こんにちは、ユースケ@サガン鳥栖です。

特段相性がいいとも思わないですが、対東京4連勝なんですね。昔、東京に住んでた時は味スタにも良く行ってました。途中から出てきた渡邉千真に2-0からハットトリックで逆転されたときはスタジアムにいました。これ何年前だったか覚えてませんが、この時から千真はずっと天敵です(笑)

あとはスタジアム前の道路を挟んだフットサル場にも良く行ってました。近所に住んでたわけではありませんが、たまたまフットサル仲間が京王線沿線に多かったので。懐かしいです。

さて身の上話はこの辺にしてレビュー行ってみましょう!

フォーメーション図フォーメーション図

スタートはこの試合も名古屋戦に引き続き4-4-2を選択した鳥栖。(画像とは違いますが)相手のサイドに強烈な個がいるので、4-4-2にしてSBとSHの2枚で見る形を継続しています。

対する東京は4-1-2-3。森重をアンカーに置くシステムです。いつ頃からかはちょっとわかりませんが、去年終盤のACLでは森重アンカーだった気がするので東京が新たにチャレンジしている形ですね。

こういうインサイドハーフが2枚のチームに対しては松岡のワンボランチでは見きれないので、この試合もダブルボランチでケアします。この試合は仙頭とのコンビでした。

■ツートップへのロングボールや裏を取る動きで劣勢を押し返す鳥栖

立ち上がり15分くらいは完全に東京ペース。攻撃の際はチーム全体で高い位置を取り押し込み、鳥栖のクリアボールもことごとく拾い2次3次と畳みかけてきます。バックラインを高くすることで攻撃の選手がより前にポジションを取ることが出来るので、厚みがありましたね。ミスも誘発されかなり危ない場面もありました。

それに対し鳥栖はどうしたかというと、名古屋戦と同じロジックで、相手が押し込んできているときはロングボールで酒井や裏を狙って相手ラインを下げさせます。FWが焦れてボールを受けに下がってきてしまうと相手もラインを上げてきてしまうので、林と酒井が常にライン上で駆け引きをして裏を取る動きをし続け、相手最終ラインに自身の存在と裏のスペースを認知させます。

そうすると相手は裏のスペースがどうしても気になっちゃうので、鳥栖が後ろでボールを持っていたとしても中々ラインを上げられない訳です。これが俗に言う「深さを作る動き」ですね。

画像は先制点のシーンですが、ここまで押し下げることに成功しています。このシーンの直前にもツートップが再三裏を狙いラインを下げさせています。

序盤押し込んでいた東京はチーム全体が高い位置を取ることで攻撃に厚みを出していましたが、それに対し鳥栖はシンプルに蹴って裏を狙うことで押し下げます。そうすると今度は鳥栖がボールを持てるようになるので、繋ぎながら逆に押し込むことが出来るようになったわけです。

東京からすれば人数も揃っていますし崩されたわけではありませんが、ボールホルダーに対するプレッシャーが緩く、このシーンでいうところの樋口に良いクロスを上げさせてしまっています。15番のアダイウトンがもう少しでもプレッシャーをかけていれば、あそこまでのピンポイントクロスにはならずゴール出来ていなかったでしょう。東京にとっては勿体ない失点だったと思います。

■アンカー森重の脇のスペースを突き追加点

そして34分、追加点を奪う訳ですが、ここのプレスは非常に良かったですね。森重にボールが入った瞬間、プレスバックしてくる林と酒井で挟み、これまた寄せていた仙頭にボールがこぼれます。すかさず松岡に渡し、その松岡がダイレクトで樋口へ。

東京がとる4-1-2-3の構造上、アンカー森重の脇にどうしてもスペース(画像黒丸の部分)が出来てしまうのですが、松岡がダイレクトで樋口に出したことでそこを埋めるべき10番の東を一瞬外せました。そのスペースに樋口がドリブルで侵入。左SBの小川の絞りも間に合わずそのままミドルシュート。追加点になりました。

このシーン、外された東は仕方ないにしても、小川の絞りが遅かったのは何でなんでしょうね。七聖が張っていたのなら気になってすぐ出て行けないのも分かりますが、このシーンまだまだ後ろにいます。

というか七聖が外にいたとしてもあのシーンはマークを捨ててでも絞りに行くべきです。水沼さんが解説でお話しされていた通りですね。森重の脇をどう埋めるかがチームの決め事としてあんまり徹底されてないように見えました。

■中野くんのリスクマネージメント

鳥栖は守備時は4-4-2ですが、攻撃時はいつもの3-1-4-2に近い形になっていました。そうなると攻撃中にボールが奪われると当然鳥栖も松岡の脇にスペースが出来るわけです。で、そのスペースをどうしてたかというと中野がいつもより中央寄りにポジション(左CB気味?)を取りボランチのような位置でリスクマネージメントしていました。

