ルヴァンカップを含め、4試合勝ちがないサンフレッチェ広島

第11節では、ホームでアビスパ福岡と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

広島は前節からスタメンを3人変更。負傷明けの佐々木翔はリーグ戦では約1ヶ月ぶりの出場となりました。一方の福岡も前節から3人を変え、古巣対決となる渡大生が前線に入りました。


スタッツ

基本スタッツ

今シーズンは横浜F・マリノス戦以外は複数失点がなかった広島ですが、この試合では2失点。ホームでは今季初となる複数失点を喫し、引き分けを挟んでリーグ戦3連敗となってしまいました...

得点以外のスタッツについては、シュート数やパス成功数、ボール支配率などで広島が大きく上回っています。一方、枠内シュート率は広島が半分ほどなのに対し、福岡は100%と、シュート精度の面では福岡の勝利となりました。ゴール期待値

広島は9分にオウンゴールで失点。背後へのボールを東俊希がクリアできずに入れ替わられると、相手のクロスが佐々木の足に当たってゴールへ入ってしまいました。ただ、佐々木の足に当たっていなくても、ゴール前にブルーノメンデスが詰めていたため、どちらにせよ失点していたと思います。

28分に東のゴールで一度は追いつきましたが、後半に前寛之のゴラッソで勝ち越され、再びビハインドの状況となりました。広島は得点以降約50分間シュートを打てず。終盤は決定的な場面もあり、ゴール期待値も上昇しましたが、2点目を決めることはできませんでした。


前線への配給

パスソナー・パスネットワーク

パスネットワークを見ると、前線の浅野雄也とジュニオールサントスに対し、2列目の選手から複数の矢印が出ていることが確認できます。特に浅野雄也にはボランチ2人からパスが入っていますが、浅野は決して中盤に下がっていたわけではなく福岡の最終ラインの近く、すなわち相手にとって嫌な位置でパスを受けることができていました。

19分や32分の場面などでは福岡のサイドバックとセンターバックの間へ抜け出し、青山敏弘からのスルーパスを引き出してペナルティエリアに進入。深い位置からマイナス方向にクロスを上げ、19分のシーンではエゼキエウのシュートを演出しました。

また、背後だけでなく最終ラインの前でパスをもらう場面もありました。23分や35分のシーンでは川辺駿からの中距離パスをキープして前進。どちらのシーンも自陣で福岡のプレッシャーを受けていた状況だったため、ビルドアップの逃げ道になったことで福岡を下げさせることに繋がりました。

攻撃スタッツ - 浅野 雄也   ヒートマップ - 浅野 雄也

ただ、左サイドでのプレーが多かったこともあってかシュート数は0本。押し込んだ状態の際に、背後への抜け出しに加えてバイタルエリアで受けて前を向くようなプレーもできていれば、相手にとってより脅威的な存在になっていたと思います。


広島の左サイド

エリア間パス図

エリア間パス図にも顕著に表れているように、広島は右サイドよりも左サイドからの攻撃が多くなっていました。基本的にはサイドバックの東俊希がタッチライン際に、サイドハーフの森島司が内側のハーフスペースにポジション取り。両選手が同じぐらいの高さ(福岡の2列目付近)にいることで、相手のサイドハーフは中も外もケアしなければならない状況となっていました。相手が中を閉めればサイドの東に、外を意識すれば内側の森島へというようにボールを動かすことで、相手の中盤を突破することができていました。

森島・東、両選手のヒートマップを比較すると、出場時間やボールタッチ数の違いはあれど、東の方が高い位置でボールを触っていることが確認できます。東は相手との距離がある状態でボールを持つ場面も多く、キーパーとディフェンスラインの間を狙ったアーリークロスを入れるなど、計9本のクロスを記録。また、青山のクロスにヘディングで合わせてゴールを決めたり、84分にも逆サイドのクロスから惜しいシュートを放ったりと、ペナルティエリア内でのプレーも見られました。

攻撃スタッツ - 森島 司   ヒートマップ - 森島 司

攻撃スタッツ - 東 俊希   ヒートマップ - 東 俊希

東はもともと攻撃的な選手ですし、良い左足を持っていると思うので、もっとゴールやアシストに関わってほしいです。ただ、守備面では1失点目のクリアミスや、2失点目の戻りの遅さ、寄せの甘さが見られるなど、課題はまだまだあると思います。東が左サイドバックとして攻守両面で成長してくれれば、チームが一段と強くなると思っていますし、個人的にはかなり期待しています。


最後に

前節の引き分けを勝利につなげたい試合でしたが、久しぶりの複数失点で敗戦となってしまいました。苦しい試合が続いていますが、それでもなお一桁順位にいるので、なんとか連敗を止めて上位に食らいついていってほしいです。