【J1】前半戦の戦いを振り返ってみよう!
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開幕節の完敗から早10日。

ルヴァンカップ鳥栖戦及び第二節の延期(中止?)を挟んだとはいえ、久々の試合だ。尤もこのくらいで「試合ないなぁ」と思ってしまうのは、過密日程で少々感覚が狂っているのかもしれない。

少し日を置き、開幕節で再確認させられた諸々の課題をどう改めていくのかという試合になり、そして一定以上の成果を上げた。完璧ではないにせよ、この時期に、新加入選手抜きで、ということを踏まえれば、満足いく素晴らしい試合になったのではないだろうか。

何より、(上田の怪我離脱という側面があったとはいえ)内容が大きく変わった上での快勝だ。


基本スタッツゴール期待値


スタッツは一貫して鹿島の優勢。

シュート数、枠内シュート数、パス成功数、ボール試合率、何より得点で湘南を上回り、期待値でもほぼ全ての時間帯で凌駕した。経過時間で区分した時、湘南に後塵を拝したのは後半の立ち上がり位だろうか。とにかく、理想的な試合展開と結果だったといえる。

と、しかしここまでは開幕節と実は大きく変わらないのだ。清水戦でもシュート数その他や期待値では相手を上回っていた。というか、そもそもザーゴ体制ではほぼ毎回シュート数、ゴール期待値で相手を上回る。変化はスタッツ以外の部分にある。



パスソナー・パスネットワーク


特筆して、開幕節と異なっている点がある。

それが、このパスソナー・パスネットワークである。正直、ここまで早く好転するとは思わなかったほどだ。是非、開幕節のものと見比べてみて欲しい(開幕節鹿島のパスソナーデータを張り付けられれば良かったのだが、私にはやり方がわからなかった)。


大きな相違点として、次の二点を挙げる。


一つ目が前線とのパスの繋がりだ。

開幕節のレビューでも指摘したが、清水戦ではエヴェラウドと上田にパスが繋がっていないことが明確だった。それが今節はどうだろうか。このデータだけでも、土居の働きが伺える。(勿論出す側にも違いがあるが、それについては後述する)。


守備スタッツ - 土居 聖真ヒートマップ - 土居 聖真


土居の個人スタッツとヒートマップである。


シュートこそ枠外の1本のみであるものの、40本のパス成功、X状のヒートマップからピッチのいたるところに顔を出しながら、攻撃を円滑に進めている様が伺える。


当然、上田とはタスクが異なる。

だが、4411のST役を担った土居がボールを引き出し、配給する。その結果として、チーム全体のパスソナーが変わってきているのは間違いない。

恐らく442の2トップよりこちらの方がザーゴの理想には近いのだろう。今後、このタスクを担うのが土居になるのか、白崎になるのか、そもそも2トップに戻すのか、あるいは……と、いくつものパターンが見られることは間違いないが、こうしたパスネットワークを継続できるかが鍵になりそうだ。

期待値が高いからなのかもしれないが、個人的には土居はもっとできると思っている。しかし、それでも今節の土居に与えられたタスクと実際にピッチ上で起こった現象は素晴らしかった。


さて、少々話が逸れてしまったが、パスネットワークという点で開幕節と異なる形になったものの二点目を挙げたい。先ほどの前線とのパスネットワークとも関連するが、ビルドアップ局面でも大きな変化があった。

鹿島はビルドアップにおいて、サリーダ・ラボルピアーナを多用する。CBが大きく開き、その間にボランチが一枚下りてくる形だ。2トップの湘南に対し、最終ライン3枚で数的優位を作ってボールを前に進めようとする。尤もこの形そのものは新しいものではない。変わったのは「犬飼依存」だ。


攻撃スタッツ - 犬飼 智也攻撃スタッツ - 広瀬 陸斗

ヒートマップ - 犬飼 智也ヒートマップ - 広瀬 陸斗


こちらも開幕戦と比較していただきたいのだが、広瀬が大きな役割を果たしてくれた。開幕節と今節、DFライン4枚とダブルボランチのスタメンで変更があったのは右SBの広瀬のみ。しかし、足元の技術に高いものをもつ広瀬が加わっただけで、戦い方そのものが変化した。

まず、犬飼のプレーエリアは清水戦時より低い位置となり、また広瀬も小泉と比較してやや低めの位置取りでビルドアップに関わっていることがわかる(開幕節小泉のヒートマップは、濃い部分のほぼ全てが相手サイドである)。そしてそもそも広瀬のパス数自体が多く、犬飼を超えている。


エリア間パス図


犬飼と広瀬という右を中心にビルドアップを遂行、より安定して前へとボールを運び、そして崩しの場面へ移る。崩しでも広瀬が絡んでチャンスを演出した。2点目をアシストしたのも広瀬だ。外から内へ、内から外へと前へ進み、土居や荒木、アラーノが中央で前を向いてプレーできる状況を作り出す。もしくはサイドの深い位置をとり、そこからフィニッシュへと進む。三人目の動きで何度もチャンスが生まれた。広瀬の貢献は極めて大きい。

パスがCBーボランチ間に偏りすぎていた清水戦から修正されていたポイントは広瀬に見て取れる。雑に分ければ攻撃の広瀬、守備の小泉という右SBで、今節に限っていえば広瀬を使うメリットがデメリットを大きく上回っていたのは間違いない。サイドに力のある選手がいる相手のとき、広瀬がどこまでできるのか。それが今季の鹿島を占うのかもしれない。


また関連して、各選手の平均パス距離が短くなっている。各ポジションでショートパスが増加しているのは、クロス数の減少、前へ放るのではなく丁寧に前進という変化の象徴でもある。

GK沖の平均パス距離も、斜め左右方向については薄い色になっている。沖にせよ山田にせよ早川にせよ、足元の技術に長けたGKが競争する状況が鹿島にはある。正確なフィードだけでなく、GKがもっとビルドアップに関与しても良いのかもしれない。


ここまで手放しに褒める形になったが、少なからず課題もある。あるが、ここでは割愛させていただこうと思う。

私は序盤戦に関していえば、「内容より結果」だと思っているし、多少内容が悪くともあまり批判するつもりはない。今節はまず、リーグでの1勝目を取れた。これは大きいが、それだけでなく内容も変化した。良い変化だ。当然、サッカーは相手がいるスポーツで、清水と湘南のスタイルは全く違うだろう。清水が相手でも、今節のように出来なければ意味はない。

仮に優勝に勝ち点が80~90必要だとすれば(尤も今年はそこまで独走するクラブが現れるとは思えないが)、今節の勝ち点3は小さな一歩だ。しかし改めて、小さくとも今期優勝へ向けた第一歩を踏み出すことができたのだと思う。