1、前置き~慣れない水溜まり~


 今節は、前半の戦い方を誤っていたことで、結果的に3失点に繋がったという側面が強かったと思います。晴れの国岡山という事で、慣れていない部分もあったはずで、こういったコンディションの試合は、かなり前の話で、思い出すことができないくらいです。


 そういった意味では、貴重な経験をできた試合であったと思います。この試合では、全体的にパスの成功率が低くなった試合ではありましたが、後半の戦い方やパフォーマンスを見る限り、水溜まりの所を避けた選択しを持っていた方が、結果的に持ち味を出せた可能性も高かったように、個人的に感じています。


 その理由としては、後半の岡山が攻めた横浜FC側の陣地(岡山が前半守った陣地)は、水溜まりで止まる所がほぼなかったことと、横浜FCの選手が、(スローインで時間稼ぎしていたように)攻撃に消極的であったことを関係していましたが、それでも岡山らしい攻撃ができたのが後半でした。


 この辺りは、対戦相手や状況によりますので、次に水溜まりを上手く使うにしても、そこを避けるにしても、この経験をどう活かしていくのかということの方が、とても大事なポイントであるように感じます。


 だからこそ、今回のフォーカスでは、あえて前半で交代した4選手にフォーカスを厳し目の表現で当てて、今後の奮起に期待して、各選手への印象を含めて語っていきたいと思います。



2、データでも証明された「神業の左足」


ゴール期待値

ゴール期待値(図=figure:SPORTERIA提供)


 観ての通り、横浜FCの24番 福森 晃斗 選手の左足から生まれたセットプレーの3得点は全て、難易度の高い得点であったことがデータからも分かります。そして、岡山もまたチャンスを多く作ることができていた試合であったことも分かります。


 改めて、24番 福森 晃斗 選手の左足にやられたという印象を強く抱きましたが、岡山としては、だからこそ悔しさを感じるデータではあります。


 その中で、前半だけで交代することとなり、より悔しい想いをしたであろう選手について、1人ずつ語っていきたい。



3、最も消えていた10番


攻撃スタッツ - 田中 雄大

攻撃スタッツ:10番 田中 雄大 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 攻撃での数値がパス3本のみという低すぎる数値。本人も攻撃では何もできなかったと感じた前半ではないかと感じます。


守備スタッツ - 田中 雄大

守備スタッツ:10番 田中 雄大 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 守備の数値は多少マシであったものの彼の力を考えると満足の行く数値とは言えない。


 しかし、次の数値を見ると納得と言えるかもしれない。


ヒートマップ - 田中 雄大

ヒートマップ:10番 田中 雄大 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 左のシャドーのはずの10番 田中 雄大 選手が、ほぼ右サイドでしか触っていない。これが、木山 隆之 監督水溜まりの所を指して、攻めた結果と言える。


 ここまでの10番 田中 雄大 選手の数値を見て、この選択が良かったのか悪かったと考えさせられるデータとなっていた。


4、クロスを放てなかったクロサー


攻撃スタッツ - 河野 諒祐

攻撃スタッツ:16番 河野 諒祐 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 高い位置で受けてクロスを打っていく。それが彼の武器のはずだが、そこに至ることができなかった。その水溜まりを突破することができなかったことがデータとして出ていた。4本のパス成功数が、難しいピッチコンディションであったことが感じられる。


守備スタッツ - 河野 諒祐

守備スタッツ:16番 河野 諒祐 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 攻撃するために水溜まりを狙っていたはずが、蓋を開けてみるとパスが止まった後の守備を含めて、守備機会が多くなってしまっていた。


ヒートマップ - 河野 諒祐

ヒートマップ:16番 河野 諒祐 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 いつもは、最も右の位置に集中する16番 河野 諒祐 選手のヒートマップだが、止まったパスへの守備を含めて、中のタッチがあって、前目にあるはずのヒートマップも押し込まれて、自陣でのタッチが多くなっている。このデータを見ても持ち味が消えてしまっている事がはっきりわかる。


