前節、3連戦の初戦を勝利で飾ったレノファ山口FC

中2日で迎えた第12節では、ホームでジェフユナイテッド千葉と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

両チームともに前節からスタメンを3人変更しました。山口は左ウイングバックに浮田健誠、3バックのサイドに菊地光将と眞鍋旭輝を起用。一方の京都は中盤に小島秀仁を入れ、前線には9試合ぶりのスタメンとなった船山貴之と初スタメンのサウダーニャを起用しました。


スタッツ

基本スタッツ

山口は今季6度目の無得点に終わり、2連勝とはなりませんでした。

シュート数は6本、枠内シュート数は3本と、どちらも千葉を下回る結果に。パス成功数やボール支配率では千葉を大きく上回っていますが、得点そして勝ち点3には繋がりませんでした。

ゴール期待値

最終的なゴール期待値は両チームともに1未満。お互いにチャンスの数は少なかった中で、千葉の船山がクロスにヘディングで合わせ、決勝点を挙げました。山口は失点直前の37分にこの試合最大のチャンスを迎えましたが、ゴールを決めることはできず。ゴール期待値0.36は今季チーム最低の数値でした。


前への動きと下がる動き

前半、ボールを保持する時間が多かった山口は、千葉ボランチの脇あるいは背後のスペースを狙っていました。6分、12分、18分には前を向いた佐藤謙介からバイタルエリアの小松蓮に縦パスが入っていましたが、いずれのシーンでも千葉の最終ラインは小松につききれていませんでした。

攻撃スタッツ - 小松 蓮   ヒートマップ - 小松 蓮

その要因として、他の選手の前への動きが挙げられます。3シーン全てにおいて、佐藤謙介がパスを出す際に、高井和馬が小松の背後へ斜めのランニングをしており、最終ラインの選手を下げさせることができていました。また、12分のシーンでは縦パスに合わせて、池上丈二が2列目から飛び出す動きを見せており、こちらも相手の意識を引きつけることに成功していました。

攻撃スタッツ - 高井 和馬  攻撃スタッツ - 池上 丈二

単純に小松がスペースに降りてパスを受けるような動きをしただけでは、3バックのうちの1選手が寄せて前を向かせないようにしていたと思います。ただ、高井や池上といった他の選手が小松の周辺でゴール方向への動きを見せたことで、相手を前に出させず、小松が相手を背負うことなくパスを受けられる状況を作れていました。

しかし、縦パスを受けた小松のトラップが大きくなったり、フリックしたパスが相手にカットされたりと、チャンスに結びつけることはできませんでした。ここは連携と言うよりは小松の技術的な課題となるので、日々のトレーニングで重点的に取り組んでほしいと思います。


強度の高かった守備

序盤こそ相手の間を使うシーンが複数見られましたが、次第に縦パスの本数が少なくなっていき、後ろで回す時間が増えていきました。最終ラインに対して千葉はそれほど強いプレスはかけてこなかったため、ボールを持つことはできていました。ただ、山口は3バック、千葉は3トップということで、常に最終ラインの選手の前に千葉の選手が立つ状況となっており、縦パスのコースは狭かったと思います。

パスネットワーク図を見ると、最終ラインの選手同士のパスが非常に多かったことが分かります。眞鍋は59分の出場でしたが、74分間出場した田中陸よりもパス数が多く、フル出場した菊地と渡部博文のパス数はそれぞれ84本と124本。エリア間パス図でもハーフウェーライン手前での横パスが多かったことが確認できます。

パスソナー・パスネットワーク  エリア間パス図

時間帯別パスネットワーク図

また、中央でパスを受ける選手に対しては千葉の選手が強く出てくるようになり、簡単にはキープできなくなったことも、最終ラインでのパス数が増加した要因の一つだと思います。

最終ラインの一列前にポジションを取ることが多かった田中陸に対しては千葉のダブルボランチのどちらかが。降りてくる山口の前線の選手に対しては3バックの選手が前へ出て強く寄せてきていました。そのため、前を向いて次の選択肢を探す余裕はなくなり、相手のゴール近くまで攻め込むシーンもほとんど作れませんでした。

後半途中から4バックに変更し、途中出場の神垣陸が鋭いスルーパスを狙ったり、河野孝汰がハーフスペースで受けたりと、回数こそ多くないですが良い形もありました。ただ、シュートにつなげることができず、最後までゴールを決められませんでした。


最後に

正直、この試合は得点の匂いを感じることができませんでした。連戦の影響がどこまであったかは分かりませんが、もう少しゴールへ向かう姿勢を見せてほしかったです。次節は3連戦の最終戦。是が非でも勝利で締めくくってほしいです。