5試合負けなしながらも直近4試合で3引き分けと、勝ちきれていないサンフレッチェ広島。

第28節では3試合勝ちなしのセレッソ大阪とアウェーで対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

セレッソは前節からスタメンを3人変更。瀬古歩夢と片山瑛一が約1ヶ月ぶり、都倉賢が約2ヶ月ぶりの先発となりました。一方の広島は勝ち点1に終わった前節から5人を入れ替え。勝利した2試合前と同じスタメンとなりました。


広島ペース

序盤、試合のペースを掴んだのは広島でした。

広島は持ち味の連動したプレスでセレッソに圧力をかけ、ほとんどチャンスを与えませんでした。5分、12分には敵陣左サイドでプレッシャーをかけてセレッソのパスをインターセプト。シャドーの森島司がスイッチを入れ、他の選手もその動きに合わせて素早くプレスをかけることで相手のパスコースを限定していました。

広島の前線からの守備が効果的にハマり、セレッソは広島を押し込むことができませんでした。セレッソが30分までに放ったシュートは、コーナーキックからのヘディングと直接フリーキックの2本のみ(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=11&date=21)。流れの中からシュートに至る場面はありませんでした。

一方の広島はサイド攻撃からチャンスを演出していました。7分には川辺駿のサイドチェンジから東俊希がクロス。この時、3バックの佐々木翔がオーバーラップして2対1の状況を作り出しており、ピッチを幅広く使いかつ人数をかけてセレッソゴールに迫っていきました。


ダイレクトの連続

攻守ともにセレッソを上回っていた広島は24分に先制点を決めました。

広島は自陣で相手のプレッシャーを受けましたが、落ち着いてボールを繋ぎプレスを回避。受けにきた森島がワンタッチで青山敏弘に落とすと、青山がダイレクトで最終ラインの背後へ浮き球のパスを送りました。相手選手より先にボールに追いついた東はワンタッチでクロスを供給。味方には繋がらずクリアされましたが、こぼれ球を拾ったレアンドロペレイラが右足を振り抜き、強烈なシュートをゴールに突き刺しました。

    攻撃スタッツ - レアンドロ ペレイラ ヒートマップ - レアンドロ ペレイラ

ゴールを決めたペレイラはもちろんですが、この得点はワンタッチでボールを繋いだ森島青山の貢献も大きかったと思います。3人ともにダイレクトでプレーしたことで、広島陣内までプレスをかけにきていたセレッソの前線・中盤の選手たちに戻る時間を与えませんでした。下図は相手のクリアボールをペレイラ(39番)が拾った瞬間(シュート直前)のピッチ状況を表したものですが、セレッソの最終ラインと中盤の間には大きなスペースができていました。その結果ペレイラには空間的な余裕が生まれ、思い切り右足を振り抜けたことで先制点を得ることができたのだと思います。


1ゴール2イエローカード

先制した広島はその後も試合のペースを握り続けました。2点目を取ることはできませんでしたが、セレッソにも得点させず。ピンチを迎える場面もほとんどなく、リードを保ったまま前半を終えました。

前半は主導権を握っていた広島でしたが、後半に入るとセレッソに押し込まれる時間が増えていきました。セレッソはハーフタイム明けに交代カードを2枚使い、システムを3バックに変更。さらに58分にも奥埜博亮・ブルーノメンデスを投入し攻撃のギアを上げてきました。59分には清武弘嗣が巧みなコントロールでディフェンダーをかわし、この試合最大の決定機を迎えました。ただ、広島のキーパー林卓人が素早く間合いを詰めてボールをキャッチ。得点とはなりませんでした。

試合の流れがセレッソに徐々に傾きかける中、62分に広島は10人での戦いを余儀なくされてしまいました。前半にイエローカードをもらっていたペレイラが遅延行為により2枚目を提示され退場。ペレイラは先制点となる今季リーグ戦14ゴール目を上げまし、2度の警告を受けピッチを去ることとなってしまいました。

守備スタッツ - レアンドロ ペレイラ


10人で守りきる

一人少なくなった広島は5-3-1のブロックを形成し、ひたすら自陣で守り続けました。両サイドから何度もクロスを上げてくるセレッソに対し、ゴール前を固めて対応。74分、85分には際どいシュートを打たれましたが、クロスバーに助けられ失点とはなりませんでした。

   攻撃スタッツ - 清武 弘嗣 攻撃スタッツ - 坂元 達裕

   攻撃スタッツ - 丸橋 祐介 攻撃スタッツ - 高木 俊幸

終盤には森島や川辺が敵陣までボールを運び、少しでもマイボールの時間を作ろうとしていました。川辺に至っては89分、90+2分、90+3分と終盤だけで3度も相手のボールを奪っており、最後まで素晴らしい守備を続けていました。

    守備スタッツ - 川辺 駿 ヒートマップ - 川辺 駿

防戦一方だった広島ですが10人でゴールを死守し、クリーンシートを達成。前半の1点を守りきり、勝ち点3を掴みました。


総括

基本スタッツ

前半、試合のペースを掴んだ広島はペレイラのゴールで先制。ただ、後半に攻撃の圧力を強めてきたセレッソにペースを握られると、62分にペレイラが退場し10人となってしまいました。ただ、10人で1点を守り抜き無失点で勝利。6試合負けなしとなりました。


次戦、広島は湘南ベルマーレと対戦します。

今季リーグ戦も残り5試合。最後まで負けなしでいってほしいです。