前節、今季初の完封勝利を挙げたサンフレッチェ広島

ルヴァンカップを含めた7連戦の最後となる第6節では、アウェーで大分トリニータと対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

過密日程ということもあり、前節から大分は8人、広島は6人スタメンを変更。広島の茶島雄介は今シーズン初めて左サイドバックでの出場となりました。


スタッツ

基本スタッツ

広島は今シーズン初めて先制点を許す展開となりましたが、後半に逆転し2連勝を達成。シュート数は20本、枠内シュート数は12本とどちらも大分の2倍以上を記録し、流れの中から3ゴールを挙げました。昨年はホームで悔しい逆転負けを喫した大分を相手に、リベンジとなる逆転勝利。開幕からの7連戦を3勝4分で終える結果となりました。

ゴール期待値

30分過ぎまでゴール期待値はほぼ互角でしたが、それ以降は広島が差を広げ、最終的な広島のゴール期待値は大分の3倍以上となりました。広島は35分にドウグラスヴィエイラ、43分に浅野雄也のシュートでゴールに迫りましたが、得点は奪えず。対する大分も前半は無得点でしたが、後半最初のシュートを長沢駿が決めて大分が先制しました。

追いかける展開となった広島は60分以降にゴール期待値を約1上積み。青山敏弘・川辺駿のボランチ2人によるゴールで逆転すると、アディショナルタイムには前線でのボール奪取から途中出場の鮎川峻がプロ初ゴールを挙げ、試合を決定づけました。

今季は先制しながら追いつかれ勝ち点1に終わるという試合がすでに3度ありましたが、その悔しさを晴らすかのような逆転勝利となりました。


サイドの守備

パスネットワークやエリア間パス図にも表れていますが、大分はキーパーの高木駿を含め自陣でつなぐ回数が多かったです。

パスソナー・パスネットワーク   エリア間パス図

GKスタッツ - 高木 駿   ヒートマップ - 高木 駿

広島は大分の最終ラインに対し前からプレッシャーをかけていましたが、前半はほとんどはめこめず。高木・羽田健人・下田北斗の3選手、時には小林裕紀を加えた4選手をヴィエイラと浅野でケアする形が多く、常にパスコースを作られる展開となっていました。広島は青山・川辺のどちらかが前へ出て小林につく場面もありましたが、その際には大分が擬似カウンター狙ってきました。中央のシャドー、あるいはサイドに開いたストッパーもしくはウイングバックに素早くパスを供給し、一気に広島陣内へ侵入。広島の陣形が整う前にサイドから長沢を目掛けたクロスを挙げ、ゴールに迫ってきました。

また、擬似カウンター以外でも大分はサイドから攻めてきましたが、広島はその対応に苦戦。大分のシャドー・ウイングバック・ストッパーが流動的にスペースへ走るため、広島はサイドバックが前へ出たり、ボランチがサイド深くに流れて守備をしたりと動かされる状況になっていました。失点シーンでも右サイドで動かされた結果、ペナルティエリア角付近の三竿をフリーにしてしまいピンポイントのクロスを供給されてしまいました。サイドバックがどこまで出るか、ボランチがサイドに出された際に中央のスペースを誰が埋めるのか、どのように埋めるのかなどをチーム内で意識統一する必要があるのかなと感じました。


鮎川の貢献度

広島は先制されながらも3得点を挙げ逆転したわけですが、勝利の大きな要因として途中からピッチに入った鮎川の守備意識が挙げられると思います。

攻撃スタッツ - 鮎川 峻   守備スタッツ - 鮎川 峻

1-1の状況で投入された鮎川は前線から何度もプレスをかけ続けていました。2度追い、3度追いを当たり前のように行い、パスコースを限定させながら素早い寄せを実行。大分のボールホルダーに対して極力時間を与えないようにしていました。

また、前から追いかけるだけではなく中盤にスペースができた際には下がってプレー。85分には大分にプレスを剥がされピンチになりかける場面がありましたが、鮎川が素早くボランチの位置まで下がり素早く相手に寄せてパスミスを誘発。相手のパスをカットした今津佑太の持ち上がりから川辺の勝ち越しゴールが生まれており、鮎川の守備がなければ勝ち越すことができず、それどころか逆に2点目を奪われていたかもしれません。

鮎川は勝ち越した後も同様のプレーを継続。ボールを失った後のトランジションも非常に早く、大分にチャンスを作らせませんでした。アディショナルタイムにはそんな鮎川にご褒美となる決定機が舞い込むと、横パスではなくシュートを選択し得点を記録。少ない出場時間でゴールという最良の結果を残しました。


最後に

この試合が行われた日は城福浩監督の誕生日だったのですが、昨年一度もなかった逆転勝利で監督をお祝い。さらに、日本代表に選出された川辺がゴールを決め、鮎川はプロ初ゴールを記録するなど最高の勝利で7連戦の最後を締めくくりました。リーグ戦再開以降にこの勢いを継続できるよう、まずはしっかりと体を休め連戦の疲れを取り除いてほしいと思います。