前節、今季ワーストタイの4失点を喫したレノファ山口FC。

第26節ではJ2での対戦成績が2分7敗と山口が一度も勝てていないツエーゲン金沢と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

5連戦の2戦目となった両チーム。ホームの金沢は2トップを入れ替えるなど、スタメンを5人変更しました。一方の山口は前節からの変更は1人のみ。ボランチに起用された武岡優斗は第11節以来の先発出場となりました。


15分間で被シュート9本

序盤、山口は攻守両面で金沢の圧力に苦しめられました。

攻撃では後ろからボールを繋ごうとしていましたが、金沢の素早いプレスを前にミスが多発。3分には田中陸のパスをカットされると、ルカオの勢いあるドリブルを止められずにあわや失点という場面を迎えてしまいました。また、7分と13分にはヘニキのコントロールが大きくなったところでルカオに寄せられ、自陣低い位置でボールを失ってしまいました。どちらのシーンも奪われた後にゴールに迫られ、特に13分の場面では相手のシュートがポストを直撃。ボールの失い方が悪いということに加え、ペナルティエリアに簡単に進入されたりシュートまで持っていかれたりと、失点しやすくなる状況を自ら作り出してしまった立ち上がりでした。

また、守備では何度も最終ラインの背後を狙われ自陣に押し込まれていきました。裏のスペースへ蹴られた長いパスをカットする場面もありましたが、セカンドボールを拾われたり、マイボールにしても金沢の素早い寄せに合いボールを繋げなかったりするなど、敵陣に押し返すようなプレーができていませんでした。その結果、金沢に何度も攻め込まれ、立ち上がりの15分間で打たれたシュートは9本(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=10&date=14)。失点こそなかったものの、あまりにも多くのシュートチャンスを金沢に与えてしまいました。


耐えきれず2失点

金沢の猛攻を受け続けた山口は24分、ついにゴールを割られてしまいました。

金沢はサイドチェンジのパスを受けた下川陽太がペナルティエリア内の山根永遠にパスをつけます。山根は斜め前に持ち運んでディフェンダーとの距離を取ると、体を捻ってクロスを供給。これにルカオが頭で合わせてゴールへ流し込みました。

金沢の攻撃がカウンター気味だったこともあり、サイドバックの下川(上図の39番)に対して山口は左サイドバックの田中パウロ淳一(上図の橙7番)が対応にあたりました。田中パウロが前に出たことによって左サイドにスペースが生まれ、窪田稜(上図の18番)がそこにランニング。しかし、山口も高宇洋(上図の6番)がついていき、窪田を自由にはさせませんでした。ただ、高がサイドに流れたことで逆に中央が空き、ペナルティエリア内の山根(上図の赤7番)へパスを通されてしまいました。田中パウロが空けたスペースは高がカバーしましたが、高が空けたスペースは誰も埋めておらず。最終的に金沢の2トップを山口の2センターバックが止められず、先制点を許してしまいました。

さらに、35分には島津頼盛にミドルシュートを決められ、リードを2点に広げられてしまいました。自陣で高井和馬がボールを失ったところから始まり、相手のクロスを眞鍋旭輝がクリアミス。自分たちのミスで相手にボールを与えてしまい、失点を招いてしまいました。

前半は2-0で終了。金沢に17本ものシュートを打たれる一方で、山口のシュートはわずか1本のみ(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=10&date=14)。前半は防戦一方の展開となりました。

  攻撃スタッツ - 山根 永遠 攻撃スタッツ - ルカオ


6分間で同点

後半に入っても金沢は山口ゴールを脅かし続けました。47分には自陣からのパスで山口の最終ラインの背後を取ると、最後は窪田がペナルティエリア内からシュートを放ちます。ただ、シュートはポストを直撃しゴールとはならず。51分にも立て続けにシュートを放ちましたが、追加点とはなりませんでした。

