9月は3勝1分2敗と勝率5割をマークしたサンフレッチェ広島。
10月初戦となる第20節、広島はホームでサガン鳥栖と対戦しました。
前節から中6日での試合となった広島は先発メンバーを3人変更。野上結貴が3試合ぶりにスタメンに復帰し、1トップには永井龍が入りました。一方、中2、3日での連戦が続いている鳥栖は前節から7人を変更しました。
機能したハイプレス
この試合、広島はレアンドロペレイラやドウグラスヴィエイラではなく永井を1トップに起用。永井は得点力やボールを収める力は2人ほど高くありませんが、スピードや守備での献身性を持ち合わせている選手です。前半は永井の持ち味が存分に発揮されており、特に守備面での貢献度は非常に高かったと思います。
後ろから繋いでくる鳥栖に対し、広島はハイプレスでボールを奪いにいきました。1トップの永井やシャドーの選手がボールホルダーに素早くプレッシャーをかけて時間や余裕を与えず。中盤やディフェンスラインの選手たちも前線のプレスに連動し、フリーな受け手を作らないようにしていました。その結果、鳥栖のビルドアップを完全に封じ込め、ショートパスを繋がれて自陣に進入されるような場面は前半はほとんどありませんでした。
永井はゴールキーパーに対しても全力でプレスをかけ、相手がロングボールを蹴らざるを得ない状況を何度も作り出していました。永井が献身的にプレスをかけ続けたこともあり、広島は何度も敵陣でボール奪取。広島のハイプレスが効果的にハマり、ボールはほとんどの時間で鳥栖陣内にありました。
高い位置で奪って先制
鳥栖にほとんど攻撃をさせなかった広島はサイドを起点に鳥栖ゴールに迫っていきました。特に左ウイングバックに入った東俊希は何本もクロスを供給。アーリー気味に上げたり、低く速い球筋のボールを蹴ったりするなど、相手が対応しにくいクロスを意図的に入れているように感じました。また、10分には右サイドの野上のクロスに飛び込んで惜しいシュートを放ち、出し手としてだけではなくクロスの受け手としてもチャンスに関わっていました。
試合の主導権を握っていた広島は21分に先制点を奪います。
コーナーキックの流れで前線に残っていた野上がペナルティエリア近くで相手のパスをインターセプト。野上はすぐさま近くの浅野雄也にボールを預けます。浅野はペナルティエリアに進入し、カットインから左足でシュート。これがゴールに決まり、広島の先制点となりました。
浅野はシーズン序盤はウイングバックとしてプレーしていましたが、途中からシャドーにコンバートされ、チーム3位となる5得点を挙げています。キレ味の鋭いドリブルや精度の高い左足を活かしてゴールを決めるなど、広島の攻撃陣を引っ張る存在になってきていると思います。
リーグ戦初ゴール
先制した後も広島が試合のペースを握る展開は変わりませんでした。連動したハイプレスによって敵陣でボールを奪い、ショートカウンターで鳥栖ゴールに迫るなど、攻守両面で鳥栖を上回っていました。前半終了間際には鳥栖のパスミスを奪った東がゴールを決め、貴重な追加点を獲得。前半は広島の2点リードで折り返しました。
東は相手のミスから得た決定機をしっかり決め切り、リーグ戦初ゴールを記録しました。広島ユース出身の選手で現在20歳と若いですが、今シーズンはここまでリーグ戦全試合に出場。先発起用は鳥栖戦を含めて6試合のみですが、この試合では先発起用に応えてゴールという結果を残しました(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/)。また、シュート4本にクロス8本、ラストパス3本と、3つのスタッツでこの試合のチーム最多を記録するなど、東がチャンスに関わる場面は多かったです。
伏線のショートコーナー
ハーフタイム明け、鳥栖は原川力ら4選手を投入しました。中盤に入った原川がタメを作ってボールを落ち着かせることで、鳥栖は広島陣内に進入していくことができるようになっていきました。53分には小屋松知哉がドリブル突破からシュートを放つなど、チャンスも作れていました。ただ、次の1点を取ったのは広島でした。
56分、広島は左コーナーキックを獲得します。ショートコーナーから青山敏弘に繋ぐと、青山がペナルティエリアの外からミドルシュート。青山らしい強烈なシュートがゴールに決まり、広島がリードを3点に広げました。
この試合、広島は5本のコーナーキックを獲得しましたが、直接ゴール前に蹴り入れた場面は一度もありませんでした。前半に獲得した4本では、ショートコーナーから角度をつけて青山がクロスを上げる場面が多く、得点シーンでもショートコーナーから青山にボールを預けていました。鳥栖の選手は前半こそペナルティエリアの外まで出て青山との距離を詰めようとしていましたが、得点の場面では誰も寄せておらず青山との間に5m程の距離を開けてしまいました。おそらく鳥栖の選手たちは「前半と同じように青山がクロスを上げる」と思い込んでいたのではないでしょうか。しかし、青山は相手が寄せてこないことを確認して、クロスではなくシュートを選択。シュートの威力やコースは申し分なく、青山の技術が詰まったシュートだったと思います。青山のシュート能力に加えて、前半のショートコーナーが伏線のようになったことで、3点目のゴールが生まれたように見えました。
完封勝利
後半は両チーム合わせて青山の1得点のみであり、試合は3-0で広島の勝利となりました。60分台には鳥栖が立て続けにシュートチャンスを作りましたが、林卓人がセーブしゴールは許さず。結果的には鳥栖のシュートをわずか5本に抑え、2試合ぶりの完封勝利を飾りました。
総括
試合を通して広島が主導権を握り、3-0での完勝。攻撃では東のリーグ戦初ゴールや青山の2年ぶりのゴールなど、チームに勢いを与えるようなゴールが生まれました。守備ではハイプレスが効果的にハマり無失点での勝利となりました。
第21節は10/10(土)、アウェーで清水エスパルスと対戦します。
今節の勢いそのままに、次節も複数得点&無失点で勝利してほしいです。
コメント(2)
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SPORTERIAスタッフ
2020/10/8 22:45
・東選手のリーグ戦初ゴール
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サンレノファン
2020/10/8 23:10
SPORTERIAスタッフさん、コメントありがとうございます!
・青山選手のリーグ戦2年ぶりゴール
・林選手のJ1通算300試合&無失点
と、良いところが盛り沢山のゲームでしたね💖
おっしゃる通り、広島にとっては良いことづくしの試合でしたね!
林は自身の節目の試合を無失点で飾るあたり流石ですね。