直近4試合で1分3敗と勝利がないレノファ山口FC。

第32節ではアウェーでFC琉球と対戦しました。

　　　フォーメーション図　フォーメーション図

琉球は前節からスタメンを6人変更しました。一方の山口は両サイドバックの選手を変えるなど3人を入れ替え。3トップは全員左利きという布陣になりました。


中盤の脇

前半、山口は守備時に4-2-1-3ではなく4-1-2-3のような形を取っていました。琉球のビルドアップに対し、3トップが相手の最終ライン4人を、池上丈二と武岡優斗の2人がダブルボランチをケア。そして、高宇洋がアンカーを務めていました。おそらく、琉球のダブルボランチを自由にさせないために、普段とは異なる守備陣形を選択したのだと思います。

ただ、この選択は上手くハマりませんでした。高い位置でボールを奪う場面は少なく、追い込んでロングボールを蹴らせることもほとんどできていませんでした。また、アンカーの高宇洋の脇を風間宏矢や茂木駿佑に使われ、前進を許してしまいました。

　　　　攻撃スタッツ - 風間　宏矢　ヒートマップ - 風間　宏矢

　　　　攻撃スタッツ - 茂木　駿佑　ヒートマップ - 茂木　駿佑

特に風間宏矢は山口の選手に捕まらない位置で何度もパスを受けていました。19分にはハーフウェーライン付近（上図のヒートマップで最も濃くなっている位置）でパスをはたくと、琉球はそこから一気に前進。左サイドに展開し、茂木のクロスから池田廉がシュートを放ちました。

また、23分にも風間宏矢のワンタッチパスから攻撃のリズムが生まれ、テンポよくパスを繋いでチャンスを作りました。最後はオフサイドとなってしまいましたが、山口のプレスを剥がしてゴール近くまで攻め込みました。

山口は琉球のパスワークを防ぎきれず、プレスをかわされる場面が多くなっていました。前半は失点こそありませんでしたが、守備が機能していたとは言い難い内容だったと思います。


裏への飛び出し

一方、攻撃面で目立ったのは相手の最終ラインの背後を狙う動きです。小松蓮や田中パウロ淳一が裏へ飛び出し、池上や高ら中盤の選手がロングボールを送る場面が何度か見られました。飛び出した選手にパスが繋がる場面は少なかったですが、相手にとっては嫌な動きになっていたと思います。

36分には裏を狙った田中パウロに池上がパス。琉球のディフェンダーに触られましたが、敵陣深い位置でこぼれ球を拾い、二次攻撃からチャンスを作りました。最後はクロスから小松がヘディングシュート。キーパーにセーブされ得点とはなりませんでしたが、背後を狙う動きから琉球ゴールに迫りました。

ただ、このシーン以外は大きなチャンスを作れませんでした。山口が前半に放ったシュートは3本のみ（参考：https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=11&date=08）。得点をあげることはできず、0-0での折り返しとなりました。


自陣でのロスト

前半は無失点でしのいだ山口でしたが、57分にPKを決められ先制点を許してしまいました。

PKを取られるおよそ10秒前、自陣でパスを繋いでいた山口は、センターサークル付近で小松がボールを奪われます。この時、山口の両サイドバックはボールよりも高い位置（相手の最終ラインと近い位置）にいました。その結果、素早く左サイド（山口の右サイド）から攻めてきた琉球に対し、右サイドバックの川井歩が戻りきれず。センターバックのサンドロがスライディングでクロスをブロックしにいきましたが、ハンドを取られてPKを与える結果となってしまいました。

今シーズン、山口は後ろからボールを繋ぐサッカーを志向していますが、自陣でのボールロストが多くなっています。この試合でも、終盤に何度か自陣でボールを失って、琉球のカウンターを受ける場面がありました。もちろんサッカーにミスはつきものですが、ミスが多くなっているからにはリスク管理を徹底する必要があると思います。ただ、PKにつながった場面では両サイドバックともにハーフウェーライン付近におり、ボールを奪われた際のリスク管理ができていなかったように感じました。


カウンター

琉球の1点リードで迎えた終盤、両チームともにカウンターから決定機を作りました。

74分、山口はロングカウンターから田中パウロがペナルティエリアに進入し右足でシュートを放ちます。しかし、キーパーのダニーカルバハルがセーブ。こぼれ球を高井和馬（途中出場）がダイレクトで狙いましたが、シュートは枠を外れ得点とはなりませんでした。

　　　　攻撃スタッツ - 田中　パウロ淳一　ヒートマップ - 田中　パウロ淳一

一方の琉球も80分、88分にカウンターから決定機を創出。特に88分の場面では途中出場の上原慎也がキーパーとの1対1を迎えました。ただ、シュートはわずかにゴール右に外れ、追加点とはなりませんでした。

　　　　攻撃スタッツ - 上原　慎也　ヒートマップ - 上原　慎也

試合終了間際には山口が押し込み、琉球ゴールをこじ開けようとしましたが、最後まで同点に追いつくことはできませんでした。山田元気の奮闘もあり、PKのみの1失点でしたが1-0で敗戦。得失点差の関係で最下位転落となってしまいました。

守備スタッツ - 山田　元気


総括

基本スタッツ

山口は前半から琉球のビルドアップを押さえ込むことができず、何度もピンチを迎えました。後半は自陣でのボールロストが増え、カウンターからPKを献上。攻撃では一桁のシュート数にとどまり、1-0での敗戦となりました。


今シーズンも残り10試合。

一つでも多くの得点・勝利を見たいです。