5、水溜まりに嵌ったドリブラー


攻撃スタッツ - 木村 太哉

攻撃スタッツ:27番 木村 太哉 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 27番 木村 太哉 選手といえば、ゴール前での予測不可のキープや思い切りの良いプレーであるが、低いパス数とクロス2本に留まった。水溜まりエリアでアグレッシブにプレーしていたが、ゴール前でのプレーはほぼなかった。


守備スタッツ - 木村 太哉

守備スタッツ:27番 木村 太哉 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 激しい守備も多かったことで、ファールも2つ。もう少し慎重な攻撃から安定して戦う必要もあったかもしれない。


ヒートマップ - 木村 太哉

ヒートマップ:27番 木村 太哉 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 一番濃くなっているところが、最も水溜まりが激しかったところ。そこを突いて、攻めたいという意図の筈が、すぐにクリアされることで、水溜まりに嵌ってしまっていたことになる。ペナルティエリア内やその近くでのプレーを増やすような戦いをしかったと改めて感じた。


6、パスとキープが封じられたチャンスメーカー


攻撃スタッツ - 仙波 大志

攻撃スタッツ:44番 仙波 大志 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 CKで惜しいシーンを作ったラストパス1本は救いだが、流れの中でのプレーは、仙波クルクルからのパスでのチャンスメーク双方が封じられた。影響の少ないエリアでプレーすることで、もっと確実性の高いプレー選択できるような戦い方をしたかった。


守備スタッツ - 仙波 大志

守備スタッツ:44番 仙波 大志 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 右サイドが主体の攻防であったために、守備機会も少なかった。数少ない守備機会では、ボールを奪えないシーンもあった。


ヒートマップ - 仙波 大志

ヒートマップ:44番 仙波 大志 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 自分の特徴が良く分かっている選手なので、そこでプレーしようという意識の高さを感じられるが、水溜まりエリアのフォローにプレーの選択を割かれたことで、持ち味が消える結果となった。


7、ピッチコンディション共に攻撃も改善


 水溜まりを気にする必要がなくなった事でいつもの岡山のサッカーができた。改めて、水溜まりエリアを狙ったことの是非が問われる結果となった。


攻撃スタッツ - ガブリエル シャビエル

攻撃スタッツ:8番 ガブリエル・シャビエル 選手


 惜しいシュートやプレースキックやパス系のチャンスメークに得点の可能性を感じた。前半からプレーを見たい。


攻撃スタッツ - 太田 龍之介

攻撃スタッツ:11番 太田 龍之介 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 9番 グレイソン 選手の役割も可能。連携がもっと良くなければ、ゴールもアシストも期待できる。


攻撃スタッツ - 本山 遥

攻撃スタッツ:15番 本山 遥 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 横浜FCが、後半は消極的だったので、持ち味の守備だけではなくチャンスメークでも存在感。


攻撃スタッツ - 吉尾 虹樹

攻撃スタッツ:25番 吉尾 虹樹 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 クロスと記録されないクロス系のパスを多数ゴール前に配給。精度を含めて可能性を感じた。アシストへの期待大。


攻撃スタッツ - ルカオ

攻撃スタッツ:99番 ルカオ 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 キッカーを見た私の席の周りのサポーターも(8番 ガブリエル・シャビエル 選手ではないのか…と)冷や冷やする声が聞こえる中で、唯一の得点のPKを決めた。競り合いで何度も被った11番 太田 龍之介 選手のとの関係性に改善の余地も感じた。


8、固執の前半とバランスの後半


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(図=figure:SPORTERIA提供)


