前節、引き分けで連敗を止めたものの未だJ2最下位に沈むレノファ山口FC。

第17節はアウェーでアビスパ福岡と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

福岡は前節から先発メンバーを10人変更。左サイドバックの輪湖直樹を除き、大幅にスタメンを入れ替えました。一方の山口は2人を変更。前節に引き続き3バックを採用しました。


パスミスからミドルシュート

立ち上がり、山口は福岡のプレスを掻い潜る事ができず、自陣で奪われる場面が続きました。

3分、眞鍋旭輝のキックが中途半端になり遠野大弥に回収されると、石津大介とのパス交換から遠野にミドルシュートを打たせてしまいました。また、直後には田中陸のパスがずれ再び遠野に奪われると、ミドルレンジから北島祐二がシュート。2本ともキーパーの吉満大介が抑えましたが、ショートカウンターからピンチを迎えてしまいました。

また、6分には田中パウロ淳一が2人に囲まれタッチライン際でボールを取られてしまいます。鈴木惇を経由して中央でフリーの石津大介にボールが渡り、石津がペナルティエリア手前からシュート。わずかに枠を外れたためゴールとはなりませんでしたが、山口はピンチが続きました。

今シーズン何度も見られたビルドアップのミスが序盤に立て続けに起こってしまいました。しかも、自陣で奪われた全ての場面で相手にシュートを許してしまい、ミスが必ずピンチになっていました。今年の山口はダブルボランチで試合に臨むことが多いですが、この試合では守備的な中盤は高宇洋1人のみ。そのため、高がサイドに出た時に中央が空いてしまい、カウンターからそのスペースを使われてしまいました。

6分の場面では「中央にスペースが生まれる」ということが顕著に表れていました。高(上図の6番)も関わりながら左サイドでパスを繋いでいた山口ですが、ボールを奪われてしまいます。福岡は鈴木(上図の8番)にパスが渡りましたが、この時、中央には大きなスペースがあり、石津(上図の16番)がフリーとなっていました。山口は失点こそ免れたものの、危ない場面が多い立ち上がりでした。


PK失敗で主導権を掴めず

自分たちのミスからピンチが続いた山口でしたが、思わぬ形で先制点のチャンスを得ました。

キーパーのセランテスまでボールを戻した福岡に対し、山口は高井和馬がプレッシャーをかけます。セランテスは近くの三國ケネディエブスにパスを出しましたが、パススピードが遅く小松蓮がカット。ここで三國が小松を倒してしまい、山口にPKが与えられました。倒された小松がキッカーを務めましたが、シュートコースを読まれセランテスにキャッチされてしまいました。

山口は4試合ぶりの先制点を取る絶好のチャンスでしたが活かすことができず。調子の悪い、あるいは勝利から遠ざかっているチームは先制点を取らないとほぼ勝てない(逆転勝ちは難しい)、と個人的に思っているので、是が非でも決めてほしい場面でした。


先制点を奪われる

PKを決められなかった山口は20分、福岡に先制を許してしまいました。

右サイドから攻めていた山口ですが、敵陣でボールを奪われカウンターを受けます。福岡はパスを繋いで右サイドに展開。駆け上がってきた湯澤聖人にボールが渡ります。湯澤がアーリークロスを上げると、ニアサイドで遠野がダイビングヘッド。シュートがゴールに決まり、福岡が先制点をあげました。

    攻撃スタッツ - 遠野 大弥 ヒートマップ - 遠野 大弥

山口はカウンターを遅らせることができず、あっさりと失点。大事な先制点は福岡に入り、山口は前半のうちに追いかける展開となってしまいました。

ただ、その後は山口も敵陣でプレーする時間が多くなります。2トップがセンターバックを引きつけることによって生まれたスペースをトップ下の高井・池上丈二が狙ったり、バイタルエリアで浮田健誠が縦パスを受けたりするなど、チャンスは作れていたように思います。ただ、シュートで終われる場面は少なく、同点に追いつくことはできませんでした。


4バックへの変更

前半は1-0と福岡リードで終了。ビハインドで折り返した山口は後半開始直後、高井和馬がシュートを放ちましたが、それ以降中々シュートチャンスを作れずにいました。そこで64分、「得点を取るため攻撃に人数をかけるため」という意図もあってか、山口の霜田正浩監督は交代を利用して3バックから4バックにシステムを変更しました。しかし、結果的にはこの変更が裏目に出てしまい、65分に2点目を与えてしまいました。

福岡はハーフウェーライン近くでパスを受けた遠野がドリブルでペナルティエリア近くまでボールを運びます。遠野は時間を作り、上がってきた輪湖の前方にパス。輪湖がワンタッチでクロスを上げると、ファンマと楠本の競り合いからこぼれたボールを途中出場の木戸皓貴がゴールに押し込みました。

山口は2点目もカウンターからの失点となってしまいました。ボールを奪われた位置は2点とも敵陣でしたが、縦に早い福岡の攻撃に対し、山口の選手たちは戻りきることができませんでした。また、2点とも福岡のサイドバックによるクロスがゴールに繋がっており、ここぞとばかりに前線に駆け上がってくるサイドバックを山口は抑えられませんでした。

   攻撃スタッツ - 湯澤 聖人 攻撃スタッツ - 輪湖 直樹

リードを広げられた山口はその後、途中出場の村田和哉や安在和樹が積極的にクロスを上げるなど敵陣に攻め込みましたが決定機は作れず。終盤は5バックにして守りを固めた福岡を前に攻めあぐね、得点を取ることはできませんでした。試合は2-0のまま終了。山口は今シーズン初の2試合連続無得点となってしまいました。

   攻撃スタッツ - 村田 和哉 攻撃スタッツ - 安在 和樹


総括

基本スタッツ

山口は前半にPKを獲得しましたが決めることができず、主導権を握り損ねてしまいました。守備では危ない位置でのパスミスが多く、カウンターから2失点。攻撃ではボール支配率こそ高かったものの、シュートは8本しか打てず無得点で試合を終えました。


第18節は9/9(水)、松本山雅FCとのホームゲームです。

勝ち点3を取るためにも先制点を取って試合を優位に進めてほしいです。