第10節 仙台戦のレビュー記事です。皆様の考察の一助としていただければ幸いです。
◎
4試合連続で引き分けが続いていた岡山。5試合ぶり勝利および、杜の都・ユアスタ仙台での初勝利を目指し、アウェーの地に乗り込んだ。果たして結末は・・・
■試合前確認事項
・岡山は4-4-2であるが、この試合は中央がフラット(輪笠と田部井によるWボランチ化)のプランであったように思う。
・輪笠とムークがスタメンに復帰。
■前半
・左サイド(岡山から見て右サイド)への意識高めな仙台は、基本的にボールは左へ転送・回送し、人数多めで岡山の右サイドにプレッシャーをかけた。岡山は圧力を受けながらも、河野、雄大、柳、+アルファ(輪笠or田部井)で相手との同数を保ちながら対応。
・あと少しで前半の10分間をしのげる、といったところで、敵陣内にてセットプレーを獲得した岡山。待てば海路の日和あり…だったのだが、このセットプレーからのカウンターにミスが重なり、失点を喫してしまう。
・フリーキックのこぼれ球を回収した高木→輪笠へのバックパスがずれ、なんとかしのごうとした輪笠→堀田へのバックパスもずれた。難しいトラップを迫られた堀田の脚より一瞬離れたボールを、輪笠のところから執拗に追い回してきた仙台#7中島選手に掻っ攫われ、ゴールに押し込まれた。▼
・早くも追いかける展開に立たされた岡山は、前掛かりに仙台ゴールへ迫ろうとするが、鋭い出足の相手守備に引っかかって押し返される場面も多かった。特に岡山の、右サイドからスタートさせようする攻撃・ビルドアップに関しては、得点前と同様に仙台の狙いどころになっていた感がある。
・それでも、危険な返り討ちにあっても、右サイドから柳や河野や周囲の選手で短いパスを繋ごうとする取り組みを続けていた。時間が経つにつれて少しずつ、その取り組みがアタックサードまでボールを運ぶ起点にもなり始めた。これらの取り組みが後半にも、少なからず活きていたと思う。
・前半終了前にコーナーキックから柳の惜しいヘッドがあった。GKとの距離も近く、これは入っていてもおかしくはなかったはず。しかし仙台GK林選手は素晴らしい反射神経で瞬時にこれに反応、シュートをキャッチされてしまい得点にはならなかった。惜しい、、、
■後半
・ハーフタイムに岡山が動く。ムーク→木村の交代カードを切った。ここで投入された木村が、後半通じていい仕事をする。
・後半立ち上がりの48分に岡山が追いつく。前述の木村からのクロスであった。これをPA内でソロモンが合わせる…と見せかけてスルー。彼の背後でゴール前に詰めていた佐野が落ち着いてトラップ、ゴール左隅にシュートを打ち込んだ。▼
・上述の攻撃について、最初に起点となったのが柳であった。ここでの彼の選択はロングボールであったが、これを河野が競って、こぼれ球を木村に繋いだ。これは前半からの取り組みが実を結んだポイントのひとつであろう。
・試合を振り出しに戻した岡山は、充実の交代カードを切って攻勢を強める。58分にチアゴアウベスを投入。相手守備陣の注意を引くと同時に、彼自身のポテンシャルを以て相手に脅威を与えた。さらに河井、高橋、終了間際には仙波も投入し、相手ゴールを狙った。
・仙台は氣田選手を投入して再び岡山右サイドへの攻勢を強めた。ピリピリする攻防が繰り広げられたが、岡山DF陣がこれを耐え忍ぶ。岡山もチアゴ、佐野、ソロモンらが躍動し相手ゴールを脅かすも、逆転の一撃までには至らなかった。岡山としては5試合連続のドロー決着。
【速報】ファジ、仙台と1―1分けJ2第10節:FAGIGATE|ファジゲート
https://www.sanyonews.jp/article/1387427?rct=f_report
ファジアーノ岡山 2023マッチレポート | 4月16日 vs 仙台 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB
https://www.football-lab.jp/okay/report/?year=2023&month=04&date=16
【J2第10節・仙台戦】木村『逆転までもっていきたかった』、佐野『枠に入れることだけ考えた』、輪笠『本当に反省しかない』、高橋『あと一歩で勝てた試合』:FAGIGATE|ファジゲート
https://www.sanyonews.jp/article/1387502?rct=f_report
■雑感など
・この試合において同点シーンの芽を作った柳であるが、彼はまた、パス本数チームトップにもなっている。前述のとおり、岡山は前半から右サイドで作ろうとしていたわけであるが、その意図が彼のスタッツにも現れたと言えそうである▼。
