの流れを変えるためにも次節は先発で使ってほしいです。

    攻撃スタッツ - 田中 パウロ淳一 ヒートマップ - 田中 パウロ淳一


総括

基本スタッツ

山口は金沢にディフェンスラインの背後を突かれて失点を重ねてしまいました。後半に入って浮田が1点を返しましたが、3点のビハインドを追いつくことはできず。1-3で敗れ、3連敗となってしまいました。


第16節は9/2(水)、アウェーでモンテディオ山形と対戦します。

勝利のために前半から猛攻を仕掛けて、複数得点を狙ってほしいです。