ずっとそこにいるわけでは無いですが、鳥栖が中央から攻める時、特に仙頭が前に出ていくときはそのスペースを埋めるような動きをしていました。サイドから攻撃するときは小屋松の外側を上がっていくのでこれはいつも通り。あくまで中央から攻撃して仙頭が上がるときだけのポジショニングです。

ひょっとすると前からやってたのかもしれませんが、映像だと攻めてる時のバックラインはあんまり画面に映らないので今回初めて認識しました。この試合、アンカー森重の脇を突くためにいつもより中央からの攻めが多かったので、その準備として中野にケアにさせていたのかなと思います。

要するにここまで準備しているということは最初からこのスペースを突くつもりで、この樋口のゴールは狙い通りだったという事です。ゴール後の明輝さんにも笑顔が見えてましたしね。

■なぜ後半、東京に押し込まれてしまったのか?

後半頭から東京はシステムを4-4-2に変更してきました。渡辺と岡崎に変えて内田と青木を投入。森重をCBにして青木と安部のダブルボランチに。右SHに東、左にアダイウトン、ツートップにディエゴと永井です。

このダブルボランチは前半鳥栖がアンカー森重の脇を再三狙ってきたのもあって、そこをケアしたい狙いですね。まずここを閉めることで鳥栖を深くまで侵入させずに、奪ったあと素早く攻撃につなげる意図があったと思います。

他にもボランチが二人になったことでSHが上がったあとのスペースのケアもスムーズになりSHやSBがより攻撃に出ていきやすくなりました。もし奪われてもボランチがカバーしてくれるので安心感があります。

あとは前線がツートップになったことで鳥栖のCB二人がマークを捨ててサイドのヘルプに行きづらくなって、鳥栖の両SHが引かざるを得なくなりました。永井がディエゴの近くでプレーすることで孤立することを防ぐこともできます。

画像は後半開始すぐのシーンですが、これだけ押し込まれてしまうと相手ゴールまでかなり距離があるので、ボールを奪っても中々良い攻撃ができません。

ざっくり言うとこの辺が東京に押し込まれた原因です。もっと簡単に言うと、鳥栖と同じ4-4-2にして局面を1対1にはめ込み、個の力で優位に立って押し込んだという事です。シンプルですが個の力に勝る東京にとっては効果的です。

鳥栖としてはこうなる前に前からのプレスで奪うなり、後ろからじっくり繋いで3点目を狙いに行くべきでしたが、後半開始早々セットプレイで失点し1点差になってしまったためにリスクを嫌って自重するがあまり、さらに押し込まれる原因になりました。

名古屋戦が持たせる事で上手くいったので、同じようなイメージだったとは思いますが、ちょっと引くのが早過ぎたような気がしますね。終始劣勢だったわけでは無くいくつかしっかり繋いで押し返す場面もあったので、ボールを握って「時間を使う」という割り切り方もあると思います。終盤に田代を投入して逃げ切ったとは言え、引いて守るのはやはりヒヤヒヤしますからね。

■東京は攻撃バリエーション構築途中?

個々の能力に勝る東京に4-4-2のような役割のハッキリしたシステムでシンプルに攻撃されると中々厳しいですね。ぶっちゃけ前半の4-1-2-3より後半の4-4-2の方が圧倒的に脅威でした。

東京が4-1-2-3でチャレンジしようとしている攻撃バリエーションは「ボールを繋ぐ」という意図があるんだとは思いますが、それにしては所属している選手の特徴がやはり個人技やカウンターに偏っている気がします。ですのでこのメンバーなら4-4-2で局面局面を個の力で殴りながら前進していくサッカーの方が内容が良くて当たり前ですね。

ただ長谷川監督的にはそれでは優位に立てない相手を想定して攻撃バリエーションを増やそうとしているんだと思います。それが4-1-2-3でいいのかは疑問ではありますが、普段東京を追いかけているわけでは無いのでその真意はちょっと計りかねますね。ホームで再戦するときまでに東京がどう変化しているのかは興味深いところではあります。

【まとめ】後半の試合運びには課題を残すものの、しっかり守り切った事は評価できる

いかがだったでしょうか?

後半の試合運びに課題を残すものの前半で首尾よく2ゴールを奪ったことでなんとか逃げ切りました。名古屋戦もこの東京戦も逃げ切ったので結果オーライではありますが、このままでは安定した試合運びとは程遠いので、文中に書いた通りボールを握ることで安全に逃げ切る術も習得して欲しいところです。

とは言え、強豪とのアウェイ2連戦で勝ち点6を持ち帰れたのは素直に称賛できるかと思います。今後の試合も楽しみです。

それではまた。