基本スタッツ

戦術のトレンド

戦術やシステムには「トレンド」というものが存在する。ワールドカップやチャンピオンズリーグなどビッグゲームにおいて好成績や驚きを与えたシステムや戦術は瞬く間に世界中に広がり、その後のサッカー界で主流となる。

私がサッカーを見始めた頃、世界の主流はアリゴ・サッキ氏やカナリア軍団の代名詞でもあった4-4-2だった。そこから日本でも代表監督を務めたアルベルト・ザッケローニ監督が世界を驚かせた3-4-1-2。同じく代表監督を務めたトルシエ氏も日本に3バックを導入した。そして歴史は回帰し、イングランドスタイルの4-4-2。そこから最初は「ゴール前にバスを停めた」と揶揄されたモウリーニョ監督の4-2-3-1。等。攻め方も中央の「10番」が試合を左右する形から試合を決める選手はサイドへ移り、メッシ、クリロナ時代が始まったり。ポゼッションからカウンター。またモウリーニョからクロップ、グァルディオラへ・・・。


さて、近年でのビッグゲームといえば昨年のカタールワールドカップであるが、じゃあ世界中のクラブがアルゼンチン代表やフランス代表の真似をしたかと言えばそうとは思えない。

何故ならばメッシやエムバペは唯一無二の存在だから。

彼らありきの戦術やシステムがどのクラブにも真似できる筈がない。

ではどうするか?

他にも世界に驚きを与えたチームがあった。優勝候補相手に痛快な勝利をおさめた、メッシもエムバペもクリロナもハーランドもいない、そして我々が最もよく知る代表チーム。

森保Japanである。

世界の強豪と言えるドイツやスペインらボールを自らで保持していくスタイルのチームに対し、発動したカウンターは世界中を驚かし、そして研究対象となった。

そして日本サッカーもハリルホジッチ監督を招聘したあたりからそんなサッカーが「日本人に合っている」と考えている節がある。

現在のJリーグの順位。

https://www.jleague.jp/standings/j1/

5/1現在 首位 神戸 二位 広島 三位 名古屋

 現時点で上位3チームがこの3クラブなのは決して偶然ではない。

必然なのだと思う。

(広島は昔森保がいただけで支配率は五分くらいじゃね?というツッコミは記憶の彼方へ投げ捨てます)


今季開幕前、ポヤトス監督の戦い方を見る限り、トレンドとは真逆の戦い方を選択している。

点を奪われてもそれ以上に点を獲る。西野さんの頃のガンバのイメージを取り戻したいのか、

只、それは茨の道だぞ・・・(茨木だけに)

というのが今更ながらの開幕前に持った感想ですが

こんなに苦労するとは思ってなかった。

もう少し勝てると思ってました。マジで😢


長すぎる現実逃避前置きはさておき、基本情報から。

基本スタッツ

ボール支配率の高さは最早何の慰めにもなりませんね。

フォーメーション図

鹿島の2トップは自陣からのロングボールを追いかけつつも常にネタラヴィに自由を与えませんでした。特に優磨。

ヒートマップ - 鈴木 優磨


FWなのに自陣にいる時間も長いのがわかります。

そのため、京都戦や

ヒートマップ - ネタ ラヴィ

川崎戦などと比較すると



ヒートマップ - ネタ ラヴィ


ネタラヴィの行動範囲もかなり制限されてしまっています。

今節↓


ヒートマップ - ネタ ラヴィ

そのためか、ボールを握っていても単調な形でシュートに持っていく事が出来ず

まともなファーストシュートと呼べるダワンのミドルは前半38分。

遅すぎます。

そこからシュートの意識にようやく目覚めたのかジェバリの惜しいシュートもありました。


鹿島はピトゥカ、樋口のドイスボランチがゴール前に鍵をかけバイタルをきっちり埋め続けています。

そもそもドイス(ダブル)ボランチという言葉の語源は94年W杯ブラジル代表のドゥンガとマウロ・シルバです。そのブラジルのサッカーをずっと標榜しているのが鹿島。その重要性の理解度は随一。

