上位対決はホームチームに軍配

 代表ウィークを終え、2週間ぶりに再開したJ1リーグ。その最初のゲームとなったのは、セレッソ大阪とサガン鳥栖の上位対決だ。鳥栖は開幕から6試合連続無失点で、リーグタイ記録に並び、新記録が懸かった試合となったが、ホームのC大阪が1-0で勝利し、鳥栖の無失点記録を止め、今季初黒星をつけた。やや荒れ気味の試合となったものの、両チームが球際に厳しくチャレンジしたことで、見応えのあるゲームとなった。


両チームのスタメン

フォーメーション図フォーメーション図

 C大阪は日本代表メンバーに名を連ねた原川力と坂元達裕が負傷により欠場。原川の代役には古巣対決となる藤田直之を、坂元の代役には期待の19歳西川潤を先発起用した。

 一方の鳥栖は、前節のアビスパ福岡戦から3人先発を変更。アンカーのポジションには松岡大起が2試合ぶりに先発に復帰。そして2トップにはU-24日本代表で活躍を見せた林大地と札幌からレンタルで加入したばかりの中野嘉大をいきなり先発で起用した。


両チームとも集中力の高い入りを見せた前半

 両チームとも前半から集中力は高く入ったが、最初にチャンスを作ったのはホームのC大阪。4分、右サイドから西川潤のフリーキックを豊川雄太が頭でそらすと、走りこんだ大久保嘉人が頭でゴールネットを揺らした。先制点かと思われたが、オフサイドの判定でノーゴールとなった。その後、ポゼッションを高めたのはアウェイの鳥栖であり、C大阪はカウンターを狙うという構図となった。

 鳥栖のポゼッションに対し、自陣深くまで攻め込まれるシーンが多かったもののC大阪は集中力の高い守りで決定機を作らせなかった。鳥栖の攻撃で印象的だったのは右サイドの飯野七聖の攻め上がりである。ボールを握る時間が長くなったことで高い位置取りでプレーする機会が多く、C大阪にとっては厄介な存在となっていた。クロス数は両チームトップの6回を記録したものの、ヘディングに強い山下敬大がベンチスタートだったこともあり、ゴール前での迫力を欠き、得点に結びつけることができなかった。

 C大阪ではカウンターの場面で西川潤が積極性を見せ、20分にはドリブルで持ち上がり得意の左足でゴールに迫った。また、鳥栖はCBのエドゥアルドのビルドアップ能力の高さを活かした攻撃が強みであるが、豊川雄太がプレスをかけ続けたこともチームを助けていた。両チームとも集中力の高いゲームはスコアレスで前半を終えた。


一瞬のスキが生んだ先制ミドル

 ハーフタイムに鳥栖は中野嘉大に替えて山下敬大を投入。サイドから深い位置まで侵入出来ていたことで、ゴール前で勝負できるストライカーを入れて先制点を狙った。

 しかし、後半の開始早々に試合を動かしたのはC大阪だった。瀬古歩夢のロングパスはカットされたものの、鋭い出足でボールを奪取した奥埜博亮が右足を振り抜くと強烈なシュートがゴール右上に突き刺さり、ついに先制点が生まれた。

 鳥栖としてはメンバー交代により勝負に出た中、自分たちのミスから先制点を献上する苦しい立ち上がりとなった。失点時間帯、仕方ともに悔やまれる。

 追いかける展開となった鳥栖だが、C大阪の堅い守備をなかなか崩すことができず、途中投入の山下敬大もゴール前で自由にさせてもらえず苦しい展開が続いた。64分、樋口雄太のコーナーキックにファーサイドでエドゥアルドが頭で合わせるもクロスバーに嫌われて得点ならず。この試合最もゴールに迫ったシーンだったが、ものにできなかった。さらにその10分後には右サイドの飯野七聖のクロスに途中投入の本田風智が頭で合わせるもGKの正面となり同点ゴールは遠い展開が続いた。

 前への意識を高める鳥栖だが、77分にファン・ソッコが清武弘嗣へのタックルで2枚目の警告を受けて退場。このプレーへの判定としては厳しい判定という印象が残るが、ファン・ソッコは試合を通して激しいプレーが続いていたことを考えると退場は避けられなかったとも言うことができる。


上位に食い込むためにも鳥栖は早くも正念場か

 試合はこのまま集中力の高い守備を見せたC大阪が1-0で勝利。鳥栖を交わして暫定3位に浮上した。一方の鳥栖はルヴァンカップの北海道コンサドーレ札幌戦に続き公式戦2連敗でリーグは今季初黒星となった。リーグ戦では2試合連続の無得点であり、ここで踏みとどまれるかどうかが今季を左右することとなりそうだ。