前節チームともに上位対決に敗れ、勝ち点が欲しい今節

両チームともにスタートのフォーメーションは4-4-2

フォーメーション図

フォーメーション図

神戸は前節負傷交代をしたサンペール選手が今節も不在となり、これまで攻守において絶対的存在感を示していた選手だけに不在の影響が懸念されるスターティングメンバーとなった。

一方のセレッソもチームトップスコアラーの大久保選手を欠いての試合となった。


試合が開始されると神戸は前節までサンペール選手がビルドアップ時に最終ラインに加わり、安定感をもたらしていた役割を山口選手が担っていた。


前半神戸はこれまでと同様にチームのコンセプトでもあるボール保持からの展開に加えて、絶好調のエース古橋選手の裏への抜け出しに対し1本ロングパスからの攻撃を仕掛けておりサンペール選手が抜けても戦術の変更はないように見られた。


対するセレッソは両サイドバックが高い位置をとり攻撃参加を常に行い、サイドを崩し手からのクロスに加えて豊川選手の裏への抜け出しを狙った攻撃を行っていた。こちらも武器であるサイド攻撃という武器を変えることなくこの試合でも行っていた。

また、守備においてセレッソは高い位置からのプレスとゾーンディフェンスで相手にボールを持たせるタイミングがはっきりしていた。


序盤からセレッソはサイド攻撃やセットプレーなどからチャンスを作り続けていた。

セットプレーではセレッソには藤田選手のロングスローや清武選手のプレスキックがある位加えて両外国人CBはダンクレー選手187㎝チアゴ選手191㎝高身長であり、シンプルな攻撃であるがそれ故に神戸DF陣を苦しめたが最後のところで神戸は集中力を発揮し、ゴールを許さなかった。

しかし神戸は攻撃の際セレッソのゾーンディフェンスにより中央のパスコースを遮断され続けているため、サイドにボールを流すがそこからアタッキングサードにボールを運ぶことができず、バックパスで再び作り直しという場面が多かった。

また古橋選手へのパスも常にセレッソ両CBがマークしているためすべて彼らにはじき返される結果となってしまい有効な攻撃を仕掛けることができない。

両チームDF陣の硬さを見せ、決定的瞬間のないまま飲水タイムに入る。


飲水タイム後も両チーム集中を切らすことがなくシュートで終わる攻撃が両チーム見られない。

しかし

40分前後にセレッソは再び飲水タイム前に見せていたシンプルなサイド攻撃やセットプレーが見え始め、チャンスを作った。

守備においてもサイドにボールを誘導し、そこで球際の強さを見せボールを奪い攻撃を仕掛け続けた。

それに対して神戸は両CBの菊池選手とフェルマーレン選手が何度もその攻撃をはじき返し続けた。

ホームチームにとって耐える時間が長く、防戦一方となっていた前半終了間際にセレッソのビルドアップのミスから高い位置でボールを奪った山口選手から佐々木選手へつなぎ、佐々木選手がゴールに流し込み得点かと思われたがオフサイドでノーゴールとなってしまった。

その直後にも神戸は高い位置から神戸はボールを奪い、チャンスを作ったがゴールとはならずそのまま前半を終えた。


後半セレッソに交代はなかったが神戸は中坂選手に変えて初瀬選手を投入した。

この交代の意図としてサイドにボールが流れることが前半多かったためそこからでも質の高いボールを供給できる選手の投入という意図があったように感じた。


後半開始直後はややオープンな展開となり両チームシュートで攻撃を終えるシーンを作ることができた。

57分に神戸は再び選手交代を行い、井上選手に変えてイニエスタ選手を投入した。

これにより神戸はシステム変更がされ4-2-3-1

2トップの一角を担っていた佐々木選手を右・イニエスタ選手をトップ下

そして古橋選手をワントップに配置した。

セレッソも同じタイミングで選手交代を行い、加藤選手に変えて高木選手を入れ

セレッソも神戸同様に4-2-3-1のシステムとなり

高木選手が左・清武選手がトップ下・豊川選手のワントップに並びは変更された。

守備の時には清武選手が2トップに加わりディフェンスを行った。


この交代後神戸はイニエスタ選手を中心にボールが回りはじめ、セレッソのゾーンディフェンスにわずかなほころびを作り出し、そこからイニエスタ選手がチャンスメイクをした。