歴史が違います。そのため宇佐美やジェバリは前半終了間際までシュートにすら行けませんでした。


問題その1「他の攻め方は無かったのか?」

もう一度フォメ図

フォーメーション図

ここで鹿島は守備の際、中盤の仲間、名古ですらゴール前まで戻って来ています。

半ばサイド攻撃を放棄してまで

ヒートマップ - 名古 新太郎

ヒートマップ - 仲間 隼斗

こうなる事は事前にわかっていた筈、ならばワンパターンにジェバリや宇佐美に中央を突破させるのではなく、宇佐美にやダワンにまずミドルを打たせる。弾かれてもCKを奪え、攻撃にリズムが「攻めている感」が生じます。ミドルを嫌がり、中盤の選手をゴール前から引き出す事も期待できます。


で、後半開始早々、そのCKから失点。

問題その2「失点がかさんでいるCKに対して何か対策はしているのか?」

もう見飽きてきたCKからの失点。何か対策をしている様にはまるで思えません。

そしてこの後、選手交代。56分、ダワンがピッチを去ります。

この時点でこの試合は終了します。

厳密にいうとこの後の優磨のゴールで。

中盤の危機察知に優れた彼が去った事で

ヒートマップ - ネタ ラヴィ

ヒートマップ - 山本 理仁

フォーメーション図

中盤の宇佐美の裏、高尾や弦太の前のスペースを埋めてくれる(可能性のある)選手は誰もいなくなりました。前にも書きましたがネタラヴィはボールを保持して向かってくる選手には強いのですがフリーロールで侵入してくる選手を捕まえる事はあまり上手くありません。

後はガンバの攻撃を止め

ボールロスト位置

そのままボールを宇佐美の裏まで運び、そのスペースを最大限に活用する。

あれだけ自陣にいた仲間が

ヒートマップ - 仲間 隼斗

スタートの並びでは逆サイドの筈の樋口が

ヒートマップ - 樋口 雄太

ピトゥカですら

ヒートマップ - ディエゴ ピトゥカ

宇佐美の裏、高尾、弦太の前のスペースに侵入してきます。

2点目の優磨へクロスを上げた名古へのパスは、まさにそのスペースへ飛び込んだピトゥカから。

3点目はそのスペースに切り込んだ藤井から。

ヒートマップ - 藤井 智也

4点目はアシストしたのが安西に代わっただけです。


ま、まあ正直、ダワンを理仁に代えた時点でノーガードで殴りに行った訳で、こうなる事はある程度予想がつきました。博打を打ったら派手に負けた訳で。

ノーガードで殴りかかったらボコボコにされた訳で・・・。


武蔵が70分にチャンスを迎えましたがこれもガンバの右サイドに攻撃が集中しておりその裏を更に突くように指示されたもの。隙を付いたがこちらのパンチは届かず。逆に殴られ続けた訳で・・・😢

山見も、オープンになったゲームで更に攻め手を増やしただけです。

真の問題点

で、一番何が言いたいのかというとこの試合の一連の流れは私にはある程度予想がつきました。

何故ならば、神戸戦と同じ流れだからです。

カウンターを狙っている相手に飛び込み、逆に沼にハマる。まさかスコアまで同じになるとは予想は付きませんでしたが。

ド素人の私でも予想がついたのに、

ポヤトス監督を始めとする首脳陣が気付かない筈が無いのです。

問題点とか対策とか書いてますが極々基本的な話。誰でも気が付きそうなあたりまえの内容です。

つまり、こうなる事はある程度頭の中にあったのでしょう。それでも監督は自分のやり方(攻撃)に拘ったのだと思います。

恐らく、守備に対して大きな変化は今後も期待できません。

もう人員を入れ替えるしかありません。対人に優れたストッパー。決定力のあるFW。

当たり前の事過ぎて自分で書いていて嫌になりますが、流石にもう金は残っていないだろうし

そもそもポヤトス政権は夏まで持つのか・・・。


ならば折衷案(?)で宇佐美とアラーノの位置を入れ替えてはどうでしょう?

今でも攻守両面貢献著しい運動量のアラーノを中盤に。

左WG宇佐美の裏はアラーノと黒川でスペースを埋めてもらいます。

アラーノとジェバリの連携も良くなってきましたし。

シンプルですが中盤のスペースを埋める意味でも試して頂きたい!


さて、ダービーです。私も現地参戦の予定です。

素直に楽しみ!と言えるかはさて置き、見届けたいと思います。

正直サポーターへ挨拶の際、うなだれた彼らを見続けるのは本当に辛いのですが😢😢😢