前節、12試合ぶりの勝利を挙げたレノファ山口FC。

今季ラストのアウェーゲームとなった第40節では、大宮アルディージャと対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

大宮は前節からスタメンを3人変更。シャドーに入った奥抜侃志は約2ヶ月半ぶりの先発出場となりました。一方、山口も前節から3人を入れ替え。サイドバックや中盤で起用されることが多かった田中陸が右ウイングのポジションを務めました。


サイドの攻防

序盤、山口はサイドの攻防で相手を上回ることができていませんでした。

守備では大宮の多彩な攻撃に苦戦。シャドーの黒川淳史や奥抜は積極的にドリブルし、個人で仕掛けてきました。山口は1対1ではなかなか止められず、複数人での対応を余儀なくされていました。また、シャドーとウイングバックのパス交換からサイド深くまで進入され、ピンチを迎えるシーンもありました。相手のクロスやラストパスの精度にも助けられ、シュートは打たれませんでしたが、大宮のサイド攻撃に苦しむ場面が見受けられました。

一方、攻撃ではサイドをうまく使うことができていませんでした。今季の山口はビルドアップにおいて、一方のサイドでボールを回している際に、逆サイドのウイングバックがタッチライン沿いに開いている場面が多くあります。おそらく、相手がボールサイドに寄ったところでサイドチェンジをし、広大なスペースを使って攻めるという狙いがあるのだと思います。ただ、この試合ではそのようなシーンが少なかったです。

その原因として大宮の守備陣形との相性の悪さが考えられます。大宮は守備時にウイングバックが下がり、最終ラインが5バックのような形になっていました。そのため、大宮の守備陣形がボールサイドに寄っても、逆サイドに広大なスペースが生まれることはなく、山口は簡単にサイドを変えることができなかったのだと思います。


2失点

サイドを広く使うことができなかった山口ですが、ビルドアップが詰まるような場面はほとんど見られなかったです。ボランチに入った佐藤健太郎と高宇洋がうまく相手の間でパスを受けることで、リズムを作っていました。2選手が前を向いて前方の池上丈二や高井和馬にボールを繋ぐことができた際には、チャンスの一歩手前まで運べており、良い形を作れていたと思います。

    攻撃スタッツ - 佐藤 健太郎 ヒートマップ - 佐藤 健太郎

    攻撃スタッツ - 高 宇洋 ヒートマップ - 高 宇洋

シュートこそ少なかったですが、山口は大宮ゴールに徐々に近づいていたと思います。ボールを持つ時間も増えており、試合の流れも掴みかけていたように感じました。ただ、前節と同じような形からゴールを決められ、先制点を許してしまいました。

32分、ハーフウェーライン近くでボールを持った畑尾大翔が最終ラインの背後へパスを送ります。抜け出した奥抜にボールが渡ると、奥抜はペナルティエリアに進入。キーパーの動きをしっかりと見極め、ボールをゴールへ流し込みました。

    攻撃スタッツ - 奥抜 侃志 ヒートマップ - 奥抜 侃志

失点直前、山口は前線からプレスをかけにいっていました。ただ、3バックのサイドを務める畑尾に対して誰が行くのかが中途半端になり、畑尾に時間と余裕を与えてしまいました。このシーン以外でも大宮の3バックに対してプレスがはまらない場面が何度も見られ、システム上のミスマッチを解消することができていませんでした。

また、34分にはやや不運な形から失点。ロングボールのこぼれ球が山口の選手に当たって黒川の前方に転がってしまい、そのままゴールを決められてしまいました。

山口は2分間で2失点。一気に試合の流れを持っていかれてしまいました。


カウンターから3失点目

前半に2点を取られた山口は後半の立ち上がりにも失点。リードを3点に広げられてしまいました。

51分、大宮のクリアボールを戸島章(途中出場)にコントロールされ、カウンターを受けます。戸島は敵陣右サイドへボールを運ぶと、中央を駆け上がってきた奥抜へラストパスを供給。奥抜はキーパーとの1対1を制し、自身2得点目を挙げました。

カウンターを受けた際、山口はボールサイドに気を取られ、上がってきた奥抜を誰もケアできていませんでした。2点差というだけでも苦しい展開でしたが、後半の早い時間に3-0となりさらに厳しい状況となってしまいました。


2桁ゴール

3点を追いかける展開となった山口は56分に3枚替えを決行。システムを大宮と同じ3-4-2-1に変更し、状況の打開を図りました。しかし、大宮ゴールに迫ることはなかなかできず。逆に決定的なチャンスを大宮に何度も作られました。ポストにも救われ、4点目とはなりませんでしたが、大宮の攻撃を防げていた訳ではありませんでした。

無得点のまま終盤を迎えた山口は90+3分に1点を返しました。

右サイドからのクロスを途中出場の梅木翼が落とすと、高井が拾ってペナルティエリアに進入。相手のタイミングを外すループ気味のシュートを放つと、ボールは逆サイドのポストに当たってゴールに吸い込まれました。

    攻撃スタッツ - 高井 和馬 ヒートマップ - 高井 和馬

高井は今季初の2試合連続ゴールを記録し、節目となる今季10得点目を挙げました。普段はウイングで出場することが多いですが、この試合は3トップの中央でスタート。慣れないポジションということもあってか、ペナルティエリア内でのボールタッチ数は少なかったです。それでも、終盤にテクニカルなシュートを決め、今季の得点数を2桁に乗せました。

1点は返したものの、山口の反撃は続かず。3-1で敗れ、2連勝とはなりませんでした。


総括

基本スタッツ

前半に2失点、後半の立ち上がりにも失点を喫し3-1での敗戦となりました。前半は良いビルドアップも見られましたが、シュートチャンスにつなげるまでには至らず。試合終盤に1点を返すのが精一杯でした。


次戦、山口はホームでアルビレックス新潟と対戦します。

今季を締めくくるホーム2連戦。山口らしいサッカーを見せてほしいです。