直近5試合の成績は3勝2敗と勝ち越しているものの、5試合全てで失点しているサンフレッチェ広島。

6試合ぶりの無失点を目指した第25節、広島はベガルタ仙台とのアウェーゲームに挑みました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

中2日かつ13時キックオフというハードな日程で戦うこととなった両チーム。ホーム4連戦の2戦目となる仙台はスタメンを4人変更しました。一方、広島から仙台へ移動してきたアウェーチームは3日前の試合から9人を入れ替え。ここまでリーグ戦フルタイム出場を続けていたキャプテン佐々木翔がメンバー外となり、櫛引一紀が広島加入後初出場となりました。


左利きのダブルボランチ

前半の45分間、主導権を握っていたのは広島でした。

広島はボールを保持する時間が多く、パスを繋ぎながら仙台を押し込んでいきました。敵陣では、シャドー・ウイングバック・ボランチ・センターバックの4人が関わってサイドで細かくボールを動かし、深い位置まで攻め込むことができていました。ボランチに入ったのはここまで出場機会が少なかった野津田岳人と土肥航大でしたが、2人とも上手くボールを動かせており、不用意なボールロストはほとんどありませんでした。

    攻撃スタッツ - 野津田 岳人 ヒートマップ - 野津田 岳人

    攻撃スタッツ - 土肥 航大 ヒートマップ - 土肥 航大

ヒートマップを確認すると、どちらも左利きということもあってか、2人ともに左サイドでのボールタッチが多くなっています。ただ、試合を見た限りではポジションが被っていたという印象はなく、上手く位置を入れ替えながらプレーしていたのだと思います。ですが、左サイドからの攻撃が多くなっていたのは事実であり、右サイドからの攻撃にもっと関われるとより良かったのかなと思います。


左サイドを制圧

広島は左サイドからの攻撃が多くなっていましたが、その中で一際存在感を放っていたのはウイングバックの藤井智也でした。藤井はある程度スペースがあり、前向きにボールを受けた状況であれば、積極的に仕掛けていました。持ち味のスピードを活かして縦突破からクロスを入れたり、カットインから右足でシュートを放ったりするなど仙台ゴールに迫っていきました。

    攻撃スタッツ - 藤井 智也 ヒートマップ - 藤井 智也

37分のカットインからのシュートや43分の右足アウトでのクロスなど、藤井の仕掛けがチャンスを作っていましたが、ゴールという結果には繋がりませんでした。仙台が前半シュート0本で終わったのに対し、広島は計8本のシュートを放ちました(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=10&date=31)。ただ、ヤクブスウォビィクの好セーブもあり得点は生まれず。広島が主導権を握っていた前半でしたが、0-0での折り返しとなりました。


両サイドからチャンス

後半に入っても広島ペースは変わらず、広島は多くのチャンスを作りました。

50分、狭い状況ながらパスを繋いで左サイドを崩すと、森島司が左足でクロスを供給。柔らかいボールにドウグラスヴィエイラがヘディングで合わせましたが、シュートはわずかに枠を外れてしまいました。ヴィエイラは54分にも大迫敬介のロングフィードに抜け出してチャンスを迎えましたが、スウォビィクの飛び出しもありこちらもゴールネットを揺らすことはできませんでした。

また、59分と73分にはサイドのクロスから途中出場の永井龍が決定機を迎えました。前者では、ワンツーから右サイド深い位置を取った茶島雄介のクロスに合わせるも、相手がスライディングでブロック。後者の場面では東俊希(途中出場)の質の高いクロスに飛び込み、右足でシュートを放ちましたが、スウォビィクにセーブされてしまいました。

   攻撃スタッツ - ドウグラス ヴィエイラ 攻撃スタッツ - 永井 龍

後半開始からの30分間で広島は9本ものシュートを放ち、何度も得点のチャンスを作りました(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=10&date=31)。ただ、スウォビィクを中心とした仙台の守備陣に阻まれ、ゴールを決めることはできませんでした。

守備スタッツ - ヤクブ スウォビィク


仙台の反撃をしのぐ

終始広島ペースで試合が進んでいましたが、ラストの15分は仙台の時間帯となりました。

75分に仙台は選手交代を利用して広島と同じ3-4-2-1のようなシステムに変更。シャドーに入ったイサッククエンカと関口訓充(ともに途中出場)が下がり目の位置でボールを受けることで、中盤で仙台がボールを持てるようになっていきました。

80分にはボールをキープしたクエンカがファウルを受けてフリーキックを獲得します。浜崎拓磨のキックに合わせた長沢駿のヘディングシュートは大迫が右手でセーブ。こぼれ球に詰めた平岡康裕が決定機を迎えましたが、シュートはクロスバーを越えてしまいゴールとはなりませんでした。

守備スタッツ - 大迫 敬介

大迫にとってはこの試合唯一のシュートセーブでしたが、チームを救う大きなプレーでした。また、長沢のシュートをセーブした後の起き上がりも非常に速く、こぼれ球に詰めてきた平岡にはプレッシャーになっていたと思います。

終盤は仙台ペースとなりましたが、大迫のセーブもありゴールは与えませんでした。両チームのゴールキーパーの活躍により、試合はスコアレスドローでの決着となりました。


総括

基本スタッツ

広島は多くの時間で主導権を握り18本ものシュートを放ちましたが、得点は奪えませんでした。試合終盤には仙台の反撃を受けましたが、大迫中心に守りきり無失点。6試合ぶりのクリーンシートとなりました。


次戦、広島はホームで浦和レッズと対戦します。

再び中2日での試合となりますが、次こそは勝ち点3を獲得してほしいです。