第7節を終えて2勝1分4敗と敗戦が多くなっているレノファ山口FC。
ホームでの試合となった今節は、7試合で6勝1分と今シーズン負けなしのV・ファーレン長崎と対戦しました。
山口は3日前の前節から3人を変更。慶應義塾大学に在学中で2020年JFA・Jリーグ特別指定選手の橋本健人はJリーグ初スタメンとなりました。一方の長崎は前節からスタメンを6人変更して試合に臨みました。
改善されないコーナーキックの対応
試合開始直後から、山口は長崎に攻め込まれます。長崎はパスをつないでサイドを崩し、何度も山口のペナルティエリア内でプレーしていました。開始わずか10秒程度で玉田圭司がペナルティエリア内でパスを受けると、ゴールライン近くからクロス。4分には右サイドのスローインから畑潤基がペナルティエリアに進入し、中央へグラウンダーのボールを送りました。どちらのシーンでも山口の選手がクリアしましたが、後者の場面では長崎にコーナーキックを与えてしまいました。
キッカーの玉田は左足でインスイングのボールをゴール前へ送ります。ニアサイドへ走り込んだ徳永悠平が合わせ、ボールはゴールの中へ。長崎はこの試合最初のコーナーキックを得点につなげました。一方の山口は6試合続けて前半に先制点を与える試合展開となってしまいました。
今シーズン、山口はコーナーキックからの失点が多いですが、ニアサイドに走り込む選手についていけない場面が目立っています。今節の失点も菊地光将が徳永悠平に振り切られ、自由にヘディングさせてしまいました。ストーンの選手やキーパーの山田元気もクリアしようとしましたが、徳永に前で触られてしまい、コーナーキックへの対応の悪さが見られました。どのチームもニアサイドを狙ってくることが多いため、選手の配置等、対策を練る必要があると思います。
長崎のサイド攻撃
先制直後、長崎はサイドハーフの名倉巧と澤田崇の2人がチャンスを作り出していました。
7分と9分には、名倉がドリブルでペナルティエリアの深い位置まで進入し中央へクロス。どちらも追加点とはなりませんでしたが、特に7分の場面は得点となってもおかしくなかったです。名倉のグラウンダークロスに対しファーサイドから澤田が詰めていましたが、川井歩が澤田の前でクリア。山口としては非常に危ない場面でした。
また、8分にはカイオセザールとのパス交換から左サイドで澤田が抜け出します。澤田はキックフェイントで対応していた川井をずらし、マイナス気味のパスをゴール前の名倉へ送ります。名倉のシュートはディフェンダーに当たりゴールとはならなかったものの、長崎は前半10分までにサイド攻撃から数多くのチャンスを作っていました。
決定機を生かせず
長崎の攻撃に苦しみながらもなんとか追加点を与えずにしのいだ山口。前半10分以降は徐々にボールを持てるようになり、敵陣へ攻め込む場面も増えていきました。サイドハーフの高井和馬と吉濱遼平がボールに関わる回数も多く、特に吉濱は長崎の前線と中盤の間でパスを受けるなど、常にパスコースを探して動いていました。
両サイドハーフがサイドに張るだけではなく中に動いたり、ボランチの近くに下りたりすることでパスを回しやすくなり、前節までと比べ攻撃のリズムが良くなっていました。高井と吉濱は守備もしっかりこなし、10分以降は長崎にサイドを崩される場面はほとんどなかったです。37分には高井が相手のパスをカットし、吉濱への一本のパスで決定機を作り出しました。
山口が連動した守備でパスコースを限定させると、相手が山口陣内でパスミスしボールは高井の足元へ。この時、逆サイドにいた吉濱がいち早く動き出し、相手の左サイドバックよりも前方を走っていました。高井はキックフェイントで蹴りやすい位置にボールを置き、吉濱の前方へ低くて速いパスを送ります。吉濱はペナルティエリアに進入し、切り返しで戻ってきたサイドバックをかわして利き足の左足でシュート。しかし、シュートはクロスバーの上に外れゴールとはなりませんでした。
