土曜日に行われた試合で、1位と2位が勝利したために、追走するためにも絶対落とせない一戦。少しでも良い条件(3位)でのプレーオフと、かなり厳しくなってしまった自動昇格の可能性を信じて、勝利を目指す岡山。


1、前節までの対戦成績


前節までの対戦成績

前節までの対戦成績(図=figure:SPORTERIA提供)


 勝敗上は、ダブルスコアを許している岡山。ハードワークを売りにしている岡山のチームカラーという事もあり、移動距離が長くなってしまうという理由があるのか、関東のアウェー遠征を苦手として来た岡山。


 ただ、今季の岡山は、例年と違うという事も示すためにも、前回でのホームでの敗戦取り返したい。昇格する時には、こういった相性すらも覆す事の連続にある。奇跡を起こすためにも、奇跡の快進撃が必要である。


 不利であるというデータは、勝利を信じて応援するという熱量に変えることで、ダブルを阻止し、今季の勝敗をイーブン(1勝1敗)として次に繋げたい。


2、得失点パターン


得失点パターン

群馬の得失点パターン(図=figure:SPORTERIA提供)


 ポゼッションの得意なチーム以外のチームがショートパスでの得点が多い理由を、私は持ち合わせていないが、「総得点が少ない」という事が関係しているかもしれない。


 群馬は、クロスからの得点が2番目に多いが、上位のチームほど、クロスでの得点率は高く、深くまで運んだ上で、高い精度クロスや動き出し、もしくは、回数でその流れから得点や、セットプレーに繋げて得点に繋げるチームもある。そういったサイドの回数と質の部分で、上位のチームと比べて苦手としているかもしれない。


 逆を言えば、「ショートパスでの崩し」の内容が、どういったものであるかが、注目ポイントかもしれない。データでフォーカスは、実際に試合を観ることで、感想というデータが、結論に近い物があり、データの裏付けを行って行くのが、私のパターンであるが、分からないものは分からないで、読者と一緒に考えつつ、試合後に意見交換することで、知見を深めていきたい。


 失点パターンに関しては、多少の前後があるものの岡山の得点パターンと形が似ている事もあり、お互いの攻守の特徴を如何に出せるかが、そのまま結果に繋がる事も十分予想される。


得失点パターン

岡山の得失点パターン(図=figure:SPORTERIA提供)


 クロスとセットプレーという武器に加えて、ポゼッションというのが、1つのテーマとなりつつある岡山。ショートパスもここに注目ポイントに加わる。ドリブルも形になりつつある。個の力と組織の融合。そして、スタメンとリザーブの18人を含めた総合力で、前進してきたことを横浜FC戦で、証明した。


 コロナの影響を受けたが、他のクラブも影響を受けている。山形の再試合の開催も心配される。コロナが、一時的であっても収束しない中で、チームとしてどこまで戦えるか。苦しい状態ではあるが、岡山の底力を苦手とする群馬戦で、発揮し、希望の光としたい。


 岡山の失点パターンを観た時に、一定の対応力を魅せる事で、多少の攻撃に対しては、吸収する力があることは、図からも伝わって来る。ポイントは、群馬のショートパスが「縦に速いパス」なのか「ゴール前のパスでの崩し」なのか、サイドでの「クロスとパスの使い分け」なのか。


 岡山の守備においては、「パス」を巡る攻防は、注目ポイントだ。


 もちろん、岡山が、この試合で、どこにストロングポイントを置いて、群馬対策の準備をしているのかというのも要注目ポイントと言える。


3、時間帯別得失点率


時間帯別得失点率

群馬側の時間帯別得失点率(図=figure:SPORTERIA提供)


 群馬の時間帯別得失点率は、非常に分かり易いデータとなっている。出だしに攻勢を仕掛けて、先行逃げ切りのチーム。もしくは、終盤まで0-0で進めて、終了間際に一瞬の隙を見て得点を奪って行くチームであるという事である。


 データを見ても、失点しないことを重視したサッカーであることが感じ取れる。この試合でも1点を巡る試合になる可能性は高いと言える。


時間帯別得失点率

岡山側の時間帯別得失点率(図=figure:SPORTERIA提供)


 ディフェンシブエースの15ミッチェル・デュークと、オフェンシブエース7チアゴ・アウベス、スーパーサブの38永井 龍。CFは、この3枚軸が、巧く起用することができた時間での得点が多い時間帯になっている。


 この試合前時点では、統計であるためどうしても61-75分の時間帯をどう改善するかが課題にのように見え、残り試合でここを武器に変えるかは、最後の大きな課題と言える。木山 隆之監督自身も、そのための方法と土台作りも順調に進んでいる事は、サポーター目線でも感じることができる。後は、結果を残すだけである。


4、PA内への進入傾向


PA内への進入傾向

群馬のPA内進入傾向(図=figure:SPORTERIA提供)


 この図を見ても左サイドが武器であることがはっきりと分かる。ただ、左が得点源というよりは、1クッション入れる。しかもサイドチェンジレベルでの大きな揺さぶり。右で仕留めるイメージに思える。


 また、傾向として左は深く、右は浅く、どちらかと言えば、中に入っていくイメージにも映る。ショートパスでの得点は、右から、左は主にクロスだが、中を交えた時にパスでも崩す流れはありそうだ。


