前節までの5連戦で15失点を喫したレノファ山口FC。

1週間の修正期間を経て迎えた第30節はアウェーで松本山雅FCと対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

前節勝利した松本はスタメンを2人変更。一方、4失点で敗れた山口は前節から6人を入れ替えました。センターバックに起用されたサンドロは第11節以来、楠本卓海は第17節以来の先発出場となりました。


セットプレー

立ち上がり、松本はコーナーキック→フリーキック→コーナーキックとわずか3分間で3度のセットプレーを獲得します。最初のコーナーキックではサインプレーから常田充人がシュート。フリーキックではキッカーを務めたセルジーニョが直接狙い、ゴールに迫りました。そして、3度目のセットプレーとなったコーナーキックから鈴木雄斗がゴールを決め、先制点を奪いました。

   得点パターン 失点パターン

今シーズンの松本は、「セットプレーから」の得点が全体の3割以上を占めています。一方、山口は今季全失点のうち2割以上がセットプレーから」。松本は自分たちが得意とするかつ相手が苦手としている「セットプレー」を活かし、早い時間に先制することに成功しました。

山口はストーンだったイウリがクリアしようとしたものの、相手のキックの質が高く、わずかに軌道をずらすだけとなってしまいました。また、キーパーの山田元気はパンチングしようと飛び出していましたが、ボールには触れずゴールを空けてしまいました。その結果、ファーサイドに流れたボールを鈴木に太腿で押し込まれ失点。小さなミスが重なりゴールを許してしまいました。


連続失点

失点からわずか4分後、山口は2点目を決められてしまいました。

右サイドのハーフウェーライン付近で鈴木が前貴之へ横パスを送ります。事前に山口の最終ラインの位置を確認していた前はダイレクトで裏のスペースへボールを供給。ディフェンダーの前に体を入れた阪野豊史がボールを収め、ペナルティエリア内から右足のアウトサイドでシュートを放ちました。倒れながらのシュートとなりましたが、ボールはゴールに吸い込まれ、松本の追加点となりました。

    攻撃スタッツ - 阪野 豊史 ヒートマップ - 阪野 豊史

山口は鈴木・前に対する寄せが遅くなっていました。それに加え、2人がトラップせずにワンタッチでパスを出したことで、山口はプレッシャーをかけることもパスコースを切ることもできませんでした。また、抜け出した阪野が楠本の前に体を入れた状態でペナルティエリアに進入したことによって、楠本はPKを意識して強い圧力をかけられませんでした。

山口は試合開始から7分で2点のビハインドを背負うこととなってしまいました。1点目と2点目の間隔はわずか4分。直近2試合でも前半に先制されてから3分以内に2点目を決められており、短い時間での連続失点が続いています。今シーズンは成績が良くないからこそ、ビハインドとなった際に「いち早く同点に追いつきたい」という思いが強くなりすぎている気がします。試合終盤であれば話は変わってきますが、前半の場合には1点ビハインドとなった直後こそ守備に力を入れ、試合を一旦落ち着かせることも重要なのかなと思います。


ゴール前まで運べず

2点を追いかける山口は後ろから繋いで攻めようとしていました。しかし、松本のハイプレスや素早いスライドに苦しみ、思うように前進できず。苦し紛れのロングボールや自陣でのロストも多くなり、松本ゴールに迫っていくことができませんでした。

ただ、35分に相手のミスを突いて山口は1点を返しました。

自陣から田中陸がロングフィードを送ると、松本の選手がクリアできず、高井和馬にボールが届きます。キーパーの村山智彦と1対1になった高井は右足でシュート。村山が右手で触ったものの、ボールはゴールネットを揺らしました。

    攻撃スタッツ - 高井 和馬 ヒートマップ - 高井 和馬

1点差に迫った山口は37分に田中パウロ淳一がカットインからシュート。また、45分には右サイドを崩して深い位置から高宇洋がシュート性のクロスを上げ、チャンスを作りました。しかし、同点に追いつくことはできず、ビハインドのまま前半を終えました。


シュート2本

後半に入ると、山口は敵陣でプレーする場面が増えていきました。ただ、敵陣でボールを持つことはできても、相手の脅威となるような攻撃はできていませんでした。サイドからの攻めが多くなっていましたが、サイドに人数をかけるあまり、ゴール前に選手が1人しかいないなど、ゴールに近い位置でのプレーが少ないように感じました。

山口は63分に速攻から田中パウロがシュートを放ちましたが、それ以外はほとんどチャンスらしいチャンスを作れませんでした。後半はボール支配率が60%を越えていましたが、放ったシュートはわずか2本のみ(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=11&date=01)。最後まで同点に追いつくことはできず、3連敗となってしまいました。


総括

基本スタッツ

山口は試合開始早々に失点。さらに、4分後にリードを広げられ、序盤で2点のビハインドを背負うことになってしまいました。攻撃ではボール支配率こそ高かったものの、チャンスを作ることはほとんどできませんでした。シュート数はわずか5本にとどまり、2-1での敗戦となりました。


苦しい状況が続いていますが、一つでも上の順位にいくために最後まで勝利に向けて戦ってほしいです。