2試合続けて3失点を喫しているサンフレッチェ広島。
3戦勝ちなしで迎えた第13節はホームでベガルタ仙台と対戦しました。
両チームともに前節からスタメンを2人変更。広島は川辺駿と森島司が2試合ぶりに先発となりました。一方の仙台は前線に石原崇兆とアレクサンドレゲデスが入りました。
2試合連続ゴール
前半の立ち上がり、広島は早々と先制点を取りました。
4分、佐々木翔から前線のレアンドロペレイラに縦パスが入ります。ペレイラはトラップ後、奪いにきた吉野恭平の逆側にターン。前を向いたペレイラはペナルティアーク左端付近からシュートを撃ちます。左足で放たれた強烈なシュートがキーパーの手を弾いてゴールへ決まり、広島が先制しました。
ペレイラは前節のヘディングでの得点に続き、2試合連続ゴールとなりました。左足でのシュートは非常に威力が強く、シュート技術の高さを見せつけてくれました。ただ、早い時間にゴールを決めたペレイラですが、残りの約85分間で放ったシュートは1本のみ。フル出場ながらシュート数2本というのは、最前線の選手として少し物足りなかったです。
仙台ペース
先制した広島ですが、得点以降は仙台に押し込まれる時間が続きました。
14分、17分と仙台の右サイドバック柳貴博がドリブルで仕掛けます。柳はタッチライン際でボールを受けると、止まった状態から緩急を使って縦に突破しようとします。対応した森島は振り切られそうになりますが、なんとかついていきクロスを中に入れさせませんでした。
20分には逆サイドからチャンスを作られてしまいます。高い位置を取った左サイドバックの蜂須賀孝治を含む4人の選手が少ないタッチ数で細かくパスを繋ぎます。広島は仙台のパス回しに翻弄され、ボールを奪うことはできず。蜂須賀のクロスから真瀬拓海にヘディングシュートを許してしまいました。シュートは大迫敬介が右手でセーブし、得点は与えませんでしたが、サイドバックが関わる仙台の攻撃に苦しめられました。
厚みのある攻撃
仙台に押され前半だけで10本ものシュートを打たれた広島ですが、ゴールは許さず(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=08&date=29)。一方、攻撃では先制点こそ奪ったものの、その後はほとんどチャンスを作れませんでした。ただ、34分には人数をかけて仙台ゴールに迫る場面が見られました。
ペナルティエリア左角付近で柏好文がボールを持って時間を作ると、センターバックの佐々木がオーバーラップ。柏が追い越した佐々木にパスを出し、佐々木はゴールライン近くからクロスを送りました。クロスは上手く合いませんでしたが、セカンドボールを拾い最後はハイネルがシュート。得点とはなりませんでしたが、人数をかけてチャンスを作りました。
この場面では佐々木がオーバーラップからクロスを上げましたが、中には前線の3人に加えて右ウイングバックの茶島雄介、さらにはセンターバックの野上結貴が入ってきていました。そして、最後にシュートを放ったのはボランチで起用されたハイネル。多くの選手が関わり、人数をかけた攻撃でシュートまで持っていきました。
後半立ち上がりの決定機
1-0と広島リードで迎えた後半。仙台のミスから広島は大きな決定機を迎えました。
50分、吉野から椎橋慧也へのパスがずれ、仙台のゴール近くにいたドウグラスヴィエイラにボールが渡ります。ヴィエイラはキーパーをかわしてシュートを放ちましたが、カバーに入った平岡康裕がゴール前でクリアし、追加点とはなりませんでした。
前半、広島はあまりチャンスを作れず、45分間でわずか3本しかシュートを打てていませんでした(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=08&date=29)。仙台の守備を崩せていなかっただけに、後半の立ち上がりに相手のミスから得た決定機はきっちり決めたかったです。
守備のバランス
両チーム得点を奪えず、1-0の状態が長く続いていましたが、72分に途中出場の兵藤慎剛が同点ゴールを決めました。
右サイドでパスを繋ぐ仙台は椎橋がペナルティエリア内のゲデスに縦パスを入れます。ゲデスは対応した荒木隼人ともつれて倒れますが、真瀬がこぼれ球を回収し、右サイド深い位置からクロスを供給。これに兵藤が合わせ、しっかりと捉えられたシュートがゴールに突き刺さりました。
