前節、東俊希のリーグ戦初ゴールや青山敏弘の2年ぶりのゴールなどで3-0の勝利を収めたサンフレッチェ広島。

雨中での試合となった第21節はアウェーで清水エスパルスと対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

ともに前節から1週間空いた両チーム。清水は3人、広島は2人、スタメンを入れ替えました。前節ゴールを決めた東はこの試合も先発出場となりました。


直接フリーキック

両チーム合わせて5点が入ったこの試合、先制点を取ったのは広島でした。

広島は清水陣内でフリーキックを獲得。キッカーを務めた森島が直接狙うと、ボールはキーパーから逃げていくような軌道でゴール右上に突き刺さりました。

森島のスーパーゴールで広島が13分に先制。森島は今季リーグ戦4ゴール目となりました。

攻撃スタッツ - 森島 司

前節まで、広島はフリーキックを直接決めてのゴールがありませんでしたが、ようやく今季初となる「セットプレー直接」による得点が生まれました。フリーキックやコーナーキックは森島が蹴ることが多いですが、ここまでは中々得点に結びつかず。森島は今季リーグ戦全試合に出場し、リーグで11位となるラストパス数(第21節終了時点で34本)を記録していますが、アシスト数は未だ0となっています(参考:https://www.football-lab.jp/summary/player_ranking/j1/?year=2020&data=lastpass)。この試合ではチームにとって「今季リーグ戦初となる、フリーキックを直接決めての得点」を挙げましたが、次は森島自身にとって「今季リーグ戦初となるアシスト」を決めてほしいです。

得点パターン


相次ぐ負傷

幸先よく先制した広島は試合のペースを握りかけていました。攻撃ではボランチを中心にボールを回しながら、コンビネーションで相手を翻弄。守備では高い位置からプレスをかけることで、敵陣で何度もボールを奪っていました。しかし、26分、プレスをかけにいった永井龍が濡れたピッチに足を滑らせ右足を負傷。ドウグラスヴィエイラとの交代を余儀なくされてしまいました。

前節では守備面での貢献度が非常に高かった永井を欠いたことで、広島は徐々に清水に押し込まれるようになってしまいました。清水は各選手がスペースに動きながら細かいパスワークでボールを支配。3バックのヴァウドやヘナトアウグストも高い位置でボールに関わるなど、人数をかけて広島ゴールに迫ってきました。広島はボールを奪ってもそれを繋げられず。セカンドボールもことごとく清水に拾われ、自陣で守備をする時間が長くなりました。

前半最後の15分間で清水のボール支配率は70.9%を記録(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=10&date=10)。広島にとっては耐える時間帯となりました。ペナルティエリア内からエウシーニョに鋭いシュートを打たれる場面もありましたが、林卓人がセーブし得点は与えず。なんとか前半は無失点で終えました。

永井の負傷がありながらも前半をリードして終えた広島でしたが、更なるアクシデントに見舞われます。永井との交代でピッチに入ったヴィエイラが負傷により前半でピッチを退くことになってしまいました。また、後半には土肥航大も足を痛め交代。さらに、試合後の城福浩監督のコメントによると、「筋肉系の部分をかかえながら終了のホイッスルをピッチで聞いた選手が何人かいる」(引用:https://www.sanfrecce.co.jp/games/52946)とのことで、負傷や筋肉系のトラブルが多発した試合となってしまいました(中3日での試合が続くので、各選手の怪我が軽症であってほしいです...)。


嫌な流れを断ち切るストライカー

前半、清水の攻撃を無失点でしのいだ広島でしたが、後半の早い時間に同点ゴールを決められてしまいました。

49分、清水はコーナーキックのクリアボールを拾うと、右サイド深い位置から六平光成がグラウンダーのクロスを入れます。これにジュニオールドゥトラが合わせシュート。シュートはキーパーのほぼ正面でしたが、林は止めきれず、ボールはゴールの中に転がりました。

    攻撃スタッツ - ジュニオール ドゥトラ ヒートマップ - ジュニオール ドゥトラ

広島は守備の人数は揃っていましたが、マイナス気味のクロスからシュートを許してしまいました。クロスが上がる直前、ドゥトラには荒木隼人がついていましたが、他の選手に体を抑えられドゥトラをフリーにしてしまいました。ドゥトラのシュートはスリッピーなピッチで跳ねたため、キーパーにとっては止めにくいシュートだったと思います。ただ、コースはほぼ正面であり、右手でボールに触っていたのでなんとか止めてほしかったです。