また、5分後にもカウンターから決定機を迎えました。ハーフウェーライン付近で高井が相手のパスをカットしボールは中央のイウリへ。イウリはトラップで前を向くとディフェンスラインの間を通すスルーパスを送ります。ボールは駆け上がっていた高井に渡り、高井はペナルティエリア内からシュート。シュートは枠内に飛んだものの、キーパーに阻まれてしまいゴールを決めることはできませんでした。
山口はカウンターから2度、決定機を迎えたものの決めることができず。どちらもキーパーとの1対1に近い状況だったため、最低でも同点に追いついてほしかったです。立ち上がり10分以降は山口の方が多くチャンスを作り主導権を握っていましたが、1点も奪えずリードされたまま前半を終えました。
イウリの退場
後半、山口は得点を取るために何度も敵陣深い位置までボールを運んでいました。パスを繋ぎながらサイドを広く使い、クロスを中心に長崎のゴールに迫っていきました。ボランチの高宇洋やサイドバックの橋本健人がシュートを打つなど、人数をかけて攻撃していましたが得点にはつながらず。
0-1とリードを許したまま迎えた70分、山口はイウリの退場により10人での戦いを余儀なくされてしまいました。長いボールを蹴った二見宏志に対しイウリがアフター気味で接触してしまい、この試合2枚目のイエローカード。1枚目も同様のプレーでイエローカードをもらっており、少しもったいない警告で退場となってしまいました。
イウリは今シーズン初めてシュート0本で終わり、ストライカーとしての仕事は出来ずにピッチを去ることとなってしまいました。ただ、味方を使うプレーや決定機に直結したパスなど攻撃に絡む回数は決して少なくなく、守備でも最前線でプレッシャーをかけ続けていました。次節は出場停止となってしまいますが、第10節以降、チームを勝利に導くプレーをして欲しいです。
16歳の同点弾
10人となった山口は4-4-1のフォーメーションでプレーします。前線が1人少なくなったことで積極的にプレスをかけることが出来ず、長崎は余裕を持ってパスを回せていました。山口は押し込まれる時間が続き、マイボールにしてもパスミスからカウンターを受けるなどチャンスを作れていませんでした。ただ、79分にボランチの高と途中出場で1トップに入っていた河野孝汰の2人で決定機を作り出しました。
センターサークルでパスを受けた高(上図の6番)はドリブルでボールを前へ運び最前線の河野(上図の38番)へ縦パスを入れます。河野はワンタッチで高へ戻し、食いついた二見(上図の26番)の背後へ抜け出します。高はタメを作って、河野の前方へスルーパス(下図)。パスを受けた河野は落ち着いてゴールに流し込み、貴重な同点ゴールを決めました。
河野はこの試合を含めて3試合連続途中出場となりましたが、3試合全てでシュートを放つなど存在感を見せていました。シュートだけでなくボールを収める力もあり、16歳とは思えないほど技術が高い選手です。なお、河野は16歳11ヶ月17日で得点を決め、J2の最年少得点記録を更新しました。また、2種登録の選手でしたが試合の2日後にプロ契約を結んでいます。
勝ち点1を取れず
16歳の河野のゴールで同点に追いついた山口でしたが、3分後に勝ち越し点を与えてしまいます。コーナーキックのこぼれ球を米田隼也に拾われ、ペナルティエリア内からシュートを打たれます。角度はなかったものの、シュートは逆サイドのポストに当たりゴールの中へ。長崎に2点目を奪われてしまいました。
山口はアディショナルタイムにチャンスを作りましたが同点に追いつくことは出来ず。ホームで勝ち点を取れずに2連敗となってしまいました。
総括
山口はシュート数は多かったものの、前半の決定機を生かせず1得点に終わってしまいました。守備では、今節もコーナーキックから失点し、複数失点は今季6試合目となりました。退場で10人になった後に若い選手の活躍で同点に追いつきましたが、ホームで勝ち点を取れず悔しい敗戦となってしまいました。
第9節は8/2(日)、アウェーでヴァンフォーレ甲府と対戦します。
イウリを出場停止で欠きますが、複数得点を挙げて勝利してほしいです。
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