現在3連敗中でJ2最下位に沈むレノファ山口FC。

第16節はアウェーでモンテディオ山形と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

山形は4-4-2のシステムで前節から4人を変更。一方の山口も前節からスタメンを4人入れ替え、楠本卓海と吉満大介が第5節以来の出場。また、前節途中出場で良い動きを見せていた田中パウロ淳一が今シーズン初のスタメンとなりました。ここまでは4バックで戦っていた山口ですが、この試合では3バックを採用しました。


攻撃の時間を作れず

前半は山形がボールを保持する時間が続きました。Football LABのデータ(https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=09&date=02)によると、16分から30分までの15分間は山形のボール支配率が66.7%を記録。山口は奪っても長いボールを蹴ることが多く、マイボールの時間を増やすことができませんでした。慣れないシステムの影響もあってか、ショートパスを繋いで敵陣に攻め込んでいく場面はほとんど見られず。山口はキックオフから30分間、シュートを1本も打てませんでした

ただ、守備では3バックにしたことで中央を固めることができ、山形の攻撃を押さえ込めていました。自陣に押し込まれる場面は何度もありましたが、30分までに許したシュートはわずか2本。先制点は与えませんでした。


プレスをかわされピンチ

失点こそなかった山口ですが、前からボールを取りにいった際に奪いきれずにピンチを迎えるシーンがありました。

20分、キーパーまでボールを下げた山形に対し、山口はプレッシャーをかけます。左ウイングバックの田中パウロやセンターバックの眞鍋旭輝までもが敵陣に入り、人数をかけて高い位置でボールを奪おうとしました。しかし、本田拓也のワンタッチパスでプレスをかわされ、自陣に進入されてしまいました。その後、右サイド(山口の左サイド)でパスを受けた南秀仁から中央の山岸祐也、左サイドの渡邊凌磨へとパスが繋がり、最後は上がってきた松本怜大がクロスを上げました。クロスは誰にも合わず得点とはなりませんでしたが、少し危ない場面でした。

また、28分にはボールを奪いきれずに山形に決定機を与えてしまいました。ハーフウェーライン付近でパスを受けようとした山田拓巳に対し、左ウイングバックの田中パウロが間合いを詰めようとしますが、ワンタッチパスで中央の山岸に繋がれてしまいます。山岸には眞鍋が寄せましたが取りきれず、前を向かせてしまいました。田中パウロ・眞鍋が前に出たことによって空いた左サイドのスペースを山形に使われ、山岸のパスを受けた南がクロス。飛び込んできた渡邊にヘディングで合わされましたが、腕を広げたキーパー吉満の体に当たり失点は免れました。

今シーズン、山口は前からボールを奪いにいく姿勢を見せていますが、連動したプレスができずにピンチを迎えるシーンが少なくありません。プレスをかけるタイミング・パスコースの限定・プレスの連動性など、個人として、そしてチームとしての守備の両方を改善する必要があると思います。


ウイングバックからウイングバック

山形に主導権を握られていた山口ですが、30分過ぎあたりから少しずつパスが繋がるようになり、敵陣に攻め込む回数も増えていきました。その中でウイングバックが攻撃に絡む場面が目立ちました。

34分、プレスをいなした楠本が高い位置を取っていた田中パウロの前方にパスを送ります。相手のサイドバックの背後でパスを受けた田中パウロはペナルティエリアに入ったところでマイナス方向にクロス。このクロスに田中陸が合わせ、左足でシュートを放ちました。シュートは枠を捉えていましたが、相手にブロックされ得点とはなりませんでした。ただ、左ウイングバックの田中パウロのラストパスから右ウイングバックの田中陸がシュートを放つという、両ウイングバックが高い位置を取ってゴールを目指す攻撃は非常に良かったと思います。

    攻撃スタッツ - 田中 パウロ淳一 ヒートマップ - 田中 パウロ淳一

    攻撃スタッツ - 田中 陸 ヒートマップ - 田中 陸

その後も左サイドを中心に組み立てながら、ボランチの高宇洋が右サイドの田中陸に展開するなど、ロングパスも織り交ぜながら山形ゴールに迫っていきました。ただ、クロスの精度が低く、中で待つイウリや浮田健誠がシュートを放つ場面はありませんでした。


最後まで得点は生まれず

前半はお互いに無得点のまま終了。後半に入るとホームの山形が攻勢を強めていきました。

54分、左サイドのクロスから山岸がヘディングシュートを放つと、55分にはペナルティエリアに進入した渡邊が左足を振り抜きました。ただ、吉満のセーブもあり得点は奪えず。82分には田中陸のバックパスを吉満がキャッチしてしまい、山形はペナルティエリア内での間接フリーキックを獲得しました。しかし、山口の選手が体を張って守り、ゴールは生まれませんでした。

一方、山口はカウンターからシュートまで持っていく場面が何度かありましたが、山形ゴールを脅かすまでには至りませんでした。この試合、最前線に入ったイウリはシュートを2本しか放てず、パス成功数はわずか3本と存在感を出すことができませんでした。また、池上丈二は敵陣でボールに触る回数が少なく、普段より攻撃に絡めていませんでした。

    攻撃スタッツ - イウリ ヒートマップ - イウリ

    攻撃スタッツ - 池上 丈二 ヒートマップ - 池上 丈二

試合は0-0のまま終了。山口は4試合ぶりの無失点で今シーズン初のスコアレスドローとなりました。


総括

基本スタッツ

試合を通して山形に主導権を握られましたが、山口は3バックにした効果もあってか4試合ぶりの無失点となりました。ただ、攻撃では押し込むことができず、チャンスの回数も少なかったです。それでもアウェーで貴重な勝ち点1を獲得。連敗を3で止めました。


次節は9/5(土)、アウェーでアビスパ福岡と対戦します。

今節の勝ち点1を勝ち点3につなげられるようにしてほしいです。