ルヴァンカップを含め、3試合連続で引き分けに終わっているサンフレッチェ広島

今年初勝利を目指す第3節、広島はホームで北海道コンサドーレ札幌と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

中2日での試合となった広島は前節から6人を入れ替え。ボランチにはベテランの柴崎晃誠と1列前が本職の森島司が入りました。一方、中3日の札幌は3人を変更。ただ、試合前のアップで負傷したチャナティップに代わり高嶺朋樹が起用されるなど、3人ともに怪我による変更となりました。


スタッツ

基本スタッツ

広島は立ち上がりにコーナーキックから柴崎が得点を決め、リーグ戦3試合連続で先制。さらに8分には柏好文がゴールネットを揺らし、キックオフから10分未満で2点のリードを得ました。ただ、次第に札幌が攻撃のリズムをつかみ多くのチャンスを創出。43分にPKで1点を返すと、後半に入っても広島ゴールに迫り続けました。広島は守備に回る時間が多くなり、試合を通じて21本ものシュートを浴びましたが、大迫敬介のビッグセーブにも救われ2失点目は許さず。リードを守りぬき今季初勝利を挙げました。

ゴール期待値

最終的なゴール期待値を見ると、勝利した広島よりも札幌の方が2倍近く高いことが確認できます。時間帯別に見ていくと、立ち上がりの10分は完全に広島が主導権を握り、札幌はシュートを放てていませんでした。しかし、広島ペースの時間は長くは続かず。福森晃斗の正確なパスや金子拓郎の切れ味鋭いドリブルによって何度もチャンスを作られました。前半のうちに複数失点していても全くおかしくない内容でしたが、34分と44分のピンチでは大迫が至近距離からのシュートにしっかり反応してセーブ。札幌の猛攻を受けながらもなんとかPKによる1点で凌いだ前半でした。

後半に関しても札幌が攻撃する時間が多く、札幌のシュート数は後半だけで10本以上記録されています。ただ、ゴール期待値の上昇量だけでいえば、お互い0.6~0.8ほどで後半はほぼ互角。野上結貴の投入や5バックへの変更といった策もハマり、前半のような決定機を作られることはありませんでした。


ハーフスペース

立ち上がりの広島は前線の選手が相手の間でボールを受けることによって、攻撃のリズムを作っていました。特に2列目の右に入った柏がタイミング良くパスを引き出し、ボールを前進させることに貢献。また、柏は右サイドだけでなく、中央や左サイドにも顔を出しており札幌の選手にとっては捕まえづらい存在だったと思います。

2点目のシーンではセンターサークル付近からゴール前に上がってきた柏に対し、札幌の選手は誰もケアできておらず。最終ラインと中盤の間にはポケットが生まれ、柏がフリーでシュートを打てる状況になっていました。シュート自体は難しい形だったのでゴール期待値はそれほど高くないですが、シュートに至るまでの過程は非常に良かったと思います。なお、この得点により藤井智也はプロ初アシストを記録したこととなりました(おめでとうございます!)。

攻撃スタッツ - 柏 好文   ヒートマップ - 柏 好文

攻撃スタッツ - 藤井 智也   ヒートマップ - 藤井 智也

また1点目のコーナーキックに繋がった藤井のシュートも、浅野雄也がライン間でパスを受け、前に運んだプレーが起点となっており、ハーフスペースをうまく取れていたことが早い時間での2得点に繋がったのだと思います。

攻撃スタッツ - 浅野 雄也   ヒートマップ - 浅野 雄也


大迫様

柴崎と柏のゴールで2点のリードを得た広島でしたが、その後は札幌の猛攻に苦しめられました。特に金子のドリブルには手を焼き、2人がかりでも止められない場面が何度もありました。

金子の攻撃スタッツを確認するとシュート数とラストパス数がともに4本。広島の選手はカットインからのシュートと縦突破からのラストパスを両方とも同程度に警戒しなければならず、完全に翻弄されていました。また、金子のボールタッチ位置は広島陣内の深い位置に多く、金子がゴールに近いポジションでプレーしていたことも広島にとっては厄介でした。

攻撃スタッツ - 金子 拓郎   ヒートマップ - 金子 拓郎

金子への対応に苦しんでいた広島でしたが、結果的には流れの中からの失点は0。金子が放った4本のシュートのうち枠内が1本のみということもありますが、大迫の活躍がなければこの結果はあり得なかったでしょう。

34分と44分には、金子のラストパスから札幌が決定的なシュートを放ちましたが、大迫がセーブ。至近距離からのシュートにも関わらず、片手でシュートを止めゴールを割らせませんでした。また、持ち味のハイボール処理でも広い守備範囲を発揮し、2点目の阻止に大きく貢献しました。

GKスタッツ - 大迫 敬介   ヒートマップ - 大迫 敬介

また、リーグ戦初先発となった今津佑太もチームの勝利に大きく貢献していたと思います。今津はペナルティエリア内でのボールタッチ数が多く、クリア数は両チーム最多タイとなる6回を記録。札幌のクロスやロングボールを何度も跳ね返しており、空中戦での奮闘は素晴らしかったです。

守備スタッツ - 今津 佑太   ヒートマップ - 今津 佑太


最後に

この試合も引き分けに終わる可能性は十分にありましたが、なんとか粘って勝ち点3を獲得。柴崎や柏、今津といった開幕戦ではスタメンに入れなかった選手たちが活躍したことはチームにとって非常に大きいと思います。高いレベルで競争することでチーム全体の力も上がっていくと思うので、「次節以降スタメンは誰になるのか」、「どの選手が結果を残すのか」、より注目していきたいと思います。