前線の選手の負傷交代や後半の早い時間での失点など、流れが悪くなっていた広島。ただ、失点の直後、後半から投入されたレアンドロペレイラが嫌な流れを断ち切る勝ち越しゴールを決めてくれました。

広島は敵陣右サイドのペナルティエリア付近でフリーキックを獲得。キッカーの森島がゴール前に入れたボールは味方にはわずかに合わず、相手にクリアされてしまいます。ただ、クリアボールはファーサイドのペレイラの元へ跳び、ペレイラが左足でダイレクトシュート。強烈なシュートはゴールネットに突き刺さり、広島の2点目となりました。

    攻撃スタッツ - レアンドロ ペレイラ ヒートマップ - レアンドロ ペレイラ

ペレイラは出場からわずか6分での得点。また、同点に追いつかれたわずか2分後の勝ち越しゴールであり、時間帯や状況を考慮するとチームにとって非常に大きな1点だったと思います。


ピンチに繋がるミス

1-2と再びリードした広島でしたが、直後に清水の強力なアタッカーにゴールを脅かされました。

52分、ペナルティエリアの外からカルリーニョスジュニオが左足でミドルシュートを放ちます。グラウンダーのシュートは林が伸ばした手の先を抜け、右ポストに直撃。こぼれ球に詰めたドゥトラのシュートは枠を外れ、ゴールとはなりませんでした。

勝ち越し直後にピンチを迎えた広島はその後、自分たちのミスから危ない場面を招いてしまいました。

57分には川辺駿、59分には途中出場の浅野雄也がコントロールミスからボールを奪われカウンターを受けます。また、65分と69分にも広島は自陣ペナルティエリア近くでボールロスト。いずれのシーンもシュートは打たせず、失点とはなりませんでしたが、危ない局面・位置でのミスが目立ちました。


3列目からの飛び出し

1点リードを保ったまま迎えた75分、広島はリードを広げる3点目を奪いました。

林からの長いボールをペレイラが相手と競りながら浅野に繋ぎます。右サイドでボールを持った浅野は縦へボールを持ち運び、飛び出してきた川辺にスルーパス。キーパーとの1対1を迎えた川辺はワンタッチでゴールに流し込みました。

    攻撃スタッツ - 川辺 駿 ヒートマップ - 川辺 駿

ペレイラ(上図の39番)がハーフウェーライン付近で相手と競り合ったとき、川辺(上図の8番)は自陣にいました。ただ、ボールが浅野(上図の29番)に渡った瞬間、スプリントを開始し、一気にペナルティエリア近くまで上がっていきました。浅野からの丁寧なスルーパスをワンタッチでゴールに流し込み、今季2ゴール目をゲット。川辺の持ち味である前線への飛び出しが活かされた得点だったと思います。


枠に助けられた勝利

終盤、広島は清水の猛攻を受けます。

83分、カルリーニョスがペナルティエリアの外から強烈なミドルシュート。これは林がセーブしましたが、86分にゴールを許してしまいました。清水にペナルティエリア内深い位置まで進入されると、途中出場の後藤優介にヘディングでゴールを決められ失点。1点差に詰め寄られてしまいました。

90+1分にはあわや同点というピンチを迎えました。ペナルティエリア外から放たれた後藤のシュートはクロスバーを直撃。こぼれ球に反応したカルリーニョスは決定機を迎えましたが、シュートは枠を外れ得点とはなりませんでした。

広島は枠にも助けられ、なんとか2-3で勝利。ただ、決定的な場面を何度も作られており、負けていてもおかしくない試合だったと思います。


総括

基本スタッツ

広島は2試合連続となる3得点で勝ち点3を掴みました。ただ、シュート数やボール支配率では清水に上回られ、後半に2失点。負けていてもおかしくない内容だったと思います。負傷交代も多く、次節以降に不安が残る試合となりました。


第22節は10/14(水)、ホームでJ1首位の川崎フロンターレと対戦します。

前回対戦では5失点を喫しており、今回も厳しい戦いにはなると思いますが、粘り強く戦って勝利してほしいです。