結果神戸がボールを持つ時間が長くなり、セレッソは奪ってからのカウンターが増えてきた。


神戸は立て続けに選手交代を行い67分に佐々木選手に変えてけがから復帰したドウグラス選手

この交代でドウグラス選手をワントップにし、古橋選手を右に配置し、これまで見ることのできなかったドウグラス選手のポストプレーから二列目の選手の抜け出しを狙った。

セレッソは前線に動きを持たせるため豊川選手に変えて松田選手を投入した。

少しずつ流れが神戸に傾き始めたかに思われたが75分にセレッソが試合開始から常に狙い続けていたサイドからの攻撃から得点が生まれる。

左サイドのパスワークからフリーでボールを受けた交代で入った高木選手からのクロスに坂元選手が飛び込み先制した。セレッソは左サイドでのパスワークの際神戸の両CBをつり出すような動きを見せ中央にスペースを作った。そのスペースを見逃さなかったセレッソの狙い通りの得点となった。

流れをつかみかけていた神戸にとっては数字以上の1点となった。

その流れを変えるべく79分に山川選手と郷家選手に変えて個人の力で局面を打開することができるリンコン選手とマシカ選手を投入した。

この交代により再び神戸は4-4-2でイニエスタ選手がボランチ・初瀬選手が左サイドバック・酒井選手が左から右サイドバックに移動した。

変わっては入ったマシカ選手が右 リンコン選手が2トップの一角

投入直後に連携からリンコン選手がシュートを放つがゴールポストに嫌われる。

85分にはカウンターから左サイドでフリーで受けたリンコン選手が仕掛け1枚はがして中央にボールを供給するが最後のところでセレッソの守護神キムジンヒョン選手に防がれる。

攻撃的な選手を増やした神戸はイニエスタ選手がその選手たちにボールを供給し続け、ゴールを狙い続けた。

そんな中でもリンコン選手が状況が上がってきている姿を見せ、ドリブルやパスなどで精度の高さを見せつけた。

87分にはセレッソはさらに前線の選手の清武選手に変えて若い藤尾選手を投入した。

その後も神戸の猛攻は続いたがセレッソは組織的守備でゴールを許さず、後半アディショナルタイムに入りこのまま試合終了かと思われた96分に前線に上がった菊池選手めがけてゴールキックをけり、競り勝った菊池選手からこぼれたボールをマシカ選手が回収し、リンコン選手にボールが渡る。そのリンコン選手から裏への抜け出したドウグラス選手にスルーパスを供給し、決定機を迎えるがキムジンヒョン選手がセーブ、こぼれ球を菊池選手・古橋選手と立て続けにシュートを放つがセレッソDF陣にブロックされ、ボールがこぼれるそのボールをボックス内で回収したマシカ選手が落としたような形となりそこに飛び込んできたフェルマーレン選手が狙いすましたようにゴール右上にねじ込み同点としこの劇的同点弾がラストプレーとなり、

同点で試合を終える結果となった。


この試合のポイントとして神戸には3つの要素があったと考えられる。

1.選手交代の明確さ

神戸は5枚の交代枠をすべて利用し、その全てを攻撃に特徴を持つ選手を投入し、毎交代ごとにそれまでとは異なる攻撃を仕掛けることができており、セレッソDF陣は対応に常に追われていた。

セレッソも途中出場の高木選手が先制点の起点となったので同様のことがいえると思うかもしれないが、セレッソはそれまでにも見せていたサイド攻撃というスタンスを大きく変えてはいなかった。また特に神戸の交代との違いを感じたのは先制点後の交代である。

75分に先制をしセレッソはチームとしてその1点を守ろうとしていた。であるにも関わらず87分になるまで選手交代を行わずその87分の交代も清武選手に変えてFWの若い藤尾選手を投入した。

この交代は見ていてどのような意図があったのか理解することができてなかった。

この違いが1つの要素であると考える。

2.選手配置の流動性の高さ

神戸は毎交代ごとに選手の配置を大きく変えフォーメーションを変えることもあった。

特に古橋選手は2トップに1トップ右に左にとこの試合だけでも多くのポジションをこなしていた。このオプションの多さが流動性の高さは大きな要素であると考える。

3.交代選手の好調

上記したようにリンコン選手はかなり状態の良さを見せ、本来のポテンシャルの高さが垣間見え始めた。それ以外にもマシカ選手のスピード・イニエスタ選手のパスセンス・ドウグラス選手のフィジカルの強さなど、攻撃面において交代選手が大きな違いを見せた。


これらの3要素、特に2と3は神戸の強さであり相手にとって脅威となっており、今節の終盤に見せた猛攻こそ神戸が持つ本来の攻撃力なのかもしれない。

今節交代で入った外国人選手に加えて、同点弾を決めたフェルマーレン選手今節出場はなかったがこれまでの神戸を攻守で支えたサンペール選手も控えている。

外国人枠は5枠であるため上記の6人をうまく起用することで神戸の上位進出・ACL出場権獲得することができるだろう。