開幕戦は0-0での引き分けに終わったレノファ山口FC

第2節はアウェーでFC琉球と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

琉球は前節と同じ11人が先発メンバーに名を連ねました。一方の山口は、前節からスタメンを1人変更。開幕戦で負傷した島屋八徳に代わり、池上丈二が右サイドハーフに入りました。


スタッツ

基本スタッツ

試合はキックオフから1分も経たないうちに阿部拓馬のゴールで琉球が先制。27分には阿部のシュートのこぼれ球をサイドバックの田中恵太が押し込み、琉球が前半のうちにリードを2点に広げました。山口は後半に草野侑己のゴールで1点を返しましたが、同点に追いつくことはできず。枠内シュート数やボール支配率など得点以外のスタッツはほとんど互角でしたが、内容面で琉球との差を感じさせられる試合でした。

ゴール期待値

ゴール期待値の最終値を確認すると琉球は1.63、山口は0.97となっており、ゴール期待値的に妥当な試合結果だったことが分かります。

琉球のゴール期待値が増加している前半の2得点、そして18分のシュートチャンスはいずれもクロスからの攻撃でした。1点目は右サイドの風間宏矢が逆サイドのゴールエリア角へ斜めのクロスを入れ、阿部が合わせて得点。2点目は左サイドの清武功暉がディフェンスラインと中盤の間のスペースにグラウンダークロスを送り、阿部のシュートを演出したことによって生まれたゴールでした。また、得点にこそならなかったもののこの試合最大のゴール期待値を記録した18分のシュートシーンも、クロスに岡崎亮平が飛び込んだものでした。

攻撃スタッツ - 阿部 拓馬   ヒートマップ - 阿部 拓馬

後半にもクロスから阿部がシュートを放つ場面が複数あるなど、琉球はチャンスを作り続けました。最前線に入った阿部はシュート6本に加え、パス成功数30本。作りの部分にも関与し、ストライカーの仕事もする。山口に最も脅威を与えていた選手だったと思います。

一方、山口はファーストシュートのシーンでゴール期待値が約0.2上昇しましたが、それ以降は決定的なチャンスを作り出せませんでした。2失点目の直後には4vs3と数的優位なカウンターを繰り出しましたが、ゴール期待値の上昇量はわずか。決定的なシュートチャンスを創出することはできませんでした。後半は1点こそ返しましたが、70分以降はシュート0に終わってしまいました。


クロス対応

失点シーンがそうであったように、山口はクロスへの対応が良くなかったです。この試合、最終ラインの4人はコンパクトな陣形を意識し、サイドよりも中央を突破させないことを優先しているように見受けられました。そのため、琉球に中央を崩されることは少なかったですが、サイドに展開された際にボール保持者への寄せが遅れる場面が目立ちました。失点のシーンではどちらもサイドハーフの選手が対応していましたが、寄せが遅れたために間合いを詰められず、精度の高いクロスを供給させてしまいました。また、中で待つ選手たちはボールウォッチャーになってしまい、背後にいる選手の位置を把握できず。その結果、シュート時にプレッシャーをかけられず、失点を招いてしまいました。


パス比較

続いて、パスソナー・パスネットワーク図を比較してみたいと思います。

琉球は前の4人全員が30本近いパス数を記録。各選手がボールに関わっていたことが分かります。一方、山口の前線2人はパス数20本以下。草野や左サイドハーフの高木大輔に向かっている矢印は1本もなく、前の選手にパスが入っていないことが確認できます。

また、琉球と比べセンターバックが関わるパス数が多いことも分かります。センターバック間のパス数も非常に多く、なかなか前進できずに後ろでボールを回していたことを示す図になっています。

パスソナー・パスネットワーク  パスソナー・パスネットワーク

さらに、エリア間パス図(右)からも山口は自陣中央での横パスが多いことが確認できます。また、一番深いエリアには矢印が見られず、琉球を押し込む回数が少なかったことが下のデータからも分かります。

エリア間パス図   エリア間パス図


今シーズン初ゴール

最後に山口の今季初ゴールに言及して終わりたいと思います。今シーズンのファーストゴールを挙げたのは新加入の草野でした。左サイドからのクロスに右足で合わせ得点。途中出場の梅木翼が相手を引きつけたことによって空いたマイナスのスペースに草野はポジションをとり、ボールをゴールへ流し込みました。

草野は前節の終盤に連続してチャンスがありましたが決めきれず。ただ、最終ラインの背後へ抜け出して相手を押し下げるなど、効果的なプレーは今節含め見せていました。次節以降も得点を期待するとともに、相手の背後を狙い続けてほしいです。

攻撃スタッツ - 草野 侑己   ヒートマップ - 草野 侑己


最後に

今節は今季初得点と複数失点という良さも悪さも出た試合でした。ただ、守備では更なる失点を重ねてもおかしくない内容でしたし、攻撃でも終盤30分はシュート0本と課題は多いと感じました。1週間での修正を期待して次節を待ちたいと思います。