J2は第10節から第14節まで中2、3日での連戦が続きます。
5連戦の初戦となる今節、レノファ山口FCはホームで栃木SCと対戦しました。
両チームともに前節からスタメンを1人変更。山口は出場停止明けのイウリがスタメンに復帰しました。
ロングボール
前半は、お互いにロングボールが多くなります。ただ、ロングボールの意図は対照的でした。
栃木は自陣でパスを回すことはほとんどなく、前線の選手へロングボールを送ることがボールを持った時のファーストチョイスになっていました。矢野貴章らが競り合ったボールをサイドハーフの森俊貴や大島康樹が回収し、そこから攻撃が始まっていました。スタッツからも、空中戦やこぼれ球奪取の回数が多いことが確認できます。ハーフウェーライン付近でのフリーキックでもゴール前にロングボールを放り込んだり、ロングスローを使ったりするなど、空中戦での勝負を意図的に選択していました。
それに対し、山口の場合は蹴らされる形でのロングボールが多かったです。山口はセンターバックの2人とボランチの高宇洋が最終ラインでパスを繋ぎながら攻撃を組み立てていました。しかし、パスを引き出せる吉濱遼平が開始早々に負傷してピッチを去った影響もあってか、組織的な守備でプレッシャーをかけてくる栃木を前に、山口は効果的な縦パスを入れられませんでした。結果的に栃木の圧力に負けてロングボールに逃げてしまい、思うような攻撃ができていませんでした。
両チームのセンターバックのパス本数を比較すると、大きな差があることが分かります。山口は2人合わせて141本のパスを記録していますが、栃木は90分間で2人合わせてわずか24本。栃木のセンターバックのパス数は極めて少なく、両チームの攻撃スタイルの違いがはっきり表れたスタッツとなりました。
瀬川和樹のクロス
山口が思うように攻撃できない中、栃木は左サイドの瀬川和樹がチャンスを作り出していました。15分過ぎからの約1分間では、山口陣内の深い位置から3度もクロスを供給していました。山口の守備陣はクリアするもののマイボールにすることができず。3本目のクロスは明本考浩に頭で合わされ、あわやゴールというような場面を作られてしまいました。瀬川は両チーム最多の6本のクロスを記録。クロス成功は1本のみでしたが、頭に合わせるボールや低くて速いクロスなどバリエーションは豊富であり、山口は対応しにくかったと思います。
敵陣で奪い返す
栃木の攻撃をしのいだ山口は徐々にペースを掴んでいきました。河野孝汰が低い位置まで下がってボールを受けるなど、少しずつパスが繋がり始めます。41分には敵陣深くまで攻め込んだところから決定機を作りました。
山口は右サイドで細かくパスを繋ぎ、敵陣でのスローインを獲得します。スローインは相手にカットされ栃木ボールになりましたが、池上丈二と川井歩がボールホルダーを囲んで奪い返します。ボールは河野に渡り、河野はドリブルで中央へ切り込んでシュート。左足で放ったシュートはポストの横を抜けてしまい、ゴールとはなりませんでした。
山口はパスが繋がるようになり栃木のペナルティエリア付近まで攻め込むことができました。その結果、ボールを奪われても高い位置からプレスをかけることが可能となり、敵陣で奪い返してシュートまで持っていきました。ただ、決めきることはできず前半は0-0での折り返しとなりました。
後半立ち上がりの失点
前半途中から主導権を握りつつあった山口でしたが、後半開始早々に栃木に先制点を与えてしまいました。
栃木はキックオフ後、前線へロングボールを蹴ります。山口にクリアされるもセカンドボールを拾ってパスをつなぎ、ボールは大島へ。大島はペナルティエリアに進入し中央へ持ち運んで左足でシュートを放ちます。これがゴールに決まり、栃木が先制しました。
山口は人数は足りていましたが、対応した安在和樹が早めにスライディングしてしまうなど大島に対して寄せきることができませんでした。その結果、大島に力強いシュートを打たれ、得点を与えてしまいました。
決めきれなかった森晃太
先制された山口はカウンターから同点のチャンスを迎えます。
64分にはセカンドボールを拾った高がワンタッチで前線の森晃太(途中出場)へ。森はペナルティエリアへ進入すると、ボールを中央寄りに少しずらして右足でシュート。シュートコースを上手く作りましたが、巻ききれずゴール右へ外してしまいました。
また、75分にも自陣からカウンターを発動し4対3と数的有利な状況を作ります。ドリブルで持ち運んだ高井和馬(途中出場)は左サイドの森にパス。パスを受けた森は、64分のシーンと同じようにペナルティエリア左から右足でシュートを放ちます。シュートは枠内に飛んだもののキーパーにセーブされてしまい、同点ゴールとはなりませんでした。
負傷した吉濱と交代でピッチに入った森は投入直後こそ攻撃に絡めませんでしたが、前半途中から後半にかけてボールに関わる回数が多かったです。サイドからドリブルで仕掛けたり、中盤に下がって縦パスを受けたりするなど攻撃の流れを良くしていたと思います。両チーム最多となる4本のシュートを放つなど、ゴールを狙う姿勢は感じられましたが、チャンスで決めきることはできませんでした。
クロスの精度に課題
終盤、山口はサイドからのクロスが多くなります。82分には183cmの小松蓮を投入し、ターゲットを増やします。しかし、クロスからシュートに繋げることはほとんどできず、最後まで得点を奪えませんでした。試合は0-1のまま終了し、山口は5連戦の初戦、黒星スタートとなってしまいました。
この試合、山口は18本のクロスを記録しましたが、クロスの成功数はわずか2本。終盤は身長の高いイウリと小松が中央にいましたが、2人に合わせることはできませんでした。
総括
後半立ち上がりに先制した栃木が1点を守り切って勝利。山口はカウンターからチャンスを作るも決めきることができませんでした。最後まで栃木の守備を崩すことはできず、サイドからのクロスも不発に終わるなど無得点での敗戦となりました。
第11節は8/12(水)、アウェーでアルビレックス新潟と対戦します。
90分間集中して戦い、勝ち点3を獲得してほしいです。
コメント(3)
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SPORTERIAスタッフ
2020/8/12 20:47
栃木SCはボール支配率は38.8%でリーグ最下位なのですが、守備の強度が高く、失点は2番目に少ない6なんですよね(第10節まで)
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SPORTERIAスタッフ
2020/8/12 20:50
「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったか」という『KAGI』という指標でもリーグトップです。 https://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j2/?year=2020
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サンレノファン
2020/8/13 18:45
SPORTERIAスタッフさん、栃木の守備に関する補足ありがとうございます!相手はボールを持てても栃木ゴールへは近づけないということなんですね。