一方、山口も後半に入って金沢ゴールに迫り始めました。前半に比べ金沢のプレスが弱くなったこともあり、山口の選手に少しずつ余裕が生まれていきました。ボランチの高や武岡が前を向いてボールを持てるようになり、敵陣深くまでボールを運べるようになっていきました。その結果、54分と60分に2得点をあげ山口は同点に追いつきました。

54分の場面では左サイドから攻撃を仕掛けると、一度はボールを失ったもののすぐに奪い返すことに成功。ペナルティエリアに走り込んだ高に安在和樹(途中出場)が絶妙なパスを通すと、高はトラップして右足でシュート。ボールは逆サイドのサイドネットに当たり、山口が1点を返しました。

前半から金沢のプレスに苦戦したこともあり、高のボールタッチ位置は山口陣内が多くなりました。敵陣の深い位置ではほとんどボールに触れませんでしたが、相手のペナルティエリア内での唯一のボールタッチを得点に結び付けました。高は山口加入後初得点。今シーズン、チーム1出場時間が長い高のゴールで山口が点差を縮めました(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/ranking/)。

    攻撃スタッツ - 高 宇洋 ヒートマップ - 高 宇洋

さらに60分には高のパスからチャンスを作ります。高からのパスで左サイドに抜け出した池上がペナルティエリア内の浮田にクロス。浮田はボールをキープして相手を引きつけると、イウリへパスを送ります。これをイウリがゴールへ流し込み山口が同点に追いつきました。

山口は2試合連続となるアウェーでの複数得点。直近7試合で13得点と攻撃面では調子の良さが伺えます。


2分後に勝ち越し

同点に追いつき、残り時間は約30分。流れは山口に傾いており、苦手としている金沢から勝ち点1あるいは勝ち点3を掴む可能性が出てきました。しかし、同点ゴールからわずか2分後、金沢にあっさりと3点目を決められてしまいました。

金沢は中央の大橋尚志を経由して左サイドから右サイドへボールを送ります。パスを受けた下川は相手が寄せてくる前に早めにクロスを供給。山口のセンターバックの上を超えたボールに途中出場の杉浦恭平が頭で合わせ、金沢が勝ち越し点を取りました。

下川のクロスに対し、金沢の2トップはお互いに交差してゴール前に入っていきました。2人の選手が斜めに動いたことで、山口の守備陣は混乱。マークの受け渡し・確認ができないままクロスに対応しなければならなくなってしまいました。結果的に杉浦にフリーでヘディングを許し、ゴールを決められてしまいました。

また、中央の大橋が右サイド(山口の左サイド)の下川にパスを出す際、同サイドの高井・安在は2人とも中に絞っており、下川との距離が遠くなっていました。そのため、パスを出されてから安在が寄せにいったものの寄せきれず、簡単にクロスを上げさせてしまいました。最近の山口は中央を固め、サイドにボールを出させてクロスを跳ね返す守備をしているように見えますが、それにしてもこのシーンではサイドの選手を自由にさせすぎたと思います。


勝ち点0

その後、山口はボールを支配するもののチャンスはほとんど作れず。逆に後半アディショナルタイムに4点目を取られリードを広げられてしまいました。試合は4-2で終了。金沢から初勝利をあげることはできませんでした。

守備スタッツ - 吉満 大介

最終的に金沢は27本のシュートを記録。そのうち枠内シュートが21本であり、吉満大介のセーブ数は9本となりました。1点ものを防いだ場面も何度かあり、さらに失点を重ねていてもおかしくなかったです。2試合続けて20本以上の被シュート&4失点となっており、守備のやり方を見直さざるを得ない状況になっていると思います。


総括

基本スタッツ

前半、山口は何もできず、金沢のシュートを受け続けて2失点。後半に入って同点に追いついたものの、同点直後と終了間際に失点を喫し4-2での敗戦となりました。


アウェー4連戦のラストとなる第27節、山口は京都サンガF.C.と対戦します。

得点ランキングトップのピーターウタカを擁する相手に対し、どのような守備で挑むのかに注目して応援したいと思います。