前節は相手を上回るシュート数を記録しながらも無得点に終わったレノファ山口FC

第5節ではアウェーでジュビロ磐田と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

両チームともに前節とほとんど変わらないスタメンとなりました。磐田は伊藤洋輝がスリーバックに入り、鈴木雄斗が右ウイングバックにポジションを変更。一方の山口は澤井直人が右サイドバックで起用され、石川啓人が左サイドバックにポジションを移しました。


スタッツ

基本スタッツ

山口は今シーズン5戦目にしてようやく初勝利となりました。立ち上がりは磐田に主導権を握られていましたが、最初のチャンスを高井和馬が仕留めて今季初の先制に成功。さらに、草野侑己のゴールでリードを広げ、こちらも今季初となる複数得点を前半のうちに達成しました。パス成功数にも表れているように磐田がボールを保持する時間が多く、ピンチは何度もありましたが、1失点に抑え勝ち点3を掴みました。

ゴール期待値

前半、山口はシュートを3本しか打てませんでしたが、そのうち最初の2本で2得点。得点を生んだシュートは全9本のうちゴール期待値が高い上位2つであり、試合序盤に得た大きなシュートチャンスをしっかりと決められたことが勝利に繋がったと思います。ちなみに、前節までの得点はいずれも後半に決めたものであり、前半での得点も今季初となりました(まだ5節ということもありますが、今季初が盛りだくさんな試合でした笑)。

一方、磐田のゴール期待値は1.58と山口よりも高く、数値的には2点目を取られてもおかしくないデータとなっています。実際、磐田に攻め込まれる回数は多く、セットプレーを含め何度もヒヤリとする場面がありました。ただコースを限定する素早い寄せや、体を投げ出してのブロックなど、最後の局面で集中した対応を続けたことが最小失点という結果に繋がったと思います。


クロスから2得点

山口の2得点はいずれもクロスからのワンタッチゴールでした。

1点目のシーンでは右サイドでパスを受けた澤井直人がボディフェイントで相手をかわし前を向くと、キーパーとディフェンスの間に低いクロスを供給。高井がスライディングしながらコースを変え、ゴールを決めました。

2点目はその高井が左サイドからクロスを供給。キーパーの八田直樹がクリアできずファーサイドへ流れたボールを草野がこちらもスライディングしながら合わせ、ゴールへ流し込みました。

攻撃スタッツ - 高井 和馬   攻撃スタッツ - 草野 侑己

どちらのシーンでも共通していたのは「キーパーとディフェンスの間にクロスを入れた」ことと「クロスの前に2トップが磐田の最終ラインを動かしたこと」です。

1点目では上述したように澤井(下図の14番)が低いクロスをキーパーとディフェンスの間に供給。高井(下図の46番)がギリギリ届く、かつキーパーが飛び出せない位置にパスを送ったことでシュートを打てる状況を作り出しました。

下図は澤井がクロスを入れた瞬間の選手配置を表していますが、中央にいる山口の選手は得点を挙げた高井しかいません。ただ、磐田のフィールドプレイヤーも1人のみ。2トップの草野(下図の31番)と小松蓮(下図の18番)がともに右サイドにいたことで磐田の3バックをボールサイドに集中させ、ゴール前に広大なスペースを作り出しました。

2点目のシーンでは、ピッチ中央の佐藤謙介が左サイドへ送ったボールを高井がワンタッチで中へ送りました。クロスに対してキーパーの八田が弾き出そうとしましたが、わずかにコースを変えることしかできず。ファーサイドに走り込んでいた草野にボールが届き、得点を挙げることに成功しました。

2トップの動きに着目すると、佐藤謙介がボールを持った時に小松は背後へランニングし、草野はライン間でパスを要求。どちらにもボールは出ませんでしたが、伊藤洋輝は小松をマークするために下がり、今野泰幸は草野に釣られて前に出たことで磐田の最終ラインはバラバラになりました。さらに、高井のクロスに対しては小松がファーからニアへ、草野が中央からファーへと交差してペナルティエリア内に進入。その結果、草野は今野のマークを外すことに成功していました。

中の選手がゴールに向かってプレーできるようなクロス。そして、磐田の最終ラインを動かしスペースを作る2トップの動き。この2つがうまくハマったのが山口の得点だったと思います。


ショートコーナーの対応

一方、守備では失点シーンもそうであったようにショートコーナーの対応に課題が見られました。

今季の山口はコーナーキック時に全員がペナルティエリア内に入り、ゾーンディフェンスで対応しています。それに対し、磐田は徹底してショートコーナーを選択。遠藤保仁や大森晃太郎らがサイドで数的有利を作り、山口を揺さぶってからクロスを上げていました。

失点シーンに加え1分、28分のシーンなど、ショートコーナーに関わる磐田の3選手に対し山口は2選手で対応。ただでさえ数的不利なうえ、大森の切れ味鋭いドリブルに対しては2人がかりで対応せざるを得ないという状況になっており、磐田のやりたいようにやらせてしまいました。またサイドで揺さぶられたことにより、セットした陣形もわずかに崩れクロスを跳ね返せず。失点シーンでは山口の選手間に入ってきたルキアンに対し、誰も競ることができませんでした。

これまでの対戦相手はコーナーキックを直接中に蹴ってくることが多かったため、問題点として浮かび上がっていませんでした。ただ、幸いにもこの試合で失点に繋がったのは一度のみ。また、その失点が原因で勝ち点を失ったというわけではないので、課題の表れかたとしては良い方だったのかなと思います。昨シーズン序盤はセットプレーからの失点が続いていたので、今年はそうならないよう、次節までに解決策を共有しておいてほしいです。


最後に

ようやく今季初勝利。待ち望んでいた時間が長かった分、喜びは大きかったです。次節はホームで勝ち点3を取って連勝といきたいところです。