J1第29節 横浜F・マリノスVSコンサドーレ札幌 マッチレビュー


1,試合前データ

マリノスのACL出場の関係で代替日開催となったこの1戦。マリノスは22連戦の4試合目にあたる試合となります。また、ちょうど1ヶ月前に対戦した際は1-3で札幌が勝利しています。さらに1週間後には、ルヴァン杯準々決勝で両者は再び顔を合わせることになっています。(結果はマリノスがPK戦の末に勝利。)


2,スタメン

連戦の関係もあり、マリノスは前節の広島戦から先発を5人入れ替えました。19歳の松田選手が初スタメン、夏に加入したジュニオール・サントス選手と前田選手はそれぞれ3試合、4試合連続のスタメンです。

一方、札幌は前節が開催中止となった影響で1週間の休養があり、大分戦と同じスタメンで臨みました。データでは荒野選手の1トップのように表記されていますが、試合を通して見てみると3-5-2の0トップのように感じられました。


フォーメーション図フォーメーション図


3,データのみで振り返る

まずはサッカー未経験者が、データと照らし合わせながら試合全体の振り返りをしていきます。

この試合は4-1と、マリノスが3点差を付けての勝利となりました。データを見るとマリノスがシュート数で4本上回り、枠内へのシュート数も圧倒的に多いことがわかります。マリノスの選手は、正確なシュートを試みることで多くのチャンスを生み出すことに成功し、結果的に勝利に結び付いたと考えられます。

次に、パス成功率と走行距離のデータに焦点を当ててみます。両チームとも走行距離はさほど変わらないものの、マリノスは札幌よりも約200本も多くパスが繋がっています。パスをしっかり繋げることで試合を自分たちのものにしていることが窺えます。


基本スタッツ


ここで、マリノスの前節までの得点パターンを見てみます。

得点パターンを見てみると、パスからの得点率がかなり高いことがわかります。先程のパス成功率のデータと合わせて考えると、今回の試合はマリノスが自分たちのサッカーをしっかり出来たことで勝利を治めることができたと考えられます。今後もこのパターンを繰り返し行なっていけば、安定した勝利を収めることができるのではないでしょうか。



得点パターン


4,試合を観戦して振り返る

続いて、試合を中継で観戦したサッカー経験者が試合を振り返っていきます。

まず、マリノスの1点目のシーンに注目しました。高野選手→マルコス選手→扇原選手→高野選手とワンタッチでボールを繋ぎ、ジュニオール・サントス選手にラストパス。最後は個の力で決め切りました。

高野選手の3人目の動きからも分かるように、マリノスは人が動くことでパスコースを生み出す、走るサッカーを展開するため、必然的にパス数と走行距離の値は大きくなります。この得点までの崩しは、選手たちのイメージ通りだったのではないでしょうか。試合を観戦しても、データのみで振り返った場合と同じ印象を持つと思います。


攻撃スタッツ - 高野 遼攻撃スタッツ - 扇原 貴宏



次は、コンサドーレ視点から試合を振り返ってみます。今回は荒野選手の動きに注目しました。マリノスの前線4人がハイプレスをかけることにより、パスコースを消された札幌の選手は苦し紛れのロングパスで蹴り出します。そこでパスコースを生み出すために荒野選手はかなり低い位置まで落ちてきている印象でした。0トップ戦術のデメリットとも言えますが、前線に起点が作れず攻撃が滞っているように感じられました。

実際、ペドロヴィッチ監督は後半からドウグラス・オリヴェイラ選手とアンデルソン・ロペス選手を投入して前線で起点を作り、荒野選手を本来のボランチの位置に戻しました。ヒートマップからも、後半に投入された2選手に比べて荒野選手が前線に顔を出せなかったことが窺えます。



ヒートマップ - 荒野 拓馬ヒートマップ - アンデルソン ロペス

ヒートマップ - ドウグラス オリヴェイラ


5,最後に

今節の勝利で3連勝としたマリノスですが、連戦の影響で怪我人が多く、昨シーズンのような圧倒的な強さを発揮することはできていません。このようにデータを用いた研究が行われ、昨季王者として対策されていることも理由の一つだと思います。本ブログを書いている時点で既に今季の優勝は消滅してしまっています。残すタイトルはACLとなりますが、是非とも日本を代表するチームとして優勝を勝ち取って欲しいと思います。

一方、コンサドーレは今日(11月3日)の試合で、今季圧倒的な強さを誇り、12連勝中と波に乗っていた川崎フロンターレを0-2で破り、ようやく0トップ戦術が形になってきたように感じられます。来季のコンサドーレがどのような戦いを披露するか、期待が膨らみます。