データが色々ありますので、名古屋の守備について投稿させていただきます。

下表は、2020シーズンJ1リーグの失点、被ゴール期待値、「失点-被ゴール期待値」、削減率(被ゴール期待値÷「失点-被ゴール期待値」)、被チャンス構築率を並べたものである。

名古屋は失点はわずか28であり、J1最少を誇る。被ゴール期待値は37.4であり、川崎Fの36.0に次いで2番目である。名古屋は失点も少ないが、被ゴール期待値も小さく、そもそも点を取られそうもないのだ。失点から被ゴール期待値を引くと、予測と実際の差を計算できる。名古屋は-9.4であり、被ゴール期待値から9.4点分だけ失点を抑えることに成功している。これはリーグ3番目の数字である。更に削減率を計算すると-25.1%であり、被ゴール期待値の四分の一を削減したことになる。削減率はG大阪に次いで2番目である。被チャンス構築率は9.7%であり、リーグ4番目である。相手にチャンスを作らせていないということ。身体を張ってゴールを守るということではないようである。名古屋は非常に安定した数字を残している。

下表は失点と他項目との相関係数である。

最も相関係数が高いのは削減率である。削減率が高くなると失点も減るということである。名古屋の削減率は-25.1%であり、値として非常に高く、順位としてはリーグ2番目である。こういった相関係数からも名古屋の失点の少なさの要因を見ることが出来る。

次は被30mライン進入と被ペナルティエリア進入である。

名古屋の被30mライン進入は1,436回であり、それほど少なくない。30mラインまでは結構進入されている。しかし被ペナルティエリア進入は347回であり、川崎Fに次いで2番目に少ない。

次は被チャンス構築率との相関である。

被30mライン進入との相関係数は0.72であり非常に高いが、被ペナルティエリア進入は更に高い。0.89である。30mラインに進入されるよりもペナリティエリアに進入される方が被チャンス(ピンチ)につながるのだ。考えてみれば当たり前の話である。そこで一つ前の表に戻り、PA進入率を確認する。これは被ペナルティエリア進入を被30mライン進入で割った数字である。名古屋は24.2%であり、リーグ最少である。30mラインには進入されても、ペナルティエリアには進入させていないことがわかる。ペナリティエリアに入る前にボールを奪っていることがわかる。

次はシーズンの比較である。

2019シーズンは風間サッカーによりボール支配率が高く、被30mライン進入回数は2020シーズンよりも少なかった。しかしPA進入率は30.2%であり、約3回に1回はペナルティエリアに進入されている。こういったところが2019シーズンに失点が多かった要因の一つだろう。そして被ペナルティエリア進入率が低いことが2020シーズンに失点が少なくなった要因の一つだと思う。

以前、名古屋の失点パターンの巻 | SPORTERIAにおいて、下記の通り記載したが、こういったことも要因の一つであると思われる。

奪取Pは2019シーズンの方が値が大きいです。CHの値をCBの値で割るとどちらの比重が高いかが分かります。2019シーズンは147%、2020シーズンは161%です。2020シーズンの方が、CHの奪取Pの比重が高いことが分かります。「奪取力の高いボランチが刈り取る」というのは的を射ていると思います。CHはCBの負担を減らしています。

以上簡単ですが、報告させていただきます。

いつものことながらFootball LABさんからデータを拝借しました。