今シーズン2回目のアウェー現地観戦の舞台は鬼門フクアリ。3連勝&鬼門突破を目指し、現地には1000人を超える岡山サポが集結。退場者を出す苦しい試合展開になりながらも、最後まで声援を送り続けた。しかし結果は1-2の敗戦。鬼門突破とはならなかった。
試合を見て感じたことは、同点弾のシーンは綺麗な崩しだったが、その他のシーンでは、とにかくFWのルカオにボールが収まらず、攻撃の形が作れない。ルカオを中心とした、前線の選手が躍動し、4得点を奪って快勝した前節のような攻撃の形はあまり見られなかった。
①岩渕とルカオのポジショニングによる影響
仙台戦 前線3選手ボールタッチ位置とヒートマップ
千葉戦 前線3選手ボールタッチ位置とヒートマップ
上記のデータから見ても分かるように、千葉戦は、左IHの岩渕、FWのルカオのプレー位置が仙台戦と比べ、明らかに右サイドに偏っている。そのため、右IHの早川のボールタッチ位置、ヒートマップエリアが仙台戦はセンターレーン、もしくはハーフスペースに集中しているのに対して、千葉戦は相手にあまり脅威を与えられないサイドレーンに集中している。その影響もありチームの総シュート数は仙台戦から2本増加しているのに対して、早川個人のシュート数は2本から0本と減少していた。(出場時間も20分減少)
しかし、岩渕やルカオが右サイドに偏るのが、必ずしもよくないというわけではない。というのは、左WBの末吉のボールタッチ位置とヒートマップ図を見ればわかる。
仙台戦 千葉戦
仙台戦の末吉のボールタッチ数は自陣、もしくは敵陣のサイドレーンに集中しているが、千葉戦は自陣、もしくは敵陣深くのPA内外付近に集中している。
これは、Jリーグの公式サイト【公式】Jリーグの成績・データ:Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp) (jleague.jp)が公開している、2024年シーズンここまでのJ2リーグのドリブル総数のランキングだ。末吉は56本で9位にランクインしている。推進力があり、個人突破で状況を打開できる末吉は、自分の周りに味方が集中するよりも、スペースがある方がより高い位置でプレーをすることが出来、相手にとって脅威になるのかもしれない。実際、末吉がドリブル突破を試みて相手がファールで止める場面は千葉戦でもあったし、今シーズンよく見る記憶がある。
では、仙台戦のように左サイドに選手を密集させて逆サイドの早川に広いスペースを与えるのか。反対に千葉戦のように右サイドに選手を密集させて逆サイドのWB末吉にスペースを与えるのか。どちらにも良さと悪さがあるが、早川が加入して数試合を見た感想としては、早川は密集地帯から細かいタッチや、球離れの良いプレーで周辺の選手と連携してカットインし利き足の左足でシュートを打つことが出来る。反対に末吉は上記のデータでも分かるように、ドリブラータイプなので広いスペースを与えた方がよさが活きると思う。なので千葉戦のように右サイドに密集し、突破を試みながらも逆サイドの末吉も視野に入れた攻撃が効果的だと思う。
②戦い方の多様性
冒頭にも触れたがルカオにボールが収まる場面が少なかったことも気がかりだ。ルカオが不調だったというより千葉のCBメンデスが一枚上手だったという印象だ。前節まで千葉は右CBに身長182cmの久保庭良太を起用していたが、前節の長崎戦で負傷したこともあり、今節では右CBに身長188cmの外国人CBを起用してきた。それが普段から右サイドに流れて突破を図るルカオはまだしも、左IHの岩渕までもが右サイド寄りでプレーした理由なのかもしれない。
身長191cmのルカオ対策としてメンデスを起用したのかは、千葉陣営にしか分からないが、前節、屈強な外国人FWを擁する長崎相手にも久保庭を起用していたことから考えると負傷がなければおそらくメンデスではなく久保庭を起用していただろう。フィジカルを活かしたプレーを武器とするルカオにとっては久保庭のほうがやりやすかった可能性は十分に考えられる。
今節のようにルカオの武器が活きないときにどのような戦い方をするのか。得点パターンをいかに増やせるのかが重要になってくる。
まとめ
サッカーにおけるポジショニングについては、これが絶対的な正解だという答えはなくそれぞれに良さもあれば悪さもある。どの選択をすれば各選手の良さを消さずに、引き出すことが出来るのか。チームが勝つための最良の選択はなになのかを試合前はもちろん、試合中の状況に合わせて考えなければならない。また、毎試合、相手が変わるのがサッカーなので前節うまくいったことが今節もうまくいくとは限らない。相手によってサッカーを変えることが出来る戦術の多さも重要になる。今回使ったデータは仙台戦と千葉戦のものだけなのでもっと多くの試合のデータを分析すれば違う見方が見えてくるかもしれない。
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