いやー、新潟は強かった。

4バックはロングパスがうまく、ピッチを幅広く使われた。2ボランチには狭いスペースにどんどんパスを通された。高木と伊藤はアドリブ的にポジションを調整するので、こちらのマークがずれた。本間にはダブルチームで行くしかないし、谷口は前線を柔軟に動き回るので自然とスペースを作られてしまう。

群馬も根気強く守ったが、前半に谷口に2ゴールを決められ勝負あったかに見えた。


ただ、後半は群馬が巻き返した。

安定したビルドアップで前進し、再現性のある形でチャンスを創り出した。

そして、今季初の複数得点を達成した。

パス数やボール支配率もここまでの6試合でトップクラスであり、群馬なりにボールを大切にして群馬なりに猛攻を繰り広げた。


また、新潟の得点は谷口のゴラッソ2発とセットプレーであり、群馬は流れの中で危険なシーンを迎えることはあまりなかった。

実際、新潟にシュートを16本打たれたものの、枠内は5本であった。

442のブロックを主体とした堅実な守備は継続していると捉えてよいだろう。

初の複数失点をしたものの、後半の修正が成功した点も含めて、決して悲観するような結果ではなかった。


この後半の修正とはどのようなものだったのだろうか。


基本スタッツ




後半の修正:GKとFWの動きがよかった!


後半の修正は、ディフェンスラインを高い位置に保つことだったと予想している。

特に、FW深掘の投入すること、GK櫛引のカバー範囲を広げることで、ディフェンスラインを高く取れるようになったのではないかと考える。

今回は最後尾と最前線の2人のスタッツについて触れていきたい。


ボールタッチ位置を見てもらうと、PA外でのタッチも多いことがわかる。

特に、PA外左サイドのボールタッチは、相手のロングボールを怒涛のカバーでクリアしたシーンである。

櫛引が裏のスペースをケアすることで、DFラインは高い位置を保つことができた。

セービング能力はもちろん、広いカバーリングでチームの攻守を底上げするような活躍であった。


GKスタッツ - 櫛引 政敏

ヒートマップ - 櫛引 政敏



深堀選手は、自慢の俊足を武器に後半の流れを引き寄せた。

守備では前線から積極的に規制をかけ、DFラインは勇気を持ってラインをあげることができた。

攻撃では積極的に裏抜けを狙うことで、相手のライン間を間延びさせた。

スタッツには現れない、いわゆる効果的な走りをしているように見えた。

彼の裏抜けに呼応してロングパスが通るようになれば、もっと効果的な攻撃が期待できるだろう。スタッツが後からついてくることを大いに期待したい。


攻撃スタッツ - 深堀 隼平


ヒートマップ - 深堀 隼平



組織として強くなる


本記事は新潟が強かったこと、でも群馬は群馬なりに後半に盛り返したこと。その裏には勇気をもったライン管理があったことに触れてきた。


群馬は組織として強固であることを志向している。

加藤の降り、左サイドハーフが外に張るといったビルドアップのルールは選手に依存せず統一されている。

選手同士がアドリブでポジションを交代することもしない(新潟はよくしていた)。

この組織力が、堅実な試合展開につながっている。


そういう意味で、新潟との一戦は組織対個の戦いだったとも言える。

アドリブも加えて動き回る圧倒的な個の前に、選手間の距離をかき乱された。

ただ後半は勇気をもってラインをあげ、ザスパなりに主導権を握ることができた。

どうやら、相手の迫力に萎縮せず、勇気と堅実さを両立させることが求められているようだ。


水曜には長崎戦が待ち受けている。

長崎は、エジガルジュニオ、クリスティアーノ、都倉賢を代表する実績抜群なタレント軍団だ。

輝く個の力にたいして、群馬が組織としてどう対抗するのか。勇気を持ってラインを保てるのか。

さっそくリベンジする機会がやってきそうだ。