直近5試合で1分4敗と勝ちがないレノファ山口FC。

J2最下位を抜け出すためにも勝利がほしい第18節、山口はホームで松本山雅FCと対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

山口は前節からスタメンを3人変更。ボランチに入った佐藤健太郎は7試合ぶりのスタメンとなりました。一方の松本は勝利した前節から7人を入れ替えてきました。


前節からの修正

立ち上がりは山口がボールを保持する時間が多かったです。キックオフからの15分間に注目すると山口のボール支配率は67.2%(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=09&date=09)。ダブルボランチの佐藤・高宇洋を中心にパスを繋ぎながら攻撃を組み立て、敵陣でプレーすることができていました。

また、前節は高1人だったボランチをこの試合では2人にしたことで、近い距離のパスコースが増え、カウンターに繋がるようなボールの失い方をする場面はほとんどありませんでした。前節は立ち上がりにパスミスからショートカウンターを受け、ミドルシュートを立て続けに打たれるなど、ビルドアップに課題がありました。ただ、今節は松本がそこまで強いプレッシャーをかけてこなかった影響もあってか、しっかりとパスを繋ぐことができていました。前節の反省を活かし、ダブルボランチにすることでビルドアップのミスを減らすことに成功。カウンターを受けることはほとんどなく、立ち上がりの15分間は松本に1本もシュートを打たせませんでした。


決定機を作れず

ボールを握っていた山口ですが、ラストパスの精度が低くシュートチャンスをあまり作れませんでした。

27分には右サイドでボールを受けに降りた浮田健誠が前線に飛び出した高にワンタッチでスルーパスを送り、最終ラインの背後をついてチャンスを作りました。しかし、高のクロスはわずかにマイナス方向にずれ相手にクリアされてしまいました。

また、左サイドからは田中パウロ淳一が積極的に仕掛け、何度も左足でクロスを上げていました。ただ、前線のイウリや浮田にボールが届く場面はほとんどなく、クロスから決定的なチャンスを作ることはできませんでした。田中パウロは84分間の出場で両チーム最多のクロス8本・ラストパス4本を記録。特に前半は何度も左サイドからクロスを上げていましたが、得点には繋がりませんでした。

    攻撃スタッツ - 田中 パウロ淳一 ヒートマップ - 田中 パウロ淳一


セットプレー

前半はお互いに得点を奪うことができず、0-0での折り返しとなりました。5試合ぶりの先制点を目指して後半に臨んだ山口でしたが、後半開始早々、セットプレーから失点してしまいました。

松本は右サイドで獲得したフリーキックから久保田和音が右足でゴール前にボールを入れます。これに塚川孝輝が合わせヘディングシュート。キーパーの指先をかすめたボールがゴールに決まり松本が先制しました。

  得点パターン 失点パターン

松本は前節までの総得点のうちおよそ3割がセットプレーに合わせての得点となっています。一方の山口はセットプレーからの失点が最も多く全体の31%を占めています。今シーズンの両チームを象徴するかのような得点で松本が先制。山口は不必要なファウルでフリーキックを与えてしまい、苦手なセットプレーから失点してしまいました。


お返しのセットプレー

先制点からわずか5分後の53分、松本は追加点のチャンスを迎えました。

山口陣内中央でボールを持った藤田息吹がペナルティエリア内のジャエルに縦パスを入れます。相手を背負ったジャエルはワンタッチで阪野豊史に落とし、阪野は右足でシュート。キーパーとの1対1でしたが、シュートはわずかに枠を外れゴールとはなりませんでした。

藤田がパスを入れる瞬間、山口のへナンは阪野への縦パスを警戒し阪野の前に入りました。しかし、藤田のパスはジャエルの元へ。読みが外れたことで逆に背後を取られてしまい、阪野に決定機を与えてしまいました。2点目とはなりませんでしたが、非常に危ない場面でした。

追加点を免れた山口は58分、お返しとばかりにセットプレーから得点を取りました。

山口は敵陣の左サイド深い位置でフリーキックを獲得します。キッカーの池上丈二が入れたボールを浮田が頭で触ると、ファーポストのところでへナンが押し込みボールはゴールの中へ。へナンの得点で山口が同点に追いつきました。


アディショナルタイム

1-1となった後、両チームともに勝ち越し点のチャンスを作りました。

山口は66分に田中パウロのクロスからイウリがヘディングシュート。この試合初めてクロスがイウリの頭に合いましたが、シュートは相手にブロックされ得点とはなりませんでした。

一方、松本は72分、ディフェンスラインの背後に抜け出した阪野が再びキーパーとの1-1を迎えます。53分のシーンと同じような位置からのシュートでしたが、またも枠を捉えられず。勝ち越し点とはなりませんでした。

    攻撃スタッツ - 阪野 豊史 ヒートマップ - 阪野 豊史

同点のまま試合はアディショナルタイムに突入。すると、93分、再びフリーキックから山口がゴールを決めました。

山口は敵陣左サイドでフリーキックを獲得し、池上が再びキッカーを務めます。池上が入れたボールにへナンが合わせると、ボールはゴールに吸い込まれていきました。へナンのこの試合2得点目で山口が勝ち越しに成功しました。

攻撃スタッツ - ヘナン

山口は先制されながらもセットプレーから2得点を奪って逆転。今シーズン2度目となる逆転勝ちが目の前まで来ていました(私は2点目が決まった瞬間に久しぶりの勝利を確信して喜んでいました)。ただ、試合は2-1では終わらず。95分、松本は土壇場で同点に追いつきました。

時間を使いたい山口でしたが、松本陣内で不用意なファウルを侵しフリーキックを与えてしまいます。松本はキーパーの村山智彦がゴール前に長いボールを供給。途中出場の服部康平が頭に当てると、ゴール前に走り込んできた塚川がヘディングで押し込み得点を奪いました。

攻撃スタッツ - 塚川 孝輝

山口は時間を使い切ることができず、不用意なファウルから失点を喫してしまいました。セットプレーの対応も悪く、最後まで集中し続けることができませんでした。

試合は2-2のまま終了。山口は6試合勝ちなしとなってしまいました。


総括

基本スタッツ

両チームともにフリーキックから2点を奪い、試合は引き分けに終わりました。山口はアディショナルタイムに勝ち越しましたが、最後の最後に追いつかれ勝ち点3を得ることはできませんでした。ただ、後半は決定機を与えてしまうことも多く、勝ち点0でないだけ良かったのかもしれません。


第19節は9/13(日)、山口はアウェーで水戸ホーリーホックと対戦します。

次節こそは久しぶりの勝利を掴んでほしいです。