前半0~15分

様子を探っていた時間帯。

前半15~30分

木山 隆之 監督が指を指して水溜まりを狙い続けた時間帯で、バランスがかなり悪い。

前半30~45分

3失点して意気消沈して、水溜まりエリア作戦を放棄して、冷静になった時間帯。

後半0~45分

水溜まりの影響も少なく、自分たちのサッカーを取り戻した時間帯。


9、総括~冷静さを欠いた前半~


結論に関しては、木山 隆之 監督のコメントが全てではないかと思うので、全文引用したい。


『 木山 隆之 監督 』

非常に悪天候の中、たくさんの方に来ていただき、背中を押していただいた。感謝を申し上げます。

試合に関しては、セットプレーで3失点し、後半に1点は返したが、2点差のゲームなので結果的には完敗だった。

セットプレーは止めるのが難しいボールだったが、3点目のコーナーキックに関しては少し自分たちにズレがあった。

でも、そこに至るまでの過程で言うと、相手チームの勢いを受けてしまい、それを我々が押し返せない中、自陣でセットプレーを与えてしまっているので、そこは負けだと思う。

ただ、選手たちにも話したが、その大部分は私のミス。今日に関しては、ピッチや雨の状況も含めて、どのくらい水が溜まるかを読み切れなかったし、もう少しパワーのある選手をスタメンでおくべきだったと反省している。

また切り替えて、頑張りたい。


ファジアーノ岡山公式HP「J2第8節 横浜FC戦 監督・選手コメント」より一部引用

URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202404032230/


 木山 隆之 監督が、これだけ自責の念をコメントとして語ることは珍しいかと思います。それでもサポーター目線でも、今まででも采配が当たっていたので、この試合によって、木山 隆之 監督への信頼は揺らぐことはないですし、これだけ水溜まりの中での試合も久々ですし、この経験を経て、チームとして経験を活かしてくれることは間違いないので、むしろ、こういったピッチコンディションの時に、次にどう戦うのかというのは、とても楽しみである。


 そして、次節対戦する愛媛FCも現在6位に位置し、難しいゲームになるのではないかと感じます。愛媛との対戦では、近年は苦しんでいる印象もありますし、次節も僅差の試合になることは間違いないでしょう。


 連戦の最後ですし、思い切った選手起用で、横浜FC戦の敗戦の悪い流れを断ち切る内容での勝利に期待したいですよね。


 ちょっと前半部分に関しては、厳しい表現に感じた部分もあると思いますが、次への期待への裏返しと捉えて頂けると幸いです。実際に私自身、次への試合が楽しみの気持ちが強いです。


 次節こそ、キヤマアイからの木山マジック、木山曲線に期待したい。


2024ファジ造語No.12『 ≫≫キヤマアイ≪≪ 』

 木山 隆之 監督の勝利に逆算した勝負勘が優れた決断力に裏打ちされた本質を見極める「着眼大局」の眼を例えたファジ造語。木山 隆之 監督は、勝利のために必要なことを見極めて、情に左右されることなく、冷静に決断を下すことができる。無謀ではなく、挑戦であり続ける勝負師木山 隆之 監督の勝負術に優れる監督でもあることも示す。


2024ファジ造語No.3『 ≫≫木山マジック≪≪ 』

固定概念を作らない木山 隆之 監督の自由で大胆な決断により、チームを勝利に導くことができる試合采配や選手起用を指すファジ造語。誰にも思いつかない自由な発想と大体な一手で勝利を手繰り寄せてきた将棋で一時代を築いた羽生 善治先生の一手が「羽生マジック」と呼ばれていたが、そこに由来して、「木山マジック」と命名した。22シーズンは、サポーター間でも浸透した。24シーズンでも聞きたいワードですよね。


2024ファジ造語No.5『 ≫≫木山曲線≪≪ 』

将棋の藤井八冠が、AI評価値で、一度リードしたらそのまま最後まで右肩上がりで完勝してしまう強さを表現して「藤井曲線」と言われていました。まさしく、開幕戦の木山ファジの勝ち方のようで、そこを可能にした選手起用やチーム作り、ゲームプランから木山マジックの進化系であり、90分間でほぼ圧倒して勝った時の勝利を表現するファジ造語。



 最後まで読んで下さり有難うございました。


文章・図(基本情報)=杉野 雅昭

text・figure=Masaaki Sugino

図=figure:SPORTERIA提供


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