今シーズンもホームでの2戦を残すのみとなったレノファ山口FC。

第41節ではアルビレックス新潟と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

中2日かつ移動のあった両チームはともにスタメンを3人変更。山口は来季の加入が内定している2020年JFA・Jリーグ特別指定選手の梅木翼を初めて先発で起用しました。一方、新潟ではシルビーニョが約2ヶ月半ぶりにスタメンに名を連ねました。


最終ラインの背後

前半、新潟はそれほど手数をかけずに山口の最終ラインの背後を狙っていました。山口がコンパクトな陣形で高い位置からプレスをかけていたため、必然的に最終ラインとキーパーの間にはスペースが発生。新潟は前線の矢村健や大本祐槻らが背後へ抜け出す動きを何度も見せていました。

ただ、実際に最終ラインの裏を取った場面はほとんどありませんでした。動き出した選手にパスが出る場面は何度かありましたが、山口の守備陣がしっかり対応。ラインを上げてオフサイドを取りにいったり、早めに下がって相手選手より先にボールに到達したりと状況に応じてベストな選択をしていたように思います。

特に菊地光将は安定したプレーを見せていました。ベテランらしく最終ラインを統率し、背後へのボールに対してもいち早く反応。常に相手選手の位置・動きを確認し、次のプレーの予測がしっかりできていたのだと思います。

    守備スタッツ - 菊地 光将 ヒートマップ - 菊地 光将

菊地を中心とした最終ラインの集中した対応もあり、新潟のチャンスは少なかったです。前半、新潟が放ったシュートは2本(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=12&date=16)。ヒヤリとする場面もなかったわけではありませんが、前半はしっかりと新潟の攻撃に対応できていたと思います。


敵陣でのボール奪取

前半、新潟はシュートを放つ機会が少なかったですが、それは山口も同様でした。

山口は田中パウロ淳一がキレのあるドリブルで相手をかわすなど、左サイドを中心に攻めていました。サイドバックの安在和樹も関わり、サイドの深い位置まで進入することはできていました。ただ、クロスが繋がらなかったり、新潟の選手に囲まれたりする場面が多く、ペナルティエリアに進入することはほとんどできていませんでした。

    攻撃スタッツ - 田中 パウロ淳一 ヒートマップ - 田中 パウロ淳一

思うようにシュートチャンスを作れなかった山口は40分までシュート0。新潟の守備をなかなか崩せませんでした。そんな中で迎えたこの試合最初のシュートは41分、ショートカウンターからでした。

敵陣で田中パウロがプレッシャーをかけて新潟のパス精度を下げさせると、ハーフウェーライン付近で高井がボール奪取。ボールを運んだ高井のラストパスから田中パウロがシュートを放ちました。

得点とはなりませんでしたが山口は速攻からチャンスを作りました。ボールを奪った高井は前半だけで少なくとも3度ボール奪取。いずれも敵陣でのプレーであり、前線から強いプレッシャーをかけていました。

    守備スタッツ - 高井 和馬 ヒートマップ - 高井 和馬

山口は前半終盤にコーナーキックから立て続けにゴールに迫りましたが、ゴールとはならず。前半は0-0での終了となりました。


サイドバックの攻撃参加

後半、山口は縦に速い攻撃でチャンスを創出。50分には池上丈二、60分には川井歩がそれぞれフリーでシュートを放ちました。しかし、どちらも枠を捉えることができず、得点とはなりませんでした。

徐々にシュートチャンスが作れるようになった山口は66分、待望の先制点を挙げました。

右サイドに流れていた田中パウロが左足でクロスを供給。ファーサイドに流れたボールを安在がゴールライン近くで折り返すと、ゴール前の高井が押し込みました。

攻撃スタッツ - 高井 和馬高井はこの得点で3試合連続ゴールを記録しました。今シーズン、高井はチームで唯一の全試合出場。チャンスで決めきれずに結果が出ない時期もありましたが、終盤にきて3試合で4得点と調子が上がってきました。最終節でもゴールを決めてさらに得点数を伸ばすことを期待したいと思います。

山口はサイド攻撃から先制。得点の場面では左サイドの田中パウロが右サイドに流れていたこともあり、新潟の守備陣の意識は右サイドに集中していたと思います。その状況下で左サイドバックの安在がクロスに合わせてペナルティエリアに進入。安在は完全にフリーになっており、サイドバックの攻撃参加が先制点を生み出しました。

    攻撃スタッツ - 安在 和樹 ヒートマップ - 安在 和樹


14試合ぶりの完封

リードを奪った山口はその後、集中したプレーを継続。ボランチの高宇洋や武岡優斗が素早い寄せでピンチの芽を摘んだり、前線の高井と梅木翼が最後まで守備し続けるなど全員で新潟の攻撃を防いでいました。

終盤にはややパワープレー気味に新潟が得点を取りにきましたが、最後までゴールは割らせませんでした。90分を通して打たれたシュートは7本ありましたが、そのうちキーパーの林瑞輝がセーブしたものは0本。良い意味で林に仕事をさせず、無失点で試合を終わらせました。

守備スタッツ - 林 瑞輝

試合は1-0で終了。山口は14試合ぶりの無失点となりました。


総括

基本スタッツ

前半はお互いにシュートまでいく場面が少なく、0-0での折り返しとなりました。山口は後半に高井の3試合連続ゴールで先制。その後は新潟の攻撃を押さえ込み、完封勝利を挙げました。


次戦、山口はホームでモンテディオ山形と対戦します。

今季最終節、ホームで勝って終わりたいです。