前節、今シーズン最多の3失点を喫したレノファ山口FC

3連戦の初戦となる第8節では、ホームでザスパクサツ群馬と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

山口は前節からサイドハーフとサイドバックの4人を変更。ヘナン・川井歩・浮田健誠が今季初スタメンとなりました。一方の群馬は前節から2人を入れ替え。古巣対決となる渡辺広大がセンターバックに入りました。


スタッツ

基本スタッツ

試合は山口が1-0で勝利。山口はホームで待望の初勝利を挙げ、連敗を2で止めました。

スタッツとしてはシュート数が18本と15本、ボール支配率が51%と49%など、互角の戦いに。両チームともにパス成功数はそこまで多くないですが、シュート数は15本以上と相手ゴールに迫ることができていました。ただ、お互いにキーパーを中心とした守備陣が奮闘し、ロースコアの試合となりました。

ゴール期待値

シュート数が多かったこともあり、ゴール期待値は両チームともに1を超えました。山口は前後半ともに1.0程度のゴール期待値を記録しており、90分通してシュートを打ち続けたことが分かります。浮田のゴールに関しては、走り込んでのダイレクトシュートであり、かつ角度も決してやさしくはなかったですが、今季初先発にしっかり応える得点となりました。

終盤は群馬がセットプレーなどからチャンスを作り、何度もペナルティエリア内からシュートを放ったことでゴール期待値が上昇。93分のコーナーキックでは渡辺がフリーでヘディングしましたが、シュートは枠の上を通過し、同点ゴールとはなりませんでした。


サイドバックの高低差

この試合の山口において、最も特徴的だったのは攻撃時の配置だったと思います。

時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図を見ていただければ一目瞭然だと思いますが、左サイドバックのヘナン(3番)と右サイドバックの川井(15番)を比較すると、川井の方が明らかに高い位置でパスに関わっていました。

これまでは攻撃時にセンターバックとボランチの一人の3枚で回すことが多かったですが、この試合ではヘナンがビルドアップに加わる形に。川井と浮田がタッチライン沿いにポジションを取り、右サイドハーフの池上が中に絞った3-5-2のような選手配置となっていました。

両サイドバックの個人データを見ても、役割の差がはっきりと表れています。ヘナンはセットプレーの流れから1本シュートを放ちましたが、流れの中でサイドを駆け上がっていくようなシーンはほとんどありませんでした。一方の川井は相手ペナルティエリア近くでのボールタッチ数も多く、クロス数は5本を記録。31分のシーンでは相手サイドバックの背後をとるなど、高い位置を取り続けていました。

攻撃スタッツ - ヘナン   ヒートマップ - ヘナン

攻撃スタッツ - 川井 歩   ヒートマップ - 川井 歩

得点のシーンでも渡部博文からのロングボールを川井が小松蓮へ繋いだことが起点となっていました。群馬は前がかりになっていたため、ロングボールで一気にアタッキングサードまで進入されたことで自陣ゴール方向に下がりながらの守備対応に。山口は川井から小松にボールが渡った瞬間にスピードアップし、群馬が戻りきる前に攻撃を完結させゴールを決めました。

川井の背後へのランニングによって小松への寄せを甘くさせたり、草野侑己が相手を引きつけたことで浮田をフリーにしたりと、味方の選手を楽にさせるプレーがゴール近くで立て続けに起こっており、ボールが出ずともチームのために走ったことも得点の大きな要因だったと思います。


ラストパス

また、3-5-2にしたことで中盤の枚数が増え、佐藤謙介や池上が敵陣で前を向く回数も多くありました。

佐藤謙介は普段よりも高い位置でプレーすることができ、よりゴールに直結するようなパスが可能に。また、池上はパス数こそ25本とそこまで多くないものの、パス失敗はわずか2本であり高いパス成功率を記録しました。両選手ともセットプレーのキッカーを務めたため、全てが流れの中からというわけではありませんが、二人合わせてラストパス数は8本。この二人のラストパス数が多かったことは、非常にポジティブな要素だったと思います。

攻撃スタッツ - 佐藤 謙介   ヒートマップ - 佐藤 謙介

攻撃スタッツ - 池上 丈二   ヒートマップ - 池上 丈二

守備面においてはクリーンシートこそ達成しましたが、サイド攻撃から何度もチャンスを作られていました。特に群馬の左サイドは非常に脅威であり、加藤潤也の仕掛けと平尾壮のオーバーラップを止められず、10本ものクロスを中へ入れさせてしまいました。また、逆サイドではヘナンの背後を狙われ、センターバックの渡部が釣り出されて中の人数が少なくなるという場面もありました。

攻撃スタッツ - 加藤 潤也   攻撃スタッツ - 平尾 壮

キーパーの関憲太郎やセンターバックの菊地光将・渡部らの奮闘のおかげで今節は耐えることができましたが、常に中で跳ね返し続けるのは難しいと思います。今季の失点パターンでもショートパスと並んでクロスからが最多となっているので、クロスを上げる選手への対応など、サイド攻撃に対する守備は改善が必要だと思います

得失点パターン


最後に

攻撃に大きな変化を加えたことが得点に結びつき、さらには今季ホーム初勝利に繋がりました。この勢いのまま3連勝で連戦を乗り越え、順位を上げていってほしいです。