失点の場面、広島はゴール正面から兵藤(上図の6番)にフリーでシュートを打たれてしまいました。この時、兵藤の位置・広島の左サイドからのクロス・広島のシステム等を考えると、兵藤をマークすべき選手は通常は右ボランチのハイネル(上図の44番)だと思います。ただ、ハイネルはディフェンスラインに吸収され、低い位置にポジションを取っていました。なぜ、ハイネルのポジションが低くなってしまったのか。これには二つの要因があると推察します。
一つ目は仙台の攻撃がカウンターから始まったということです。
得点のおよそ30秒前、広島は敵陣でボールを失いカウンターを受けます。仙台は中央でボールを収めたゲデスが左サイド(広島の右サイド)を上がってきた兵藤にパスを出しました。この時、右ウイングバックの茶島は高い位置にいたため、ボランチのハイネルがサイドに流れて対応しました。すなわち、この時点でハイネルはカウンター対応のために右ウイングバックのようなポジションを取っていました。
ただ、サイドに流れたからといってボランチの位置に戻る時間がなかったわけではありません。ハイネルがサイドに流れた後、ボールを持っていた兵藤がアーリークロスを上げ、広島にクリアされたボールを仙台が拾い逆サイドでパスを繋ぎます。仙台が右サイド(広島の左サイド)でセカンドボールを回収してから兵藤のシュートに至るまで、10秒以上時間がありました。この間に広島は右サイドの陣形を整えるべきだったのですが、それができませんでした。これには二つ目の要因が関係しています。
二つ目の要因はハイネルが右ウイングバックに慣れている(ボランチが本職ではない)ということです。ハイネルは第10節までは主に右ウイングバックで起用されており、ボランチでの先発起用は今シーズン2度目でした。ここまで右ウイングバックで出場している時間が多かったため、ボランチの役目である「兵藤をケアする」ことよりも、ウイングバックの役目である「最終ラインに入って相手のクロスに備える」ことを選択してしまったと考えられます。
ただ、この選択はハイネル一人の問題ではなく、右ウイングバックを務めた茶島がゴール前まで戻っていなかったことも関係していると思います。疲労もあってか、茶島(上図の25番)は最終ラインまで戻っておらず、クロスの時点ではペナルティエリア外にいました。「茶島がペナルティエリア外にいたからハイネルが下がった」あるいは「ハイネルが右ウイングバックのようなポジションを取っていたから茶島はゴール前まで戻らなかった」。どちらが正しい(あるいはどちらも正しくない)のかは分かりませんが、いずれにしても右ウイングバックが本職のハイネルがボランチを務めたことによって、失点の場面では守備のバランスが微妙に崩れてしまいました。
試合は1-1のまま終了。両チームともにチャンスは作りましたが2点目は奪えませんでした。広島は4試合連続の失点で4試合勝ちなしとなってしまいました。
総括
広島は前半立ち上がりに先制しましたが、追加点を奪えず。後半開始早々の決定機も決めきることができず、72分に追いつかれて引き分けとなりました。これで4試合勝ちなしとなり、苦しい状況が続いています。
第14節は9/5(土)、アウェーで北海道コンサドーレ札幌と対戦します。
久々の勝ち点3をゲットしてほしいです。
コメント(2)
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SPORTERIAスタッフ
2020/9/5 13:24
メリットデメリット考えてのことだったと思いますが、ハイネル選手のボランチ起用は意外でしたね!
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サンレノファン
2020/9/5 13:58
SPORTERIAスタッフさん、コメントありがとうございます!青山・川辺の疲労を考慮したのもあると思いますが、少し思い切った起用だったと思います。
今日の札幌戦では右WGに戻る予想になっているので、あらためて本職ポジションでのプレーに期待しましょう✨
札幌との試合ではハイネルの攻撃面での良さが見られることを期待したいと思います!