前節、今シーズン初めてアウェーゲームを制したレノファ山口FC。

後半戦のスタートとなる第22節では、3連勝をかけてファジアーノ岡山と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

山口は前節からスタメンを1人変更。出場停止明けのへナンがボランチに起用されました。一方の岡山は前節から3人を入れ替え、2トップには齊藤和樹と赤嶺真吾が入りました。


前半の得点は11試合ぶり

序盤、山口は効果的な攻撃を繰り出すことができず、岡山の攻めを受ける時間が多くなってしまいました。高い位置を取る岡山の両サイドバックに最終ラインの背後を狙われ、自陣に押し込まれる場面も何度かありました。ただ、最後の局面では集中して守り、ゴールは割らせず。17分には岡山の縦に早い攻撃からピンチを迎えましたが、得点は許しませんでした。

攻撃では20分以降にチャンスを創出。21分には橋本健人のクロスに浮田健誠がヘディングで合わせ、岡山ゴールに迫ります。そして24分、山口はセットプレーから先制点を奪いました。

山口は敵陣右サイドでフリーキックを獲得。キッカーの池上丈二が入れたボールは先に相手に触られましたが、セカンドボールはへナンの元へ渡ります。へナンはトラップしてすぐさま右足でシュート。ボールはゴール右に決まり、山口が先制に成功しました。

    攻撃スタッツ - ヘナン ヒートマップ - ヘナン

山口の先制点は3試合連続。直近2試合は60分台の得点でしたが、この試合は前半の内に先制点を取ることができました。山口が前半にゴールを決めたのは実に11試合ぶりでした。1ヶ月半近く前半に点を取れていなかったことを考えると、その期間勝ちが少なかったのも当然なのかなと思います。


PKで同点

フリーキックから先制した山口でしたが、得点から10分も経たない内に岡山に追いつかれてしまいました。

左サイド(山口の右サイド)でパスを受けた徳元悠平から前線のスペースへ走り出した上門知樹へスルーパスが通ります。左サイド深い位置でボールを持った上門はペナルティエリアに進入しドリブル。山口は高宇洋が対応しましたが、足をかけて上門を倒してしまい、岡山にPKを与えてしまいました。これを上田康太が決め、試合は1-1の同点となりました。

山口は11試合ぶりとなる前半の得点で先制しましたが、すぐにリードを失ってしまいました。非常に集中して守れていただけに、悔やまれるPKとなってしまいました。


枠に嫌われる

追いつかれた山口は勝ち越しを目指し、猛攻を仕掛けます。特に前半終盤から後半開始直後にかけて、山口は多くの決定機を作り出していました。

43分と45+1分、橋本のラストパスから浮田がヘディングシュート。45+1分のシーンでは、サイドからではなく中央からの浮き球のパスでしたが、浮田はしっかりとボールを捉えていました。キーパーの好セーブにより得点とはなりませんでしたが、相手の意表をつく良い攻撃だったと思います。

後半に入ると、さらに岡山ゴールに近づきます。46分には人数をかけて攻め、決定機を創出。左サイドでボールを持った橋本が仕掛け、深い位置までえぐってクロスを上げます。高井和馬が頭で合わせましたが、シュートはクロスバーを直撃しゴールとはならず。1分後には浮田が左足でゴールを狙いましたが、こちらはゴールポストに当たってしまいました。山口は立て続けに岡山ゴールを脅かしましたが、枠に嫌われ勝ち越し点を上げることはできませんでした。

    攻撃スタッツ - 高井 和馬 ヒートマップ - 高井 和馬

    攻撃スタッツ - 浮田 健誠 ヒートマップ - 浮田 健誠

山口は何度もチャンスを作りましたが、その多くに関わっていたのが左サイドバックの橋本でした。攻撃時にはサイドだけでなく中央寄りにポジションを取ることも多く、下図の敵陣でのボールタッチ位置はサイドバックとは思えない分布になっています。ラストパス4本、クロス6本、クロス成功数3本というスタッツはいずれもこの試合チーム最多であり、多くのチャンスを演出していました。パス成功率こそ低いですが、パス数もチーム2番目の多さを記録。相手の意表をつくようなパスを通す場面が何度もあり、広い視野と攻撃のアイディア、さらに左足のパス技術を持ち合わせている、見ていて楽しい選手だと感じました。

    攻撃スタッツ - 橋本 健人 ヒートマップ - 橋本 健人


流れは岡山に

クロスバーやゴールポストにシュートを阻まれ、決定機を逃した山口は岡山に流れを渡してしまいます。61分からの15分はほとんどチャンスを作れず。ボール支配率も岡山に大きく上回られ、何度もペナルティエリアに進入させてしまいます(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=09&date=27)。山口は攻撃を活性化させるために田中パウロ淳一や森晃太ら攻撃的な選手を投入。しかし、流れを引き寄せることはできず、82分に勝ち越しを許してしまいました。

敵陣右サイドでボールを持った森は縦パスを入れようとしましたが、相手にカットされてしまいます。森はボールを奪い返しにプレスをかけましたが、パスを繋がれ山口はカウンターを受けます。自陣右サイドで1対2と山口にとって数的不利な状況を作られると、オーバーラップしてきた徳元にゴールライン近くからクロスを上げられてしまいました。これをファーサイドの山本大貴にヘディングで決められ失点。岡山にリードを与えてしまいました。

カウンターの起点となった森のパスミスは縦パスを積極的に狙ったが故のミスなので、しょうがないと思います。ただ、パスをカットされた後の対応はまずかったです。パスをカットされた瞬間、ボランチの高と右サイドバックの田中陸は森よりも高い位置にいました。そのため、森は2人が戻る時間を作り、相手の攻撃を遅らせるような対応をしなければなりませんでした。しかし、パスをカットされた焦りからか森はボールホルダーにプレスをかけてしまい、近くにいた岡山の選手をフリーにしてしまいました。結果的にそこへパスを繋がれ、カウンターから失点。高・田中陸が戻りきれず、右サイドで数的不利な状況を迎え、勝ち越し点を許してしまいました。


3連勝とはならず

失点に関わってしまった森ですが、攻撃では持ち味のドリブルで何度も仕掛けていました。スピードで相手をかわす場面もあり、相手の脅威になっていたと思います。ただ、得点には結びつかず、試合は1-2で終了。山口はホームで逆転負けを喫してしまいました。

    攻撃スタッツ - 森 晃太 ヒートマップ - 森 晃太

結果は勝ち点0となってしまいましたが、試合内容は決して悪くなかったと思います。得点こそセットプレーからの1点のみでしたが、流れの中からも多くのチャンスを作れていました。後半開始直後の決定機がどちらかでも入っていれば、勝ち点3の可能性も大いにあったと思います。負けてはしまいましたが、一進一退の攻防は見ていて非常に楽しかったです。


総括

基本スタッツ

山口は11試合ぶりに前半にゴールを決めました。しかし、前半の内にPKを決められ同点に追いつかれると、後半に勝ち越し点を奪われて敗戦。今季初の3連勝とはなりませんでした。


第23節は9/30(水)、ホームでジュビロ磐田と対戦します。

前回対戦では敗れているので、是非ホームでリベンジを果たしてもらいたいです。