 また、FWの選手のアシストも多く、動きの多いマルチなタスクをこなせるCFがFWを任されている様に1.5列目の印象も持てる。


 以上から大きな展開と、パスを織り交ぜた崩し、遠近を交えた揺さぶりに対して、如何に状況の再リサーチをすることで、如何に把握するか、また粘り強く対応するかが、求められる。それができなければ、一瞬の隙で決められてしまう可能性も高いので、そこには、十分注意したい。


PA内への進入傾向

岡山のPA内への進入傾向(図=figure:SPORTERIA提供)


 3得点のでの勝利が続いた後に無失点に敗北。特に敗戦を喫した横浜FC戦では、なかなかシュートを打てない時間帯もいつも以上に長かったことで、総じて回数自体は少なくった。PKや判定に助けられている部分こそ否定できないが、PKの可能性の生まれる混戦をなかなか作れるチームが少ない事を考えても、チームとして、しっかりセットプレーで、得点出来ている事の証左でもある。


 16河野 諒祐と、41徳元 悠平といった両選手のストロングポイントを活かし難い試合が続いたこともあって、クロス数が激減こそしているが、その分ポゼッションとはまた違ったパスを武器にした形も大幅に改善にしており、そこに対して、傾倒するデートはなっているが、3試合のデータである通り、クロスでの数は、次の試合のデータでは、また違ったものに可能性は、十分ある。


 また、ドリブル・クロス・パスのどこに狙いを絞って、もしくはバランスよく活用し、試合に臨むかは、メンバー発表からの実際のフォーメーションや戦い方、攻撃時と守備時の対応の仕方。交代カードの切り方。並びの変更など、もはや表記もあまり意味がなくなってきているチームスタイルというのは、まさに選手のやり易さ。特に攻撃に力を入れているからこそ、予測不可の相乗効果を生み出せるチームとなってきていると感じる。


5、被PA内への進入傾向


被PA内への進入傾向

群馬の被PA内への進入傾向(図=figure:SPORTERIA提供)


 ドリブルへの進入回数はなく、人数をかけて蓋をする守備が予想される。サイドへの深くへの進入は多めとなっている。サイドでの主導権を巡る攻防やゴール前に人数をかけた守備の核や組織を巡る攻防。ポゼッションで行くのか、サイドから崩していくのか、カウンターや中央から個の力を武器に打ち破るのか。岡山のメンバー次第で、注目ポイントは変わって来る。


被PA内への進入傾向

岡山の被PA内への進入傾向(図=figure:SPORTERIA提供)


 こうしてみると、岡山の打たれ強さが際立っている。「持たせる」や「持たれる」という言葉があるが、中央だけやらせないことで、3失点目を許さず、打ち勝つ試合も作れている。23ヨルディ・バイスの言葉を一部、拝借して私の言葉で表現すると、「失点するのは、勝者を目指して、失点を恐れず攻めた者こそ受けるダメージが大きいのが失点である。だからこそ岡山は攻める。」。サイド深くへの進入されても、パスへの脇へ通されて、中央だけは、許さない。勝ち点は与えない。そういった鬼気迫るものがこのデータから伝わって来る。


6、プレビュー


 久々に熱い部分を気持ちに籠めてプレビューを書いてみました。データでフォーカスでは冷静にデータを見て行く部分もあると思いますが、たまにはこういった感じのプレビューはどうでしょうか?


 それだけ群馬に勝ちたい。群馬の順位は、試合前に、J2の下から3番目の20位と考えるか。それとも、全国のサッカーチーム全ての38番目のクラブと考えるのか、その時の強さもあると思いますが、紛れもなく、データ上は、群馬は、38番目に強いチームなのです。岡山も22番目。その時のチーム状況に寄りますが、大枠では大きな差はく、勝負を分けるのは僅かな差である。実際に、ホームでは負けている。


 堅守速攻のチームに多いスペースを突いていくというサッカーではない何かを持っている。前回の対戦では、岡山のプレスに対して、無理と判断したら一旦戻してやり直すというサッカーは、秀逸だったと記憶している。ショートパスでの得点が一番多いのは、シュートを打ちたい。攻めたい。得点が欲しい。勝ちたい。そういった気持ちを結果に繋げるには、どうすべきか。一旦、自分達のできる事を冷静に考えて、はやる気持ちを抑えて、辛抱強く90分間続けて、勝利を目指しているからこそできるのだろう。


 その群馬から、岡山が勝ち点3を手にすることができるのか。群馬も残留争いをしており、簡単な相手ではない。それは、紛れもない事実である。ここから両クラブともトーナメント戦のような気持ちで戦って行くくしかない。注目の一戦は、本日19:30分 正田醤油スタジアム群馬 でkick off。


 一人でも多く、勝利を願って応援して頂けると、一人の岡山サポーターとして、サッカーファンとして、嬉しく思います。


 最後まで読んで下さり、有難うございました。サッカー研究系ブロガーではなく、サッカー大好き系ブロガーに近いので、質問に対して、正解に近い物は辿り着けない(答えられない)かもしれませんが、一緒に考えて、間違えたり正解したり、冗談いったりする中で、サッカーを楽しめると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。


文章=杉野 雅昭(text=Masaaki Sugino)、図(データ)=SPORTERIA様