3連戦の初戦となった前節でホーム初勝利を挙げたレノファ山口FC

ミッドウィーク開催となった第9節では、ギラヴァンツ北九州と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

北九州は6失点で敗れた前節からスタメンを6人変更。センターバックに起用された河野貴志が今季初出場となりました。一方の山口は島屋八徳が先発で起用され、それ以外は前節と同じメンバーとなりました。


スタッツ

基本スタッツ

試合はスコアレスドローでしたが、決定機は北九州の方が多くありました。シュート数では北九州が山口の3倍以上。ボール支配率は互角であることから、北九州の方がシュートに至るまでの効率が良かったと言えます。

ゴール期待値

ゴール期待値もシュート数と同様の比率になっており、北九州が大きく上回っています。個別に見ていくと、40分手前と後半開始直後に北九州のゴール期待値が0.3以上増加。特に後半開始直後のシーンは富山貴光のシュートが枠内に飛んでいればゴールというような場面でした。後半は北九州のシュート数こそ少ないですが、関憲太郎のセーブに救われたシーンも複数回あり、失点してもおかしくなかったです。山口としては耐えた結果の勝ち点1と言えるでしょう。


縦パスとサイドチェンジ

序盤、山口はつないでくる北九州に対し、前からプレッシャーをかけていました。ただ、パスの受け手への寄せが少しづつ遅れており、要所でワンタッチを使う北九州にかわされることがほとんどでした。その結果、北九州の選手にパスコースやスペースを探す時間が生まれ、縦パスやサイドチェンジの回数が増えていきました。

その中でも河野貴志からの鋭い縦パスは非常に効果的だったと思います。前半、富山や前川大河といった前線の選手が中盤に降りてきた際に、山口のマークが甘くなる傾向がありました。そこを河野貴志は見逃さず、スピードがありかつ正確な縦パスを供給。特に富山への縦パスが通ったシーンが前半だけで少なくとも3度はありました。富山のキープからサイドへ展開してチャンスを作る場面もあり、山口としてはより一層中央を意識せざるをえなかったと思います。

攻撃スタッツ - 河野 貴志   ヒートマップ - 河野 貴志

パスソナー・パスネットワーク  エリア間パス図

また、北九州は大きなサイドチェンジも積極的に使っていました。エリア間パス図を見ても、ハーフウェーライン付近のエリアから右斜め前や左斜め前への長い矢印が出ていることが分かります。特に左サイドで繋ぎながら山口をボールサイドに集め、右サイドで高い位置をとっている生駒仁へのサイドチェンジという形は強く印象に残りました。生駒のスタッツを見るとクロス数が7本。これは両チーム合わせてダントツトップの数字でした。

攻撃スタッツ - 生駒 仁   ヒートマップ - 生駒 仁

山口としては中央もサイドも使われ、非常に苦しい試合だったと思います。


最後の砦

そのような状況で勝ち点1を得ることができたのは、間違いなくキーパー関のおかげでしょう。

GKスタッツ - 関 憲太郎   ヒートマップ - 関 憲太郎

被枠内シュート7本に対し、シュートセーブは5本。特に66分の河野貴志のヘッドや、85分の新垣貴之(途中出場)のシュートは、味方がブロックにいない状況でしたが、素早い反応でしっかりと防いでくれました。まさに、最後の砦としてゴール前に立ちはだかっていました。

また、センターバックの両ベテランも奮闘。ペナルティエリア内でのボールタッチ数も多く、クリア数は二人合わせて13回。北九州のクロスを跳ね返し続ける姿は非常に頼もしかったです。山口がハイプレスをかけていた際には、敵陣まで出ていって前を向かせないようにファウルで止めるなど、ピンチの芽を素早く摘むようなプレーも流石だなと感じました。

守備スタッツ - 菊地 光将   ヒートマップ - 菊地 光将

守備スタッツ - 渡部 博文   ヒートマップ - 渡部 博文

3選手の活躍があって勝ち点1を拾えたわけですが、3選手の守備機会が多くなることは決して良いことではありません。こちらも見ていてヒヤヒヤするので、よりゴールから離れた位置で相手の攻撃を防げるようになるとなお良いのかなと思います。


最後に

今回は攻撃面に触れませんでしたが、右で作って左で仕留めるというような形からチャンスは作れていました。次節は3連戦の最後で多少疲労はあると思いますが、複数得点をとって少しでも守備陣を楽にしてほしいです。