直近8試合で1分7敗と1ヶ月以上勝利できていないレノファ山口FC。

第36節では、ホームでジェフユナイテッド千葉と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

山口は前節からスタメンを4人変更。Jリーグ初出場となる古賀俊太郎がインサイドハーフに入りました。一方の千葉は前節と同じ11人がスタメンに名を連ねました。


空中戦

Football LABさんのデータによると、千葉は中央攻撃時の「ロングパス使用率」および「空中戦使用率」がリーグ最多となっています(参考:https://www.football-lab.jp/summary/team_style/j2/?year=2020&data=32)。また、敵陣ポゼッション時においても「空中戦使用率」がリーグ1位を記録(参考:https://www.football-lab.jp/summary/team_style/j2/?year=2020&data=23。千葉は空中戦を多用する傾向にあることが分かります。

※なお、「中央攻撃」「敵陣ポゼッション」の定義に関してはFootball LABさんの「チームスタイル指標とは」をご参照ください。

この試合でも、千葉は空中戦での勝負を何度も仕掛けていました。自陣でショートパスを繋ぐことに拘らず、キーパーの新井章太から前線へロングパスが送られる場面が何度もありました。最前線に入ったクレーベは両チーム最多となる空中戦18回を記録。左サイドハーフのアランピニェイロとともに60%以上の空中戦勝率を誇りました。一方、山口のセンターバック眞鍋旭輝・ヘナンの空中戦勝率はともに50%未満。大きな差があった訳ではありませんが、山口陣内の空中戦では千葉に分がありました。

   守備スタッツ - クレーベ 守備スタッツ - アラン ピニェイロ

   守備スタッツ - ヘナン 守備スタッツ - 眞鍋 旭輝

また、千葉はセットプレーでも空中戦の強さを発揮していました。18分にはコーナーキックから新井一耀がヘディングシュート。37分のフリーキックではクレーベが頭で折り返したボールに鳥海晃司がヘディングで合わせました。ただ、シュートはクロスバーを直撃。チャンスは作りましたが、得点とはなりませんでした。


シュート1本

一方の山口は立ち上がりにショートコーナーから森晃太がゴールを狙いましたが、それ以降はチャンスらしいチャンスを作れませんでした。

千葉の前線の選手は強いプレスをかけてこなかったため、山口は比較的余裕を持ってビルドアップできていました。サイドバックが敵陣でパスを受けることも多く、相手陣内までは簡単にボールを運べていました。ただ、千葉のブロックを割っていくことができず、ペナルティエリアに進入する場面はほとんどありませんでした。

山口はクロスからチャンスを作ろうとしていましたが、出し手と受け手のタイミング・意図が合わなかったり、クロスの質が低かったりと中の選手に届かないケースが多かったです。先発した11人の中で複数回クロスを上げた選手は3人いましたが、3人ともにクロス成功数は0本。クロスからシュートを放つ場面は作れませんでした。

   攻撃スタッツ - 高井 和馬 攻撃スタッツ - 安在 和樹

攻撃スタッツ - 川井 歩

山口は相手ゴールに迫るような攻撃ができず、前半はシュート1本のみとなってしまいました(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=11&date=25)。

チャンスらしいチャンスをほとんど作れず、無得点で前半を終了。山口は6試合連続となる前半無得点(そのうち3試合は90分無得点)となってしまいました。


5試合連続で先制を許す

スコアレスで折り返した後半、先制点を生んだのはクレーベのヘディングでした。

52分、山口陣内中央でボールを持った堀米勇輝がペナルティエリア手前までドリブルし、シュートを放ちます。ボールはブロックに入った川井歩の体に当たり、跳ねたセカンドボールは安在和樹がクリア。ただ、安在が動いている方向の逆側にボールが飛んできたため大きなクリアとはならず、ボールは真上に上がります。このボールにクレーベがヘディングで合わせると、ループ気味になったシュートがゴールに吸い込まれていきました。

    攻撃スタッツ - クレーベ ヒートマップ - クレーベ

山口は少しアンラッキーな形からゴールを決められてしまいました。この失点により山口は5試合連続で先制点を献上。そのうち4試合は後半の失点(前半は無失点)であり、前半にリードすることができれば...という展開が続いています。


強烈なシュート

ビハインドとなった山口は54分に高宇洋、67分にイウリを投入し攻勢を強めます。すると、イウリがファーストタッチでゴールを決め同点に追いつきました。

68分、敵陣左サイドから高井和馬がアーリークロスを入れます。戻りながらの対応となった安田理大にクリアされますが、こぼれ球をイウリがボレーシュート。強烈なシュートがゴールに突き刺さり、山口の同点弾となりました。

    攻撃スタッツ - イウリ ヒートマップ - イウリ

イウリは交代直後に結果を残し、チームトップタイとなる7ゴール目を挙げました。86分には”ドリブルで3人をかわす”→”パスミス”→”すぐさま切り替えて相手選手を追いかける”→”ペナルティエリア内からシュート”と非常にアグレッシブなプレーをしていました。30分程の出場時間でしたが、攻守両面で奮闘しており、勝ちたいという意志が最も強いように感じました。


5連敗

同点に追いついた山口ですが、81分に再びクレーベにゴールを決められてしまいました。

素早く攻撃に転じようとしたキーパーの吉満大介がパントキックをする際に足を滑らせ、低い弾道のキックを蹴ってしまいます。このボールを自陣でカットされると、田口のパスからクレーベがシュート。これがゴールに決まり、千葉が勝ち越しました。

終盤に勝ち越しを許した山口は猛攻を仕掛けます。交代で入った吉濱遼平がクロスやセットプレーから何度もチャンスを演出。チームとしてラスト15分間で7本のシュートを放つなどゴールに迫りました(参考:https://www.football-lab.jp/r-ya/report/?year=2020&month=11&date=25)。

ただ、最後まで2点目を決めることはできず。山口は5連敗となり、9試合勝ちなしとなってしまいました。


総括

基本スタッツ

前半、山口はほとんどチャンスを作れずシュート1本。守備では空中戦を多用する千葉にゴールに迫られましたが、無失点で折り返しました。ただ、後半に2失点。終盤は攻勢を強めましたが、1-2で敗れ5連敗となってしまいました。


次戦、山口はアウェーで栃木SCと対戦します。

前半に先制点を取って試合を優位に進めてほしいです。