・柳や河野、雄大を中心とした「右を使った攻撃」は決して順調だったわけではない。むしろ狙われて奪われてピンチになることの方が多く目立ったかもしれない。ただ、うまく行った場面だってあったわけで、それらのプレーは相手ゴールの門をノックするぐらいのところまでは行けているわけでもある。こういうプレーを数えていくことがポジティブな考えにもつながるし、こういうプレーを引き出せるようにサポートしていきたいところでもある。
・▲「右を使った攻撃」うまくいった事例1。28:45、右(柳)→中(ソロモン)→右(河野)とつながって最後は雄大が中へクロスを送った。①のパスを受けた柳が②の位置までドリブルで持ち上がっている。また、図中②→③→④のパスコースを見出すにあたり、岡山の#8ムークが相手DFを引き付ける動きを見せている。
・▲「右を使った攻撃」うまくいった事例2。37:14、右(柳)→右(河野)→左(高木)と回して、最後は高木からソロモンへ合わせるクロス。①のパスを受けた柳はここでも②の位置まで持ち上がった。パスを受けた河野は目ざとく逆サイドの#2高木を見つけてサイドチェンジ。
・▲「右を使った攻撃」うまくいった事例3。41:45、自陣でボールを回収した#22佐野航大が少し持ち上がって、ソロモンへ①のパスを選択するや③の位置まで走る。このとき同じく自陣で守備していたムークが、全力スプリントで②の位置まで上がり、ソロモンからのパスを受ける。ムークから再度、③のパスを佐野が受けるとそのまま相手PAめがけて突撃。右の大外を雄大が並走、相手DFに阻まれるもコーナーキック獲得につなげた。
・▲佐野 航大。ソロモンがスルーしたクロスをきっちりゴールに叩き込み、殊勲の同点ゴール。前半にも持ち運んでチャンスメークしたシーンがあったし、後半にはもう一発、惜しいシーンがあった。いいプレーがたくさん出てきたので、これで勢いに乗っていってほしい。
・▲木村 太哉。殊勲の同点アシストは彼に。裏に飛び出す動きと、「コシと粘り」のあるドリブルが効いていた。苦しい時もつらい時も彼のプレーが一筋の光を与えてくれる。先発でも使いたいし切り札にもしておきたい。これはうれしい悲鳴。
・▲チアゴ アウベス。前節よりも多めのプレー時間でゴールに迫った。GKに阻まれはしたが、強烈なシュートを枠内にも何本か飛ばした。やはり何をしでかすか分からないし、今年の彼は周囲もよく見えている気がする。後半終了近くの高橋へのパスなんかはとても良かった。
・▲輪笠 祐士。今節は彼にとっては試練の時、致命的なミスが失点につながってしまった。それでもタックル成功数、成功率(成功数/回数)はチームトップで、ミスの後は相手の圧力に屈せず対応した。
・輪笠のように試練の時を迎える選手は今後も出てくるであろう。厳しく叱咤するのもまぁアリだが、サポーターは選手が前を向けるような声かけをしていきたいところ。
■次戦へ向けて
・6試合勝ちなし、5試合連続ドロー。選手・クラブスタッフにとっても、われわれサポーターにとっても、臥薪嘗胆の時期が続く。
・こんな時は「球けがれなく道けわし」などと唱えるべし。われわれの取り組みは、試練なくして成就なし。今はその試練真っ只中にいると考えて、次に来たる1勝・勝ち点3に大喜びする力を蓄えておきたい。
・次節はホームに戻り山口を迎える。山口としては直近5試合で3敗しており、清水戦での6失点を差し引いても失点が多くなっているのは気になるところであろう。逆に岡山としては付け入るスキはありそう。締めるところをきっちり締めて、チャンスをうかがいたい。セットプレーは相性がよさそうである。
・▲山口には矢島 慎也がいる(データは前節のもの)。ここまで全10試合出場、うち8試合でフル出場、1ゴールを挙げており、ばっちり主力である。昨年は大宮で対戦したが、今年もまたCスタで相まみえることができそうだ。
・攻撃における取り組みなどは良化しつつある。ホームでサポータの後押しで、勝利を呼び込みたい。
(了)
コメント(1)
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SPORTERIAスタッフ
2023/4/21 22:22
失点シーンは少しのズレが重なって重なって、あまり見ない形でのゴールとなってしまいましたね。
これもまた、引き分け続きという流れの悪さでしょうか…。
ただ、自陣から相手ゴール前まで3度追いしてきた中島選手は見事でした。
>「右を使った攻撃」
の図解、分かりやすかったです📊
柳選手が運んで相手のファーストラインを越えることで、そこからズレを作るイメージかなと思いました。
浦和のショルツ選手も同じようなプレーを得意としていますね。
まだ試行錯誤中と思いますが、精度を上げて大きな武器にしてほしいです💪