前節8試合ぶりの勝ち点3を掴んだレノファ山口FC。
今シーズン初の連勝を目指す第21節は、アウェーでジェフユナイテッド千葉と対戦しました。
千葉のフォーメーションは4-4-2。昨シーズン山口に在籍していた山下敬大とJ1でのプレー経験も豊富な川又堅碁が2トップを組みました。山口は勝利した前節からスタメンを1人変更。2種登録選手の橋本健人が左サイドバックに入りました。
積極的な姿勢
千葉は2試合連続2得点中、一方の山口は3試合連続2得点中と攻撃面で調子の良い両チーム。結果が出ていることもあってか、序盤から千葉・山口ともに果敢にゴールを狙う姿勢が見られました。
最初にチャンスを迎えたのは千葉でした。5分、山口陣内でボールを奪った矢田旭が左サイドの為田大貴にパス。為田はペナルティエリアに進入し、中へ切り込んで右足を振り抜きました。シュートは強烈でしたが、キーパー吉満大介の正面に飛んだため得点とはならず。ただ、為田の積極的な仕掛けは山口ゴールを脅かしました。
一方の山口は10分、縦パスからチャンスを作り出しました。敵陣中央でボールを持った高宇洋が前線の小松蓮へ絶妙なスルーパス。小松は相手ディフェンダーの視界から消えており、フリーでパスを受けることができました。小松が放ったシュートはゴールネットを揺らしましたが、オフサイドの判定により先制点とはなりませんでした。
また、13分には高からのロングパスを受けた高井和馬がミドルシュートを放ちました。キーパーの手前で弾んだボールは枠を捉えていましたが、新井章太がしっかりキャッチ。ゴールとはなりませんでしが、積極的にシュートを打っていく姿勢が見られました。
対照的な左サイド
この試合、両チームともに右サイドよりも左サイドから攻める場面が多かったように感じました。サイドで先発した選手たちを比較すると、スタッツに差が見られました。
千葉の4選手のクロス数を確認すると、左サイドからは12本、右サイドからはわずか2本(矢田は64分、安田理大は80分に交代。他2人はフル出場)。その差10本と大きく差が開いていました。
また、山口にも同様の傾向が見られました。クロス数は左サイドから7本、右サイドからは2本(田中パウロ淳一は62分、橋本は90分に交代。右サイドの2人はフル出場)。出場時間あたりのパス数も左サイドの選手の方が多かったです。
両チームともに左からの攻撃が多くなっていましたが、左サイド2人の関係性は対照的でした。
攻撃時、千葉はサイドバックの安田(ヒートマップ左下)がタッチライン際でボールに触る回数が多く、サイドハーフの為田(ヒートマップ左上)は外だけでなく中でもプレーしていました。一方、山口はサイドバックの橋本(ヒートマップ右下)よりもウイングの田中パウロ(ヒートマップ右上)の方がタッチライン近くでボールを受けており、橋本はインナーラップの動きを多く見せていました。41分にはインナーラップした橋本がタッチライン際の田中パウロとのワンツーから敵陣深い位置まで上がりクロスを入れるなど、非常に良い関係性だったと思います。
耐えて先制
試合は、前半途中から千葉ペースになっていきました。31分から60分までのハーフタイムを挟んだ30分間で千葉はシュート7本。山下や後半頭に投入されたクレーべの空中戦の強さを活かし、後半最初の15分に至っては70%を超えるボール支配率を記録しました(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=09&date=23)。山口は押し込まれる時間が続き、58分に為田、60分にはクレーべにペナルティエリア内からシュートを打たれましたが、体を張ってブロック。主導権は握られながらもゴールは許しませんでした。
粘り強い守備で千葉の攻撃を耐えた山口は61分、後半最初のシュートで先制点を奪いました。
自陣で前を向いた高が最終ラインの裏へ走り出した浮田健誠にパス。浮田は相手に競り勝ってボールをキープし、ペナルティエリア左に進入します。時間を作った浮田は上がってきた田中パウロにパス。田中パウロがワンタッチで高弾道のクロスを入れると、ファーサイドの高井がヘディングで合わせました。高井のシュートがゴールに決まり、山口が先制に成功しました。
千葉に押される展開でしたが、後半1本目のシュートを得点に繋げ、先制点を獲得。山口は2試合連続の先制ゴールとなりました。
4試合連続複数得点
さらに66分、山口は2点目を奪いました。
高井と途中出場の森晃太が敵陣左サイドでボールを持ち、相手を引きつけます。森は相手が食いついてきたところで、ペナルティエリア角付近のスペースにポジションを取った橋本にパス。橋本は高井の前方へ左足のアウトサイドで絶妙なパスを出します。高井がワンタッチで中にボールを入れると、小松がボレーシュート。これがゴールに突き刺さり、山口が4試合連続の複数得点をあげました。
左サイドでボールを保持していた山口の高井と森(上図の11番と19番)に対し、千葉の選手は3人で対応していました。森がボールを持った際には中盤の田口泰士(上図の4番)がペナルティエリアの外まで出てプレス。ただ、田口がサイドに出たことでエリア内にスペースが生まれました。橋本(上図の42番)はそのスペースを見逃さず、ペナルティエリア角付近に走り込み、森からのパスを受けました。さらに、トラップしてすぐに高井へスルーパス。相手の虚をついたこのパスが小松の得点を生み出したと思います。
橋本は第8節以来の出場となりましたが、非常に良いプレーを見せていました。81分には自陣からドリブルでボールを持ち運び、相手をかわしてシュート。利き足ではない右足で放ったシュートは枠を外れてしまいましたが、これが決まっていればこの試合のMVPでもおかしくなかったと思います。攻撃参加するタイミングも非常に良く、今後が非常に楽しみな選手です。
失点は5試合連続
山口は3試合続けて60分台に2ゴール。前節そして今節は相手の攻撃をしのいだ上での2得点であり、先制後すぐさま2-0にすることで試合を優位に進めることができています。ただ、2試合とも無失点で終えることはできず。この試合はアディショナルタイムにゴールを許してしまいました。
93分、千葉はロングスローのこぼれ球を途中出場の船山貴之がシュート。ボールはポストに当たってゴールに吸い込まれ、千葉が1点を返しました。
山口は5試合連続の失点となってしまいました。千葉戦を含む直近4試合では、3試合で90分以降に失点。残りの1試合でも終盤にPKを与えており、試合の終わらせ方が山口の課題となっています。
ただ、千葉の反撃を1点に抑え試合は1-2で勝利。今シーズン初めてアウェーゲームで勝ち点3を獲得し、今季初の2連勝を飾りました。
総括
山口は6本のシュートで2得点。効率の良い攻撃で4試合連続の複数得点をあげました。20歳の橋本や22歳の小松がゴールに絡むなど、若手の活躍もあり今季初の連勝。ただ、試合終盤に失点するなど課題も見えた試合でした。
第22節は9/27(日)、ホームでファジアーノ岡山と対戦します。
次節は完封での勝利を見たいです。
コメント(2)
-
SPORTERIAスタッフ
2020/9/28 10:08
連勝おめでとうございます㊗
-
サンレノファン
2020/9/28 21:17
SPORTERIAスタッフさん、コメントありがとうございます!
最後の1点は止めようのないシュートでしたが、相手の攻勢を凌いで2-0にできたことが大きかったですね!
2連勝までが長かったです...
1点差ではなく2点差で終盤を迎えられたことが勝ち点3を取れた要因だと思います。