前節に今シーズン初勝利を挙げたサンフレッチェ広島

第4節では、アウェーで鹿島アントラーズと対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

中2日での試合となった両チームですが、鹿島は前々節が中止、広島は前節も中2日での試合と、連戦度合いは異なりました。鹿島はボランチにレオシルバが入るなど、前節からスタメンを3人変更。一方の広島は前節から5人を入れ替えました。


スタッツ

基本スタッツ

広島は29分に浅野雄也が強烈なミドルシュートを決め、リーグ戦4試合連続となる先制点を挙げました。一方の鹿島は試合を通してシュートチャンスを作り続け、69分に追いつくことに成功。中央でのパスワークで広島守備陣を崩し、荒木遼太郎が今シーズン4ゴール目を決めました。

スコアは1-1でしたが、シュート数やパス成功数、ボール支配率など攻撃に関係するスタッツでは鹿島が広島を大きく上回っています。特にシュート数に至っては広島のおよそ4倍。広島としてはなんとか勝ち点1を持って帰ることができたというような試合内容でした。

ゴール期待値

最終的なゴール期待値は鹿島が1.59、広島が0.44と1点以上の開きがあります。この数値を見ても、広島は負けていてももおかしくない内容であったと言えるでしょう。

ゴール期待値のグラフを見ると、鹿島は立ち上がりから終盤まで常にシュートチャンスを作っていることが分かります。それに対し、広島はファーストシュートが20分過ぎ、かつ70分以降はシュートが無いなど、20分以上シュート0という時間帯が前後半1度ずつありました。広島が少ないチャンスの中で得点したという言い方もできるかもしれませんが、後半に防戦一方になる試合が続いているだけに、もう少し攻撃の時間を増やす、あるいはチャンスを作ることが勝利のために必要なのかなと感じています。

攻撃の厚みを出すために今季から4バックに変更しているわけなので、前節の序盤(vs北海道コンサドーレ札幌、10分までに2得点)のような内容を後半の終盤でも出せるようにしなければいけないと思います。仮にシュートチャンスが作れなくても、相手が攻撃する時間を削るだけで自分たちの守備時の負担を減らせるので、リード時こそ攻める意識を持ってほしいです。


森島・エゼキエウの守備タスク

前半から守る時間が多かった広島ですが、相手のサイドバックへの対応で森島司やエゼキエウが自陣深くまで下がる場面が何度もありました。

守備スタッツ - 森島 司   ヒートマップ - 森島 司

守備スタッツ - エゼキエウ   ヒートマップ - エゼキエウ

前半途中から2選手はポジションを入れ替えていたため、森島は左サイド、エゼキエウは右サイドでヒートマップが濃くなっています。ヒートマップはあくまでボールタッチ位置に基づいたものであるため、守備時のポジショニングが完全に反映されているわけではありません。ただ、自陣右サイドで何度も相手のボールを奪っていたエゼキエウのプレーがヒートマップに反映されており、低い位置でのプレー回数が多くなっていたことが確認できます。この試合、広島が自陣深くからビルドアップする場面はほとんどなかった(と記憶している)ので、エゼキエウや森島の低い位置でのボールタッチはほぼ全て守備時もしくは守備から攻撃に移行した直後のものだと考えられます。

攻撃スタッツ - 小泉 慶   ヒートマップ - 小泉 慶

攻撃スタッツ - 杉岡 大暉   ヒートマップ - 杉岡 大暉

対応していた鹿島のサイドバックのヒートマップを確認すると、両選手とも広島陣内でのボールタッチ回数が多く、特に杉岡大暉は深い位置まで何度も侵入していたことが分かります。高い位置をとる両選手への対応のために、森島やエゼキエウが最終ラインに吸収され6バックのようになるシーンも何度かあり、攻撃よりも守備で奮闘する時間が長くなってしまいました。


ボランチ横

今季の広島は4-4-2の3ラインで守るのが基本の形です

。しかし、この試合では森島やエゼキエウが最終ラインに吸収され、6バックとなる瞬間が何度もありました。そのようなシーンでは、6-2-2のようなシステムとなっており、ボランチの横にスペースが発生。その空間を鹿島の選手に使われ、ピンチを招くシーンが何度かありました。鹿島の得点シーンでも荒木がボランチ横でパスを受けたプレーが起点となっており、中盤の人数が少なくなったことが失点を招いてしまいました。

広島は前半終盤など、浅野が中盤に下がり6-3-1のような形にする時間もありました。浅野は自陣やや左でのボールタッチ回数が多かったことがヒートマップから確認できますが、まさにそのエリアをカバーしていました。

守備スタッツ - 浅野 雄也   ヒートマップ - 浅野 雄也

攻撃に厚みを出すために3-4-2-1から4-4-2にシステムを変更したはずが、この試合の守備時には昨年までの5-4-1から6-2-2(あるいは6-3-1)となっており、むしろ後ろの枚数を増やす形となっていました。前線の選手が守備時にカバーするエリアが多くなっていることで、攻撃への悪影響が少なからず出ているような気が個人的にはしています。


最後に

ここ数試合はキーパーの大迫敬介らディフェンス陣の活躍により、なんとか勝ち点を掴んでいるという状況です。次節以降は先制点を挙げることは継続しつつ、リード後や後半に守備の時間を減らせるような試合運びをしてほしいです。